番外Ⅰ『第1章 登場人物』
・第1章までに登場したキャラクター達の紹介となります。
簡単なプロフィールを添えてみましたので、資料としてお楽しみいただければ
幸いでございます。
・武力について
プロフィールの中にキャラクターの大まかな強さを示す値を添えてあります。
あくまで個人での戦闘能力の目安であり集団戦や特殊戦は考慮していません。
また、この値が高ければ必ず戦闘シーンで勝てるというものでもありません。
30くらいあれば、一騎当千の猛者。(かなり上澄みの部類です)
40以上ならば、常軌を逸した化け物。
50以上ともなれば、歩く災害……といった塩梅になります。
比較用にモブの値を表記すると下記のようになります。
一般的な冒険者:5~20
一般人:1~5
一般兵:10~15
騎士:15~25
精鋭騎士:25~30
【エデルギウス陣営】
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◇ノイシュリーベ・ファル・シドラ・エデルギウス・グレミィル
身長:164㎝ 体重:49㎏ 年齢:22 武力:35
種族:ハーフエルフ
補足:
本作の主人公の一人。
エデルギウス家の現当主にしてグレミィル半島を統治する大領主。
"偉大なる騎士"である父ベルナルドを強く尊敬し、彼の意思と理念を継ぐべく正式に騎士として修練を積んだ上で大領主の座を継承した。
エデルギウス子爵とグレミィル侯爵という二つの異なる爵位を持っている。
しかし本人の想いとは裏腹に、およそ騎士には向かない身体や精神力などから様々な苦難に晒され続け、故に強靭な意思を研ぎ澄ませていった。
その一方で母親譲りの魔力と『妖精眼』による、魔法使いや魔術師としての適性は
類を見ないほどに高く、不足している身体能力を補って余りある才覚を見せる。
特に彼女が纏う全身甲冑『白夜の甲冑』は最高峰の魔具技術の結晶であると同時に、凡人では到底扱いきれない精緻な魔力操作と魔力注入を常時要求される非常に扱いの難しい代物ながら、まるで自分の身体の延長の如く完全に操ることが出来ている。
騎士としての修業期間は約8年間。
"騎士の国"の精神を強く受け継ぐ南イングレス領の角都グリーヴァスロに滞在し、男尊女卑の風潮にも負けずに厳しい修練を耐え抜いた。
当初の修業期間は10年の予定であったが、両親が危篤状態に陥ったとの報せを受けて急遽帰郷することになり、南イングレス領の大領主のイングバルト公爵の計らいで2年繰り上げて叙勲式を執り行い、正式な騎士となった。
ただ、その関係で騎士叙勲の際に騎士として忠誠を誓うべき対象の宣言は未だに行えていない。
正義感が非常に強く、清廉潔白を信条としている。
回りくどい手段や、曲がったことを嫌う傾向にあるが統治者としての責任感や常識は一通り持ち合わせており、理想だけでは務めを果たせないことを理解している。
しかし精神力自体は凡庸であり、年齢相応の女性の域を出ない。
故に政の場では信頼できる臣下の諫言に真摯に耳を傾けて判断力を磨き続け、
戦の場では全身甲冑で素顔を覆って決して他者には涙を見せない女傑として振舞うように心掛けている。
自主的な行動力にも優れており、問題を解決するために自ら率先して動き回る。
猪武者の傾向はあるものの、己を顧みる視点の謙虚さや分析力も一様に持ち合わせており、過去の反省を着実に活かしていくだけの器量を持つ。
統治者としての資質を一言で評価するならば「まずまず優秀」といったところ。
有能な臣下に恵まれれば、特に問題なく順当に領地を治めることが適うだろう。
己にはない父譲りの屈強な肉体と容姿を持って産まれた双子の弟に対しては嫉妬と羨望、憎悪と畏敬が混濁した感情が渦巻いている。
武装:
『グリュングリント』
愛用の斧槍。
