第6章 3話
「暗闇にするにはそっちにもデメリットだろう?」
植物というのは日光を栄養源としている。
それを遮られれば、当然植物は元気を失う。
「これならどうだ?」
何かが点いた。
だがこれは。
「遠赤外線か」
太陽から発せられるエネルギーの一つ。
目には見えにくいが、確実にある光線。
「植物なんて、その気になりゃ機械で育てられるんだよ!」
なるほど。
やはりそういう考えの持ち主か。
「山本。ここから先は俺に任せてくれないか?」
黒野くん?
「日光を遮った程度で俺たちに勝てると?」
すたすたと歩く。
一見無防備そうに見えるが。
「ああ、そうだ!!」
突然植物が伸びる!
だが。
それらは届く前に切られて床に落ちる。
「なに!?」
「残念だな。暗闇こそ俺の真骨頂」
そういや、彼は居合い切りの達人とも聞いたが。
居合い切りは気配を読む事に長けている。
間違いなく、植物の動きすらも見切ったんだろう。
「なら。これならどうだ!!」
なっ!?
青木の右手から植物が!?
「無駄だ」
しかし、それすらも切り落とす。
「あんたが人間以外の物があるって事ぐらいは、すでに分かってんだよ」
なんと。
そこまで。
「『光の螺旋!』」
黒野くんの魔法がやつを貫いた!
「人にならざる物よ。正体を現せ!」
人にならざる物って。
「まさか。もう奴は人間じゃない?」
「植物と同化してんだ。いや、もはや人間の思考は持ち合わせてないぐらいに」
なんだって!?
「よくそこまで分かったな!!」
なんだと!?
奴の顔がみるみる植物に覆われていく。
「気持ちいいぞ。こいつらと一緒になるのも。今ならばディルス様も植物と同化していれば良かったとも思える!!」
くっ。
歪みきってやがる!