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Heads or Tails   作者: i-pod男
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Phase 05: 戦いの覚悟(リソルブ・トゥ・ファイト)

はい、第五話です。どうぞ。

次の朝、まだ登校時間でもないのに、総一は校舎に入って行った。丁度管理人が鍵を開けてくれているので、何の問題は無い。現在チェス盤と睨めっこをしていた。だが、相手は自分ではない。


(コウイチ、お前の番だ。)


(・・・・・ルークA6からE6)


コウイチに言われるまま駒を進めて行く。総一はこの様に『会話』をしながら自分を相手にチェスで対局ををしていた。これで六戦目ある。どれも全てステールメイトけ、全く決着がつかない。


「そろそろ飽きて来たな。膠着状態が続くばかりだぞ?」


だが、ゲームは突如中断する事になった。何故なら、日直が入って来たのだ。ボードを片付けると、バッグからパソコンを取り出していつも通りメッセージを確認した。新しいメッセージは一件。珠理からだ。開くと、文面はこうあった。


『昨日倒したデスペアの反応を新たにキャッチ。分離した人間の生体反応も消えている。警戒されたし。』


(どう言う事だ?同じ人間からデスペアを二体も作り出す事なんて出来るのか?)


(ミカド、それは俺にも、あいつらにもまだ分かっていない事だ。だが、俺が一番気になっていると言うのは、リリースされた人間の生体反応が消えていると言う事だ。今までにそんな事は無かっただろう?)


(確かに。それはそうだ。元々、オリジナルの『裏』の姿だから内面で押さえている何かをしに行くんだろ?)


(だが、そのオリジナルの生体反応が消えたと言う事は、襲われたか、別のデスペアが奴を襲ったか。その内のどれかだと俺は思う。)


(・・・・探すのが・・・・大変・・・・)


(確かに、昨日はナイトペルソナでデッドナイト・クラッシュとレギオン・スタッブを使ったから、体力が低下したのは間違い無い。不本意だが、一時期は警察組織が作ったアレに頼るしか無いか・・・・)


「・・・い。お〜い!」


「あ・・・!」


脳内会議に没頭していた所為で目の前で手を振っている人物に全く気が付かなかった。


「もう、どうしたの?総一君。珍しくボーッとして。」


「いや、別に。そう言えば、日直お前だったな、翡葉。」


「真里亞でいいよ?昨日はごめんね、お兄ちゃんが・・・・」


「いや、お前を呼び捨てにしてたら、お前の兄貴がまた俺に突っかかって来る様な気がしてな。で、どうした?」


「うん、ちょっとね。言い難いんだけど・・・・」


耳元でボソボソと囁かれた。


「ストーカー、か・・・・」


真里亞は黙って頷いた。


「だったら警察に行った方が早いんじゃないか、俺に言うより?それに、お前の兄貴が刑事なら、護衛なり何なりして貰えるだろう?」


「うん、でも、最近帰りが遅いし、警察は万年人員不足だっていつも文句言ってたから・・・・」


「ま、確かにな。じゃあ、具体的に俺に何をして欲しいんだ?俺は只の学生だぞ?出来る事なんか高が知れてるだろう?それに、俺の経験から言わせてもらうと、ストーカーってのは油汚れよりもしぶといし質が悪い。ああ言う奴らは一度気に入った奴を見つけるととことん諦めない。それに他の男と一緒に歩いてるのを見てそいつを殺すアブない奴だっている。」


