第2章 2話
双葉市にある、ある程度の大きさの病院。
もっと大きい病院もあったりするので、こういう表現になってしまうのだけれど。
ここが問題の事件のあった病院。
不思議なのは、何故ここが狙われたのか?
ここは一番大きな病院ではない。
最近死亡事故があった訳でもない。
不正事件があった訳でもない。
正直、狙われる理由が無いと言ってもいい。
だからこそ、現場に来た。
直接見なければわからない事もある。
「あっ」
そこには当然あるべき物があった。
規制線。
当然、あれほどの大きな事件があったのだから、警察も来ている。
報道も入れないようにしている。
だとしたら、不審な事が生まれる。
何故、この事件は大きく扱われていないのか?
いや。
事件そのものが無かった事にされている。
なのにだ。
ここには規制線がある。
警察が来ていて捜査が行われているって事になる。
立派な事件だわ。
「どうする?」
許可を取らないとここから先には行けない。
「こうします」
すると。
お姉ちゃんは規制線を張っているテープに触れる。
うわっ。
その規制線を消しちゃった。
お姉ちゃんの能力だわ。
正直、こういう使い方をするのは初めて。
「さあ、敷地内に入りますわよ」
何事も無かったかのように言う。
堂々と、とんでもない事やってる。
ビックリだわ。