第5章 9話
「しかし、敵は失敗をしました」
そう言って林道は床に触れる。
「失敗?」
「これを置いたのは間違いなく爆弾の能力者でしょう」
それはそうだろう。
うっかり触れると爆死するような物を触りたい奴などいない。
また能力があまりにも威力がありすぎて、他の仲間が一緒にいるというのも考えられない。
それなら一人の方がまだ安全。
だからこそ、この爆弾の100万は爆弾の能力者が置いたと考えるのが普通。
「どうやら隠れている場所が分かりました」
何だと!?
こいつの能力か!
再び手袋をはめる。
おそらく素手のままでは生活に支障が出るんだろう。
行動が手慣れている。
「ここより2時の方向。距離は10メートル」
10メートルだと!?
つまり、そう遠い所に隠れている訳じゃない。
「ふっ、それなら俺に任せろ」
先手必勝!
懐からトランプのカードを取り出す。
だが、普通のカードじゃない。
これこそが、俺専用の武器。
それを壁に当てる!
あの壁の向こう側が丁度10メートルだ!
つまり、あの壁の向こう側に敵がいるはず。
「炎の稲妻!」
壁に当たったカードが砕け散る!
その瞬間。
そこの周囲に炎が天井から降り注ぐ!
「これは!」
「へっ。あそこの向こうにいるなら、無傷じゃ済まないだろうな」
これは魔法と呼ばれる力。
それをカードに封じ込めている。
それが一気に解放されたんだ。
やがて扉が開かれる。
「き・・・きさまら・・・!」
どうやら、あいつが爆弾の能力者らしい。