第1章 5話
わらわは悩んだ結果。
映像を須藤の両親に見せようと思う。
嘘は言えない。
例え惨い現実だろうが。
嘘を言って誤魔化すよりはマシ。
そう思い。
映像をDVDにこっそりと焼いて。
須藤の家へと向かう。
案の定須藤の両親は事故の真相を知りたいと何度も言っておった。
それはそうじゃろう。
死ぬほどの事故なんて、そうそうあっては困る。
そこでわららはふと疑問に思う事がある。
それは、マスコミがまったく騒がない事。
普通手術中に事故が起きて医師が死亡したなんて、格好の餌と言ってもいいのに。
そこまで力があるというのか?
わらわのような単なる医師には分からない事かもしれぬが。
とにかく。
これは見せねばならぬな。
ん?
何か、凄い音が聞こえてくる。
もの凄い巨体が走ってるような。
まさか。
ここは車1台がやっと通るぐらいの細道。
ワゴンクラスになるとかなり難しいじゃろう。
そんな細道を巨大な車が来ると?
じゃが。
この音はまさにトラッククラスの物音。
そんな馬鹿な。
振り返る。
なぬ!?
それは軽トラック等では無かった。
まさに10トントラックのような巨体。
その名はダンプカー!
それが。
凄まじいスピードで走っている!
こんな細道。
普通の車でも30キロ出ればいい方じゃろう。
じゃが。
あれはそれを超えておる。
まさに。
わらわをひき殺そうと言わんばかりのスピードで!!