第8章 6話
何か来る!
身構える。
まずやって来たのは。
小さな生き物。
身長は100センチもないくらい。
人間のような形ではあるが、顔は醜く肌も緑色で人には見えない。
そうだ。
私の頭の中の図鑑の中で一番一致するものがあった。
名前はゴブリン。
架空の生き物で、もちろん本物は存在しないはず。
なのに目の前にいる。
口を開いて何か話してはいるみたいだけれど、何を話しているのかもちろん分からない。
そもそも、この地球上に存在する言語ではないみたいですが。
ふと。
門の向こうから、また何かがやって来る。
「『雷拳!』」
壁を破壊して葛葉達がやって来た。
全員そろってるようですわね。
でも。
正直、これからくる数によってはこれでも足りないかも。
あっ。
何やら人影みたいのが現れた。
今度は人間の男性そのもの。
背中にコウモリのような羽がある事以外は。
一目でもの凄いオーラを感じる。
もしかして、向こうの世界を支配している人?
「あっ!」
ふと、大声を出した人がいた。
あれは美喜子さんの妹の葉子さんだわ。
「ルドルフ!」
え?
知ってる?
ルドルフと呼ばれた人と何やら会話が成立している?
まさか。
「会話が理解出来るんですか?」
「え?そうだけど。もしかして何を言ってるのか分からないの?」
やはり。
葉子さんに触れる。
「なるほど。生き物同士で会話が成立する能力を持っているのですわ。ですから彼とも会話が出来るしあなたの言葉も相手は理解出来る」
まさか。
トトの書にもオロチ・システムにも影響されていないのに。
いえ。
思えば彼女の姉でもある美喜子さんにも、トトの書を読む前から能力は持っていた。
これは生まれつきの力!?