第4章 4話
とあるビルに三人が乗り込む。
男性が一人、女性が二人。
男性はやや幼い顔立ちながらで細身。
若干見た目は頼りない感じはする。
女性のうちの一人は勝気っぽい見た目。
動きやすい格好をしていて女性なのにズボンをはいている。
もう一人の方は清楚な雰囲気。
長い髪にあまり派手ではない服装。
三人にあまり共通するようなものは見られない。
その三人があるフロアに入った。
そこには誰もいない風景が目に飛び込む。
書類はあちこちに落ちている。
何か一大事でも起きたのだろうか?
すっかり冷えてしまった、飲みかけのコーヒーも見える。
しかし人の気配がまったく無い。
「情報通りですわね」
フロアを見渡して清楚な女性が口を開いた。
「一体ここで何が?」
もう一人の女性が尋ねる。
だが答えは無い。
「少なくとも”人が消えた”としか思えないな」
男性が自分の考えを言う。
消えた。
あまりにもあり得ない事かもしれないが、この三人はごく当然のように受け取る。
なぜなら心当たりがあるからだ。
「なら次の問題は、どうやって消えたか?になりますわね」
「つまりトリガーって事?」
トリガー。
つまり、きっかけ。
何のきっかけも無しに消えるという事はありえない。
発動する条件があるはず。
そこで男性がふと書類に目を止める。
「これは、メタンハイドレートの効率的な抽出方法じゃないか?」
物珍しげに見る。
「なんですか?それ」
「別名”燃える氷”とも言える物質で、見た目は普通の氷のようだが燃えてエネルギーを生むんだ。化石燃料の替わりの原料として注目されている」
化石燃料が底を尽きかけている現代にとって、替わりになる原料というのは魅力的な物だ。
「しかし、ここまで本格的な事業をするなんて」
その書類に手を伸ばそうとする。
「待って!!」
その声で動きが止まる。
「勘だけど、それはやばい気がするわ」