第4章 5話
手を素直に引っ込める。
それだけの確信があるからだ。
ポケットからボールペンを取りだす。
それを書類の所へと落とす。
が。
何も起こらない。
「無機物には反応無しか」
何やら確認をしている。
「有機物を何か持ってないか?なるべく命じゃないのが望ましいが」
すると、一人の女性が軽く手を上げる。
「私が」
「頼む、林動さん」
手から何か出てきた。
それは。
枕。
「枕?」
「えぇ。布団のある所で寝られるとは限らないもので」
恥ずかしそうに言う。
だが、それを思いっきりハサミで切る。
中には羽毛がたくさん入っていた。
それが書類に触れる。
ドゴーン!!
もの凄い爆発音が響く。
だが。
すぐ側にいるはずの三人には何の衝撃もきていない。
羽毛が触れる毎に次々と爆発はするが。
いずれも音・破裂する様子等は見られるが。
まるっきり衝撃は伝わって来ない。
書類に落ちるはずだった羽毛の姿かたちは残っていなかった。
「なるほど。これがスイッチという訳か」
まじまじと見る。
「しかし、これは明らかに”能力”ですわね」
「そうだな。能力者がここをターゲットにしている」
そこで男性はふと考えた。
「そういや、さっき林動さんが言ってた会社名って」
「『アオヤマ』ですか?」
「それって、大規模なメガソーラーパネルを作るとか言っていた会社じゃなかったか?」
「それが?」
「実は、まだ実現には至ってないんだ。もしかしたら邪魔となる会社を潰す為だと思えば」
「まさか!?」