「そう、なんだ・・・・待って、俺の経験って・・・・」


「ストーカーに遭ったのは俺の母親だ。」


「あ・・・・そうなんだ。ごめん・・・」


「気にするな。もう昔の・・・・十年位前の話だ。」


前髪で隠している目にそっと触れた。時々ジワリと痛みを感じる、あの傷に。


「話が逸れたな。で、俺に何をして欲しい?」


「家までの送り迎え・・・?」


疑問系で答える真里亞に総一は多少の苛立ちを覚えた。


「それだけか?却って刺激するかもしれないぞ?お前はそのストーカーを炙り出したいのか?諦めて欲しいのか?」


「分からない・・・・」


「じゃあ、俺なりのやり方で止めさせてもらうが、それでも良いか?」


真里亞は黙って頷いた。


「じゃあ、放課後に教室ここで合流だ。」








そして放課後、二人並んで下校し始めた。


『後ろで俺達を尾けてる奴がいる。一旦どこかで止まって奴が何者か見ておこう。』


ポケットから取り出したメモを無言で彼女に見せた。二人は適当な所で止まり、雑談をしている様に見せた。すると、突如腕を締め上げられた状態の学生が現れた。


「こうまで上手く行くとはな。」

してやったりと薄笑いを浮かべる総一。


「え?!お兄ちゃん?!」


そう、そのストーカーの腕を締め上げていたのは、真里亞の兄、誠一だった。


「今回ばかりは協力する事になった。高校生に指示を出されるのは屈辱的だが・・・・」


「妹を守る為だ。プライドなんて犬にでも食わせろ。」


「離せ、このっ!」


「ストーカーって・・・・この人が?!」


暴れるその人物を見て真里亞は驚いていた。その人物は・・・


「そう、生徒会副会長、江崎順一だ。」


「彼女は、僕の・・・僕だけの・・・!」


「言葉には気をつけろ。今お前の腕を締め上げてるのは彼女の兄であり、警察官だ。」


「・・・ったら・・・だったら何だ?!オレの邪魔ヲスル奴ハダれだろうと許サなイ!!」


翡葉の拘束を逃れ、江崎の姿が変わった。獰猛な人狼の様な姿に・・・・


(こいつは・・・?!そうか・・・!『親』の生体反応消失、恐らくこれが原因だ。)


「真里亞、逃げろ!」


総一は真里亞の手を引いてその場から一旦逃げ出した。彼が去り際に見たのは、腰にあのバックルを巻いた翡葉だった・・・・・


(警察組織が作った新兵器の使用者は・・・・あいつか・・・!!)






「あれ・・・・何なの?」


十分な距離を走った所で真里亞が聞いた。


「俺にも良くは分からん。あんな物、初めて見たぞ?」


「戻らないと・・・・お兄ちゃんが・・・・!」


「アイツなら大丈夫だ。俺には分かる。アイツは短絡的な所はあるが、考えも無しに相手に向かって行く様な馬鹿じゃない。そもそも、それじゃ警察官は勤まらないからな。」


総一は近くの自販機で缶コーヒーを二本買って一本を真里亞に渡した。彼はそれを一気に飲み干すとゴミ箱に投げ込み、先程走って来た道を辿り始めた。


「どこ行くの?!」


「様子を見に行く。お前はそこにいろ。とりあえずこれでストーカーの問題は解決したから、俺はお役御免だ。」


ボードをバッグから取り外して転がすとその上に飛び乗って、路地を曲がると姿を消した。





「うわっ!」


結論的に言おう、ラムダは現在苦戦していた。それもその筈、初戦闘になる筈だった時はフェイズに邪魔され、実際の戦闘はこれが初経験なのだ。デフォルトで装備されている拳銃型実弾兵器、オメガブラスターでの攻撃も全て避けられている。ダメージレベルはまだ九十%をギリギリ下回ってはいないが、本人の体力もデスペア・ウルフによって確実に削られている。


(他に武器って・・・・あったっけ・・・・?)


徹夜で覚え込んだマニュアルの中身を必死で思い返した。


(他に武器は・・・・あ!)


左腿に差してある手槍を引っ張り出すと、再び飛びかかって来たデスペア・ウルフに突き刺した。


『アオオオオオオン!!』


「よし!(止めは、腰背面にあるデルタトレーサーで・・・)」


ベルトの背面にあるパーツをオメガブラスターの銃身に取り付けると、下のスライドを一度動かした。そして未だに怯んで動けない所を撃った。


「はあ、はあ・・・・勝っ、た・・・・!」


「お疲れさま、と言う所か?」


ラムダが振り向くと、フェイズが肩にフェイズディバイダーを乗せて目の前に立っていた。


「お前・・・!」


「ああ、そうか、初対面の時は喋らなかったな。俺の名はフェイズ。覚えておかなくて良い。」


エコーがかかった声なので声音自体は不明瞭だ。


「お前、味方・・・・・なのか?」


「さあな。まあ、俺の邪魔はしない事だ。それに、お前は今さっき人を殺したんだぞ?」


「何を言ってる?!あれは化け物に変身した人間・・・・っ!」


「そう。ああなってしまった以上、一体化した人間とアレを分離させる事は不可能だ。纏めてぶち殺すしか無い。」


「そんな!何か方法がある筈だろう?!」


そう叫んだラムダの腹に蹴りが命中した。


「無いからこう言ってるんだ。甘ったれるなよ?救いたい奴を全員救うなんて事は出来ない。必ず、どこかで守りが甘くなり、脇の締まりも緩む。多くを守る為の少ない犠牲、言うなれば必要悪ネセサリー・イーヴィルと考えろ。まあ、お前がどうするかは、勝手だがな。」


四つん這いになったラムダに背を向けると歩き去った。


「ああ、最後に一つだけ覚えておけ。決断に必要な三つの要素。一に勇気、二に度胸、三に覚悟だ。」


そうい言い捨ててボードに乗ると、姿を消した。

はい、と言う事でした。登場した武器のオメガブラスターはブルースワットの

BW-01ディクテイターをごつくして、その側面にΩ の文字をあしらった物をご想像下さい。

デルタトレーサーは追跡型の爆裂徹甲弾を撃つ三角柱型のショットガンの銃身です。

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