刀身部分が魔力親和性に優れた魔鋼材で出来ており、彼女の得意とする風魔法との相性が非常に優れている。魔法の触媒としても使用可能。
それなりの重量があり、ノイシュリーベの膂力だけでは十全に振るうことは出来ないものの、魔法の補助があれば一端の騎士よりも達者に扱うことが可能。
『白夜の甲冑』
グレミィル半島の魔具技術の粋を結集させた傑作防具にして魔導兵器。
銘からも判る通り、"魔導師"ダュアンジーヌ謹製の至高の逸品である。
ノイシュリーベ専用に調整されており、彼女の優れた魔力を余さず活用するよう精緻な調整が施されており、他の者では絶対に扱うことは出来ない。
全身に魔力を巡らせ、各所に設けられている噴射口より豪風を噴射させることにより、足りない膂力を補って余りある機動力と斬撃力を実現する。
更に肩と腰の草摺り部分はノイシュリーベの意思と魔力操作によって自在に稼働させることができ、噴射口の向きや角度の微調整が可能。
絶え間なく豪風を噴射させることにより常軌を逸する機動力を発揮する。
更に噴射口を後方に集約させれば凄まじい加速力を垣間見せる。
『妖精結晶の細剣』
護身用、あるいは儀式用の細剣。
妖精結晶と呼ばれる特殊で希少な魔晶材を研いだ刀身を備えており、剣戟には向かないが魔力親和性に優れ、魔法の触媒として非常に優秀な得物となる。
剣というよりは魔法使いの杖に近い性能。
社交界では裕福な貴族であることの証明としても役立つために、甲冑を纏わない街中や城内では斧槍斧槍よりもこちらを優先して帯剣していることが多い。
『白馬フロッティ』
ノイシュリーベの友である愛馬。
"騎士の国"と呼ばれた旧イングレス王国に於いて王族御用達であった優れた馬種で、正式な騎士となった際にイングバルト公爵より特別に贈られた。
非常に利口で身体能力も高く、ノイシュリーベの無茶な要求にも懸命に応えてくれる影の立役者ともいうべき相棒。
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◇サダューイン・エヌウィグス・エデルギウス
身長:189㎝ 体重:151㎏ / 285㎏("樹腕"開放時) 年齢:22 武力:35
種族:ハーフエルフ / 魔人
補足:
本作の主人公の一人。
ノイシュリーベの双子の弟であり、彼女に家督と爵位を譲りながらも領地と領民を護るために人知れず活動を続けている。
直属の部下にして暗部の精鋭『亡霊蜘蛛』を自ら組閣し、また各街にも部下や協力者を配置して己の手足として活用することでグレミィル半島のほぼ全域の情報を網羅する。
生涯をグレミィル半島の安寧のために捧げた母親、"魔導師"ダュアンジーヌに強い憧れと尊敬の念を抱いており亡き母の意思と理念を受け継ぐべく彼もまた"魔導師"を目指すものの、絶望的なまでに魔力を蓄えられない肉体に深い苦悩を懐く。
父ベルナルドに酷似した容姿と肉体を有しており、もしも彼が真っ当な騎士を目指していたならば、皇国はおろか大陸中を見渡しても屈指の武将と成り得ただろう。
非常に頭が良く、努力家でもあるためか常人を遥かに凌駕する知識を蓄えており、数多の分野に精通している。サダューインに足りないものがあるとすれば、魔力を操る才能と妥協を許せる寛容さだけである。
姉とは異なり精霊を視るどころか声を聞くことすら不可能。
故に魔法の習得は一旦諦めて、魔術の修練に専念するためにあらゆる手管を駆使して不才を補ったが、低位の魔術を辛うじて扱えるようになったのが精々だった。
"魔導師"どころか魔術師にもなれず、魔具術士としても大いに不足を感じている。
知識量自体は"魔導師"相当の位階に達しており錬金術師や歴史学者、果ては外交官や商人としても通用するほどの博識ぶりを発揮する。
