第2章 5話
血が動いて人を襲う。
まるで信じられない光景がそこにはある。
「どうも、あれが犯人のようね。ここにいた人達をほとんど殺してしまった」
うっ。
それじゃあ。
人殺し!?
「それでどうする?」
え?
声が聞こえる!?
口みたいのが見える。
あんな事まで出来るなんて。
「人殺しとして警察にでも届けるか?だが、そんな事をしても無駄だ!」
確かに。
直接殺害した訳じゃない。
あくまで、能力を使ってる。
そして。
そんな事を信じる人がどれだけいるか。
「あら。私はあなたを人殺しとして告訴するつもりはありませんわ」
お姉ちゃん?
「ただ。これだけの事をして何のお咎めも無しってのも、都合が良すぎるとは思いません?」
いったい、どうするつもりなのかしら。
「さぁな。どのみち、お前らはここで死ぬだけだ!」
来る!
ギリギリまで引き付けて。
「『雷拳!』」
くっ。
避けた!?
「ほう。わざわざ調査に来る奴がどんなのかと思えば。同類か」
なに!?
「同類なんて、気持ち悪い事言わないでくださる?」
「は?俺と同じ能力者だろ!?」
「あら。私はこの力を人に迷惑をかけるために使った覚えは無いですわ」
?
さっきからお姉ちゃんはなんで、あんなに余裕なの?
何かを見たみたいだけど。
それが原因?
「ねぇ。葛葉。こいつが血を操る能力だとして。一つ、変な事があると思いません?」
変?
あれ?
「もしかして!!」
そうだわ。
さっきからあの血を動かしてるけど。
言われてみれば。
「変だと?」
「ええ。私達を本当に殺すつもりなら、もっと手っとり早い方法があるのに、それをしていない」
そうよ。
まさか、それがこいつの弱点!?