第4章 9話
青い空間に閉じ込められたキッド。
ここから出るには目の前のアイドルに勝たないといけない。
「なんでもいいのか?」
「ええ。ゲームであればなんでも」
「それじゃあ、勝負はポーカーにする!チップ20枚を無くした方が負けだ!」
当然、ここではキッド有利のゲームを選択する。
「いいわ」
「それと!勝負にはこのカードを使用する」
キッドの懐からトランプケースのような物が出てきた。
「見て分かるか?これには封がしてある。つまり工場から出荷されてから開けられてない物だ」
きっちりとシールが張られてある。
「イカサマ防止だ。これぐらいさせてもらう」
これらの行為は本場のカジノでも採用されてる行為。
開封済みを使うと偏ったカードを混入させる事や、目印等も付けられる恐れもある。
「いいわよ。私にはイカサマなんて必要ないもの」
だが、堂々と引き受ける。
イカサマは必要ない。
はたして本当なのか。
「ふふっ。その目は疑ってるみたいね。でも私にイカサマなんて必要ないの。みんな自滅していくんだから」
「自滅?」
自ら提案したルールで自滅というのも変な話だ。
いや、一人や二人ぐらいなら分かる。
この口ぶりからすると、相当な数が自滅でやられてる事になる。
そんなものなのか?
「いい?私に勝つ方法はただ一つ。正々堂々と戦って勝つ事。運もいるけど、イカサマとか卑怯な手では無理なの」
「無理?」
「ええ。無理よ。だから止めておきなさい」
だがキッドはそんな忠告は聞きいれていなかった。
いざとなればイカサマをする気は満々である。
勝負というのは勝てばいい。
勝つか負けるかという場ではイカサマだの卑怯な手だのは良く行われる。
それが勝負中に明らかになることで初めてイカサマと言われる。
それが勝負の世界。
キッドはそんな事は百も承知。
相手からの忠告も素直に受け止めるべきではない。
「それじゃあ、はじめましょうか」