その一方で武芸者としての鍛錬も欠かすことはなく、有事の際には貧弱な魔術を補うべく武術もしくは力業で打開を図る。
右目と左掌を切除し、それぞれ魔眼と竜人種の掌を移植している。
これにより微量ながらも魔力を蓄えることが可能となり、ようやく魔術を行使することが出来るようになったという……。
また背部には死亡した亜人種達の"腕"を移植し、脊椎と直結させることにより自由自在に操ることを可能としている。これらを総称して"樹腕"と呼ぶ。
普段は『縮小』の術式が刻印された魔具により衣装の裡に納められるサイズにまで小さくしている。
目的のためならば極力手段は選ばない。グレミィル半島の安寧のためならば己の手を汚すことも厭わない。むしろ姉のノイシュリーベを際立たせるためにも率先して
汚れ役を引き受ける傾向があり、故に己の立場や肉体すら道具として扱っている。
己が美丈夫であることを理解しており、貴婦人を誑し込むことで各地に有力な協力者や情報網を構築している。
一方で武芸者としても一流であるために強さを追い求める武人肌の男性達からも一目置かれることが多い。更に、様々な分野に精通した知識量と交渉術から文官からの受けも良い。
母譲りの莫大な魔力と『妖精眼』を持つ双子の姉に対しては嫉妬と羨望、憎悪と畏敬が混濁した感情を抱えている。
武装:
『サーペントスタッフ・改』
キーリメルベス連邦の軍事大国マッキリーで造られた特殊な魔具杖。
"生きた金属"と呼ばれる複層魔鋼材で出来た先端部を備えており、所持者の精神と同調させることにより、自由自在に稼働する触手となる。
初期状態よりも大幅に性能が落とされており、代わりに扱い易さが向上している。
それでも常人では真っ当に扱うことは出来ず、サダューインの博識さと器用さがあって初めて運用することが可能。
本来はマッキリーの秘中の秘である魔女兵器達の専用武装として制作された逸品。
元々はヴィルツ・ウォーラフの仲間である"屍氷の銀乙女"エルブルスの所持品であり彼女が冒険者稼業を引退したのでヴィルツを経由してサダューインの手に渡った。
『極夜の装束』
サダューインが発案し、テジレアが造り上げた外套型の魔具。
『亡霊蜘蛛』の基本装備であり『姿隠し』の術式が刻印されている。
装着者が魔力を注ぎ込むことで魔術効果を起動させ、一時的に姿と気配を晦ませることが可能。しかしサダューインの魔力量では、ほんの一瞬だけしか効果を発揮できないので実質的に、ただの丈夫な外套と化している。
一応、純粋な外套として評価する場合でも傑作の部類に入り、対刃性能に優れた複合繊維で編まれた布地は防塵・防寒の面でも優れる上に耐火性も備えている。
対斬撃に限るならば下手な板金鎧よりも相手の刃を防ぎ得るかもしれない。
なおエヌウィグスとはサダューインの"妖精の氏族"内での名前であり、『全てを呑み込む闇』という意味を持つ。
『アルベリヒ・リング』
"妖精の氏族"に伝わる秘宝の一つ。
蒼い金属に金細工と真紅の宝石が埋め込まれた腕輪。
『縮小』『幻換』『反底』の三種の精霊由来の古代魔法を封じ籠めた亡失技術の結晶とも呼ぶべき代物。
ダュアンジーヌの生家であるエルフ種の王族、フィグリス家が数千年に渡り保管していたが、その有用性を見出したサダューインが交渉の末に己が手中に収めた。
その条件として、当時の"妖精の氏族"の氏族長は自分の娘とサダューインの婚姻を申し出たという。
三種の古代魔法が刻印されてはいるものの、サダューインの魔力量では『縮小』と『幻換』しか扱うことが出来ない。しかし彼にとってはそれで充分であった。
この『縮小』の古代魔法に効果により"樹腕"を衣装の裡に格納できるサイズにまで縮ませ、『幻換』と他の魔具の効果を掛け合わせることで異形と化した左腕を健常な腕に見せ掛けることにより、有り触れた貴公子として振舞っている。
