第3章 10話
少女の名前は林動葛葉。
先ほどキッドの前に現れた林動理恵子の妹。
彼女もまた、不思議な力を持つ。
キッドはそれを目の当たりにした。
「今日はつくづく女性に助けられる日だな」
思わずつぶやく。
「それでどうするの?これ、全部倒しちゃっていい?」
油断なく構える。
「出来れば1体は捕獲したい」
これが全部機械である事は分かっている。
だが。
これはキッドが探している人物への手掛かりになると考えている。
ならば、なるべく破壊しない方がありがたい。
「了解。じゃあ残りは全部破壊しても構わないよね」
そういうと共に走り出す。
迷いが無い。
「『雷拳!』」
一発で破壊する。
それは機械とは相性の悪い雷の力だろうか。
次々と葛葉は破壊していく。
「ふっ。これは俺も活躍しないとな」
キッドは懐からカードを取り出す。
それが一体の顔に命中する。
すると、そのカードがキッドの手元へと戻る。
「あれ?それってブーメラン機能?」
それを見た葛葉が疑問をぶつける。
「なに。こいつの能力みたいなもんでな」
「ふーん。なんかアーティファクトみたい」
それを聞いてキッドは驚く。
「アーティファクトだと!?知ってるのか?」
「うん。私のお姉ちゃんが特に」
キッドは考える。
偶然手に入れたこのアイテムは、まだ正体が分からない部分が多い。
これを知っている人物を探すのも、キッドの目的の一つ。
ふと気付くと。
機械は残り1体になっていた。
「てぃ!」
それも葛葉が転ばしている。
「さ、どうぞ」
何から何まで動きがいい。
「すまない。あと、君のお姉さんにも話を聞きたい。アーティファクトの事について」
「うん!」