第8章 門
青山、白井、赤沢、黒瀬の4人を倒した事により、霧島の直属の部下4人を失った事になった。
後は霧島を倒すのみ。
そして最後の霧島の居場所も分かっている。
双葉市にある原子力研究センター。
表向きは名前の通り、原子力の平和的活用の為の施設。
だけど。
この施設はディルスの要請で作られた。
つまり、ここがオロチ・システムを研究する為の場所。
その為だけの施設。
しかし、もうここも用済みなはずだけど。
何故か霧島はこの施設に頻繁に出入りしている。
一体何の為に?
これは直属の部下の黒瀬すら知らない事。
それほど秘密にしている事かもしれない。
調査をする必要はあるでしょう。
それに。
運が良ければ彼女と遭遇するかもしれない。
そういう事で全員がこの場に集まった。
「いいですか。全員は呼びましたが、念のため進入するのは少人数で行きます」
みんながざわつく。
「落ち着いて。第一の目標は調査です。ここに今、霧島がいるとは限らない。何度も来ているのは本当のようで彼女が来ている情報はあるのですが、どれが最新なのか分からない感じです」
物体の情報というのは、得てしてそういうもの。
いるかいないかの区別は付くが、いつ来たかまでは分からない。
以前水晶ドクロを鑑定した時のように、特別な物ならまだしも。
こういうありふれた物はそこまで精密では無い。
「ですから。まずは調べる事の出来る人、この中では私と山本さんがそうです」
山本さんは科学分野の方に詳しい。
中に何があるかまだ分からないけれど、科学的調査をしている場合には役に立つ。
「万が一の場合に備えて、美喜子さんとキッドさんに付いて来てもらいます。残りは周りの調査と霧島が来た時の連絡をお願いします」
正直な事を言うと、まだ戦うには早すぎる。
結局青山達は自分達で再生エネルギーを独占して、何をしようとしていたのか不明のまま。
お金か利権か?
どれもディルスが死んだ事には直結していない気はする。
まず、何よりもディルスを倒した私たちへの復讐が先のはず。
それを後回しにしてでも、一体何をやろうとしていたのか。
それが判明しないままでは、第二の霧島が現れる可能性もある。
全部判明して、全てを潰さなくてはならない。
それが、今の私たちの第一の目的。