第5章 10話
「どうして俺の居場所が!?」
それは確かにそうだろう。
「あら。敵であるあなたにそれを教える義務はありません」
バッサリと切り捨てる。
こいつは敵に回したくないタイプだな。
「先手必勝!」
なに!?
爆弾の能力者相手に、あえて近寄るだと!?
しかも、奴は触れられたら終わりだろ?
何を考えている!?
「けっ、馬鹿か。俺相手に近寄るってのは最悪なんだぜ?」
当然のごとく、手を捕まれる。
「終わりだ」
「捕まれたら終わりなんて、百も承知です」
何!?
分かってて近寄っただと?
「でもあなたは自分の能力を勘違いしています。これで私を爆弾に変える事は出来ても、直接爆死させる事は出来ないって事を知らないんですか?」
そうか。
林道自身も説明していたな。
触れた物を爆弾に変える能力と。
そして、その爆弾に触れない限りは爆発しない事も言っていた。
「爆弾というのは、かなり威力抜群ですが。それを扱うには制約がありすぎるんですのよ」
とはいえ、躊躇なく接近するとは。
分かっていてもなかなか出来る事じゃない。
「くっ。だがこれでお前自身が爆弾になった。どうする?」
「こうします」
迷う事なく、敵に触れる。
ドゴォン!!
なんて奴だ。
敵を爆死させやがった。
「おい、大丈夫なのか?」
いくら敵が死んだとはいえ、能力が解除されてるとは限らない。
「それもご心配なく」
ん?
手から突然、魔法のステッキみたいのを取り出した。
それを振り回す。
そのステッキから光りの粒みたいのが降り注ぐ。
「それは?」
「能力を打ち消すアーティファクトです。回数制限があるので気軽に使えませんが、奥の手として持っていたんですよ」
なるほど。
あれがあるから余裕だったって訳か。