第6章 護る者、狩る者
最上階の扉を開ける。
中は相当広いフロアが見える。
この階にはこのフロアしかない。
周りを見渡すとあちこちに植物が見える。
野菜の葉の部分もあれば、木やツタ等も見える。
「あいつが青木か?」
隣に立つ黒野が聞く。
中央に大きな机があり、そこに一人の男が座っている。
間違いない。
「ああ。そうだ」
調べた通りの男だ。
しかし。
ランダムに選ばれたとはいえ、黒野と組む事になるとは。
林道さんの妹から刀と魔法を使うとは聞いているが。
僕は無意識に緊張している。
やはり慣れない人と組むと緊張するようだ。
ん?
何か嫌な感じがする。
黒野くんも何も言ってないのに止まってる。
気配を感じているのか?
さて、ここからどうするか。
「どうした?来ないのか?」
余裕がある。
つまり。
こいつも罠を仕掛けるタイプの能力者だという事か。
罠だとすると、何が考えられる?
待てよ。
こいつが植物を世話するタイプか?
つまり、この植物が罠である可能性が高い。
黒野くんが一歩踏み込む。
突然、草から何かが飛んで来た。
やはり罠か!
だが。
それは黒野の体には当たらなかった。
「なに!?」
青木が驚く。
無理もない。
あまりの素早さに、常人では見えない動きだったからだ。
居合い切りか。
刀を使うとは聞いていたが。
かなりの腕前だな。