表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その先にあるもの  作者: ヒロコウ
1/17

その1

この作品は、前に消した「宗教オマージュ」の元の作品になります。

当時は、400字までしか打てないガラケーのメモ帳機能を使って書いた作品でありました。

この作品は起承転結がとてもあったものでは無く、日本語も怪しいものがあって別の意味で内容がぶっ飛んでいる

作品かと思います。

それにある程度の修正を加えた作品です。

こんな作品でも、最後まで読んでくれたら幸いです。

 ここは大和の国。

過去の戦争に負けてから町は復興し、200年ほどが経過していた。

そして、ある町の家電量販店でTVをみている青年が居た。

「おーい!ちょっとこっち来て見ろ。ゴヘー!面白い事になっているぜ」

「あのなぁ、俺は吾平あいらだってば。ゴヘーって言うの止めてくれよな」

吾平は友人に呼ばれ、最近ようやく安く普及した18インチの有機ELディスプレイのテレビの

展示物前にきた。

吾平の目に飛びこんできたものは、国の重要施設を埋め尽くす黒山の人だかり。

それを上空から写した映像だった。

吾平の友達であるマサキが言う。

「こいつら何なんだよ!背広きたサラリーマンっぽい奴だらけじゃん」

ズームされた映像からは、何かを叫んでいる人たちの姿が見て取れる。

「こいつら遂に動いたのか…」

吾平は怪訝そうな顔をした。

TVを見ていた次の瞬間、TVは無音になった。

画面には、国の重要施設へと次第になだれ込む人の姿が写っている。

一体なぜ、これだけの数の人を制止できなかったのだろうか?

