第2回
アマゾン川流域のかつて木が生えていた場所にグローブナイトは立ち、「森林を回復するにはどうすればいい?」とソフィアに尋ねた。
「ブレスレットは変身を可能にするだけでなく、ありとあらゆるものをつくりだすことができます」
「なら、植林をする機械もつくれるな」
「もちろん」
「出でよ、空を飛び植林をする機械よ」
グローブナイトの声に応じて、空中に全長1000メートルで白い楕円形の機械が現れた。「お前をフォレスト・メイカーと呼ぼう。フォレスト・メイカーよ、このまままっすぐ進んで大西洋に達するまで木を増やし続けよ」
フォレスト・メイカーが前進するのに合わせて、その下に木が生えていく。
翌日、GB社社長室で菊永がテレビで報道番組を見ている。テレビでは女性のキャスターがニュースを伝えている。映像が切り替わり、左半分には人工衛星が撮影したフォレスト・メイカー出現前のアマゾンの映像が、右半分にはフォレスト・メイカー出現後のアマゾンの映像が映っている。
「ご覧の通り、謎の巨大な機械が通過したところでは樹木が生えていまして、アマゾンは森林が伐採される前の状態にほぼ戻っています。そして、現在謎の機械は大西洋の上空で停止しています」
菊永は満足した様子で、「アマゾンはこれでいい。次は東京だ」と言う。
ブラジルの大西洋沖にあったフォレスト・メイカーの姿が突然消える。そして、数秒後フォレスト・メイカーが東京湾の上空に現れる。フォレスト・メイカーは羽田空港のほうへ飛んでいく。モニターでフォレスト・メイカーから送られてくる映像を見て、菊永は左腕のブレスレットに向かって「東京を森林に変えろ」と言う。フォレスト・メイカーは羽田空港の上空に達する。すると、フォレスト・メイカーの近くに青い人間のような姿をした物体が突然現れた。それは日本の鎧武者に似た装甲(ただし、頭部に鍬形のような装飾はついていない)をまとっていた。その青い物体が「テレポーテーション」と言うと、フォレスト・メイカー全体が黄金の光に包まれ、数秒後にはフォレスト・メイカーの姿が消えた。そして、青い物体も姿を消していた。
「あの青いのは何なんだ。ソフィア、知っているか」と菊永は興奮した様子でブレスレットに話しかける。
「わたしは知りません。ただ、色は違いますが、何となくグローブナイトに似ていますね」とソフィアは落ち着いた様子で答える。
一方、沖縄の砂浜にあの人間の形をした物体が現れた。それは「変身解除」と言うと、身長が180センチくらいで30代半ばの男の姿に変わった。競泳パンツだけを身につけたこのがっちりした体形の男の名は桜野剛という。桜野の左腕にある青色のブレスレットから声が聞こえてくる。
「最初のミッションは成功だ。おめでとう」
桜野がブレスレットを見ると、白髪で白い口髭とあごひげをたくわえた男性の顔が映っている。
「ありがとう、サージョ。それにしてもだれがあんな馬鹿でかい機械をつくったんだろう」
「わしは知らない。が、ただ者でないことは確かだろう」
「とりあえず梅園さんのところに行ってみよう。あの人なら何か知っているかもしれない」