第7章 5話
あちこち暴れ回る。
周囲の事などお構いなしに。
だが、これが結構やっかい。
もの凄いパワーとスピードでやってるから。
単純がゆえの脅威ってやつね。
「だが、あいつにとっての誤算はこっちに僕と氷室さんがいるって所だ。見た所あいつは寒さに強い生き物じゃない」
って事はまさか。
「『水の精霊よ!』」
白井の足元に水が流れる。
「これで奴の動きを止められる」
まさに氷の力を持つ氷室さんにはうってつけの方法ね。
一気に白井全体まで氷つかせた。
だけど、まだ私は油断しない。
それは健一も氷室さんも同じ。
普通はこれで終わりだと思うけど。
「美喜子」
健一が指で指示を出している。
どうやら白井の背後に回ってくれって指示してるようね。
ゆっくりと背後に回る。
「どうかな?」
氷室さんが手からつららを作り出す。
もしこのまま氷付けのままなら串刺し。
そうでないなら。
一気に緊張が高まる。
氷室さんが投げる!
それが当たる直前。
氷に覆われていた白井の身体が動いた!
氷が砕け散る。
やはり!
一気に近づく。
てぇい!
だが拳が空を切る。
身体をひねっただけで避けられるなんて!
白井の左腕が私の顔を掴みにかかる!!
「そこまでよ」
氷室さん!?
あっ!
砕けた氷が。
一つずつが氷柱の形になってる!?
「やはり見た”死”の姿になったな」
一気に白井の所に降り注いだ!
もちろん、私はすでに脱出済み。
そして白井の姿は。
いくつもの氷柱が串刺しになっていた。