第2章 今、そこにある危機
ある記事が目に留まる。
この街で起きた陰惨な事件。
まず最初に、病院で治療中に医師を含め5名が亡くなった。
そして、トラックが細い道を高速で走り、その結果ぶつかった事故。
最後に。
警察数十人が犠牲になった事件。
どれも、昨日1日で起きたとは思えないほど。
だけど。
もっと恐ろしいのは、これが大きく取り上げられてない事。
こんな事が起きれば新聞は一面を飾るだろうし。
テレビも特集を組んで紹介しているはず。
でも。
何事も無かったかのように、どこにもそんな事は新聞もテレビも言ってない。
これは、お姉ちゃんの力があって初めて分かった事。
つまり。
何者かの力で握りつぶされているって事。
そんな事がこの街で起きているなんて。
「お姉ちゃん!」
「分かってるけど。あまり首を突っ込まない方がいいですわよ」
そんな。
「だって!」
「と、これで止まるようなら私の妹とは言えませんですものね」
え?
「お姉ちゃん?」
「そうですわね。私達の住んでる街で、こんなとんでもない事が起きてるなんて。黙って見過ごす訳にもいかないものですわね」
それじゃあ。
「行きましょう。ただし、十分に気をつけた方がよろしいですわ。この事件。単なる事故や事件とは思えない。握りつぶさないといけない“何か”があるんでしょうね」
それは私も十分承知の上。
「友達が巻き込まれる前に、なんとかしないと!」
私の周りにいる人はおそらく大丈夫。
何かあっても、返り討ちにするような人達ばかりだから。
でも。
学校のお友達は普通の生活を送ってる人。
こんな恐ろしい事とは無縁の人達。
だから、巻き込まれる前になんとかしないと!
「まずは病院ですわね」