「うわっ!」

吾平の身体がうねり、身体を起こした。

過去に本当に起きた出来事。吾平は夢にうなされて目が醒めたのだった。

寝汗もかなり掻いている。

「おはよう。あっくん」

物音に気が付いて、一人の女性が吾平の側に来た。

「おはよう。彩子」

「やっと起きたのね。さあ、早く着替えて。お題目唱えましょう」

彩子に言われて布団から出た吾平は直ぐに着替えて家のリビングまで来た。

そこには数珠を持ち、西側に向けて掛けられている掛け軸と、やはり西の方向に向かって待機する彩子の姿があった。

吾平も、台の上に置いてある数珠を持ち出して準備を整える。

そして、ウォークマン型の機械をとり出して、ただ太鼓の様な音が鳴り続ける

機械のスイッチを入れた。

これのリズムに合わせて、二人で声に出して唱える。

「妙法蓮華経 方便品だいにー。にーじーせーそん。じゅうさんまい。あんじょう……」

彼らは、日蓮という人が教えを説いた勤行というのを始めた。

唱えるのに必要な時間は約30分。

唱え終えると、部屋の別の所にある機械にカードをつけた腕をかざす。

これで朝の勤行が終了となる。

毎日、最低でも昼12時までに一回はしなければならず、また午後を回ればもう一度

勤行をしなければならない。つまりは一日二回しなければならないのだ。

こうなると昼の変わり目に一回、変わったらもう一度。

などと言う手でやれば、そう面倒ではなさそうであるが、

勤行をしたかチェックをする機械が曲者で、何かの設定か、昼の12時から1時間は起動しないのだ。

カードはIC式で、携帯出来る様になっている。

それぞれの人の生活リズムが違うと言う事で、外の至る所にチェックするための機械が設置されているのだ。

…30分の勤行を終えてその場を立つ。

彩子が吾平に質問をする。

「せっかくの休みだし、何処かに行かない?」

「うーん、そうだなあ。ちょっと買い物でもいこうか」

二人が行く先はスーパーマーケットだ。

広宣流布、憲法の改正さえなければ、休日に何処か慌ただしい事に何か成らなかったのであるが。

スーパーの開いている時間は、10時から19時までの9時間。

一見普通に見えるのだが……。

吾平と彩子の二人は、食料の買い物をする。玉葱やら、人参。卵や牛乳。そして、お米。

食料を買い終わると吾平たちは、電気製品を見に行った。炊飯機が最低でも4万円からだったり、電子レンジも、一番安くて5万円から。

その他もろもろ。吾平は

「高くなったよなあ」

と、小声でいった。

彩子はただ、黙って吾平と一緒になってウインドウショッピング状態だ。

レジの上のポップスタンドには、アルバイト募集の紙が貼ってある。

吾平はこれを見てみた。

アルバイト募集の広告にはこう書いてある。

「レジ、商品の品出し等の仕事です。1日4時間(フル)以上働ける方募集。1日1時間程度の残業あり」と。

吾平は心の中で「こんなに短くてどうするんだよ!こんなじゃお金なんて稼げやしないだろう」って思った。

そうなのだ。

約5年前、憲法の一部改正、あの宗教団体出身の議員たちによって労働基準なども変えられたのだ。

その宗教団体の名前は登流薄教団と言う。

この宗教団体によって日本は広宣流布というのがされて、今に至るのだ。

そして吾平たちは、買い物を済すと自転車に乗って店を出た。

右へ曲がってしばらく走ると、吾平はかなり遠くからでも見える海上の、しかも空中に浮く巨大建造物を見上げる。

「やっぱりデカいなぁ。しかし、前の政府はこんなもん必要無かったんだよな。きっと」


吾平が見ている、海上に浮く巨大建造物。

それの名前は「アクアフローティングビレッジ」|(以下AFV)と言って、約40年ほど前に建造された空に浮かぶ建造物だという。

広さは、約138.000㎡で、東京ドーム約3個分。

ここに各研究室や居住区がある。一番高いビルで15階床ほどだ。

そしてMAX2万人が暮らせるキャパがある。

またAFVには、軌道エレベーターが15基ほど設置されている。

きたるべき将来の宇宙開発の実証試験のために設置された。

なぜ、軌道エレベーターが必要なのか。

それは今より約50年前、アメリカよりもたらされた、UFOのオーバーテクノロジーのを使ったもので、AFVは海上100メートルの所を浮いているのだ。

浮遊する為に使われる機関部はかなり巨大で、かなりの重量を支えられる様になっている。

そして、数日前から登流薄教団のAFVへの移転が、始まっていた。


遠くAFVの下にある船を吾平は眺めていた。

動きが止まり、遠くを眺めていた吾平に気が付いた彩子が、早く家に帰る様に促した。

吾平たちが住んでいるのは、木皿津市のほたる野という街。

いま、吾平たちが働いている通称「かずさアカデミックパーク」と言われる地域にある工場にも、割と近い。

便利で、家賃も安い。

ただ、このほたる野は過去水没した経験がある街。

6年ほど前、突如現れた謎の超巨大津波による「超災害」により、水没した。

最も、被害を受けたのはここに限らず広範囲で、海抜の低い地域ならほとんどだったらしい。

特に東京は甚大な被害を受けた。

台風に加え、60メートルを超える有り得ない大津波が発生して各地を襲った。

ここ、ほたる野も例外では無かったという。

このほたる野の海抜は15メートル程である。まるまる飲み込まれてしまったのだろう。

でも、この5年でかなりの復興をしたらしい。

そんな街に、吾平たちは住んでいた。

買い物を終えた吾平たちは、アパートの自宅の前に来た。

吾平たちの住んでいるのは鉄筋コンクリート造りの4階床で、その3階。

一階床に付き8部屋あって、右から2番目の307号室に住んでいた。

部屋に入る前に横を見ると、一番左の部屋の所にサラリーマン風の男が立っていた。

「…|(あれは罰金の取り立てだな)」

吾平はそれだけ思って、部屋に入る。そして彩子も続いた。

「あっくん。さっきのあれって、罰金の取り立てだよね?」

「そうだね。黒服|(正式会員の通称)がいたって事は、あの家の人は4ヵ月位の何処かで勤行をして無かったって事になるかな?」

「全くいやだよね。こんな事になって」

「そうだね。全く登流薄教団の誰が、こんなシステムを開発したんだか。NH○かっての!」

そうなのだ。登流薄教団が考えたこのシステムは、原則取り外す事が許されていない腕のカードを、

勤行をしたあと備え付けの機械にかざさないと、朝か夜どちらか一回さぼってしまうと、罰金として100円が加算されてしまう。

ちなみに朝、晩の両方をさぼっても、一日に付100円なのだが。

これを月単位で計算し、あまり勤行をやってなければ通知書が本人宛てに届いて、更に警告書、次に取り立て、そして最後は強制連行の上で、簡易な裁判になり、罰金を払わされるらしい。

その時の罰金が、有り得ないような金額だと、吾平は聞いたことがあった。


吾平たちは夕食の支度を始めた。

作るの事のほとんどは彩子だけれど、作る合間に吾平は皿を用意したり、風呂を掃除して、あとはスイッチを押したり。

そして吾平が彩子に今日は何にするか質問する。

「今日は随分と野菜を買っていたけど何にするの?」

「ふつーに野菜カレーだけど?」

「他は?」

「見れば分かるじゃない。アジの開き」

「おー。美味しそうだね」

「もう少し待っててね」

そういうと彩子は、吾平の腕に軽く肘鉄をして、あっちに行く様に促した。

吾平は気が付いて無いのだが、食事を作る時間は彩子にとって聖域の様な物らしい。

そして、キッチンを追い出された吾平は席に座ってテレビをつけた。

テレビを点けると、ニュースが始まっていた。

初めは、地方ニュースや、近頃の話題の物や人の事、そして全国ニュースという、流れになる番組なのだが、その

最初の地方ニュースが流れたた時に写った人物をみて、吾平は一瞬自分の目を疑った。

「むっ!?こいつは!マ、マサキ?」

吾平がこっちに引越ししてきてからの友人のマサキが、テレビに写っていたのだ。

マサキは、あの時に起きた超災害の生き残りの一人として、偶然にもインタビューをされていたのだ。

「そういえば、あいつは鴨川の出身だと言っていたっけ。」

吾平は、独り言をいった。テレビのインタビューの中でマサキは災害から逃れるまでの体験を話していた。

その内容を見ていて吾平は、マサキから聞いた事の無い事が出ていたので

「このお調子ものが!」と、少し疑いつつも笑っていた。

そして、マサキに対するインタビューが終わったあとで、画面の下に

「超災害、次第に明らかになる感動、衝撃の事実!○年にしてあきらかに」

という、テロップが流れる。

見ると、数日後に別枠で特番で流れる番組の内容を告知していた。

要するに、マサキのインタビューはこの番組の宣伝だったって訳だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