9月30日
ここ最近ニュースが多い噛みつき事件だが、今日は一気に増えて四十件になったと報道されていた。画面をスクロールする手が止まる。四十件?
さすがに政府も、個別の刑事事件として問題を先送りしておくことができなくなったのか、警察関係や厚生労働省、各地の保健所などに調査報告を早急に出すように求めたらしい。もし仮に感染症なら即時対応が必要になり、他にも薬物中毒の急拡大だとしても早急に対策が必要だと説明していた。
もしこれが感染症だったらどうなるんだろうか?またコロナの時のようにロックダウンとかになるのか?でも今のところ事件は首都圏だけのようだから、何かの違法薬物の疑いが濃厚という線で動いているらしい。
俺も以前、ネットで動画を見たことがある。 海外で合成麻薬でハイになった人々が、朦朧として街を徘徊している映像だ。でもあの中毒者たちは動けなくなって、その場で立ち尽くしている印象があった。今回の事件のように人に噛みつくといった一貫した攻撃性はどんな薬物で起こるのだろう。
噛みついた犯人は一様に錯乱状態らしく、それぞれ隔離して身柄を拘束されているらしい。そのため場所の確保が大変だと、インタビューに答えた警察関係者がこぼしていた。
そういえば今日は朝の散歩中にいつも会う人に会わなかった。みんなも警戒しだして、家の中にこもり始めたのだろうか。俺が外に出るようになったとたん、みんなが家にこもるようになるとは皮肉なもんだが、俺もこれからは少し気をつけたほうがいいかもしれない。
でも何に気をつければいい?マスクとかでは太刀打ちできなさそうだ。
母さんは今日はパートを休んでいる。季節の変わり目のせいか体調が少し悪いらしい。こんな時こそ役に立つところを見せなければと、俺は代わりに買い物に行った。
久しぶりにスーパーに来てみると、このご時世だからか平日の昼間だと言うのになんとなく閑散としていた。人がいないわけではないが、皆一様に品定めなどする間もなく、 目当てのものだけを買って、 足早に去っていく。
俺は早速精肉コーナーを見に行ってみたが、肉はあまり置いていなかった。店員に訊いてみると、朝から肉だけは良く売れているらしい。俺は仕方なく、残っていた少し高めの肉と、プウにもかろうじて残っていた安めの赤身肉を買って帰ることにした。
プウはやっぱりシニア用のご飯はお気に召さないようだ。家に帰って生の肉を小さく切ってあげてみると、美味しそうに食べてくれたので一安心だ。まあ多少食費はかかるが、小型犬一匹用の金額など知れている。それに俺も以前より肉を食べるようになっていた。
こんな時でも腹がすくのは、元気になっていってる証拠だろう…