『黒馬リジル』
ラナリキリュート大陸の隣の大陸、"燦熔の庭園"の一部の地域に棲息する馬種。
闇の深淵の如き漆黒の毛並みが特徴で、過酷な土地でも耐え抜く生来の強さを持つとされるテスカリオ馬。
"燦熔の庭園"の名門貴族でありながら没落の憂き目に遭ったドニルセン姉妹を保護した際に、彼女達に残された最後の財産である覇王鷲とこの黒馬を受け取った。
本来の持ち主はドニルセン姉妹の妹、ラスフィシア。
現在ではサダューインに完全に懐いており、グレミィル半島を巡る際に活用中。
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◇エバンス・エルカーダ
身長:157㎝(耳含む) / 150㎝(耳含まない) 体重:81㎏ 年齢:22 武力:34
種族:狸人
補足:
大陸各地を巡業する旅芸人にしてエデルギウス家の密使。
そして姉弟の友人にして幼馴染であり、仲介役を務める重要人物である。
ヴェルムス地方に根差す"獣人の氏族"の下級戦牙の家の出身。
この地方では厳格な階級意識が根付き、下層身分である彼は本来ならば苗字を持つことは許されない存在であった。
エバンスが5歳のころ、戦場に駆り出されていた両親が戦死したことにより、幼い彼は骨拾い(乞食と廃品回収者の中間)に身を落として飢えを凌ぐ羽目となった。
泥水を啜るような生活を2年以上も続け、身も心も干からびてしまったころにノイシュリーベと、彼女の父親である英雄ベルナルドに出会って保護された。
エデルギウス家の使用人として住み込みで働くことになり、その傍らであらゆる作法や知識、武芸などを学ぶ機会を得た。
サダューインとは、ともに魔術や魔法の探求に明け暮れた仲であり、骨拾いから成り上がったエバンスのことをサダューインは高く評価するようになっていった。
その後、幾らかの縁と転機が合わさり大陸中を巡業する旅芸人の集団『エルカーダ一座』へと入門を果たす。
厳しい修行の末に一人前として認められエルカーダの姓を名乗ることを許された。
現在は単独で各地を巡業する旅芸人兼エデルギウス家の密使として活躍中。
ノイシュリーベに絶対の忠誠心を懐いており、彼女が目指す理想の世界を実現させるために人生の全てを捧げようとしている。
姉弟とのみ接する時はフランクな口調で話すが、衆目のある場では貴族と接するに相応しい口調と振舞を心掛けている。
その一方で、時には平民ならではの視点からの諫言を申し出ることもある。
普段は陽気で大らかな性格。職業柄なこともあり、どんな土地でも、誰とでも会話を弾ませることが可能で、非常に優れた交渉力と危険感知能力を有している。
その一方で、主君であり恩人であり幼馴染であるノイシュリーベのためならば己の身を危険に晒してでも彼女の援けにならんとする信念の強さを併せ持つ。
実は獣人種の中でも抜きん出た身体能力を持っている。
英雄ベルナルドから武芸の手解きを受けていた期間もあるため、『翠聖騎士団』の部隊長達と比べても遜色ない武力を隠し持っている。
また魔法の素養もあるようで、ある程度の実践的な魔法を習得している他、楽曲に魔力を乗せて放つ『魔奏』を得意としている。
武装:
『大型ブーメラン』
ベルシンガ地方の紅樫を素材として造られた投擲武器。
護身用として携行しているが、大道芸を披露する際にも活用することがある。
『青銅の短剣』
戦闘用というよりは野営道具としての短剣。
鞘にはエデルギウス家の家門が刻まれており、密使として活動する際に役立つ。
『エルカーダフィドル』
エルカーダ一座の紋章が刻まれた弦楽器。
過酷な旅に耐え抜くために非常に頑強な構造をしており専用の弦が張られている。
エバンスが魔奏を披露する際にも用いられ、云わば一種の魔法の触媒としての側面も併せ持っている。
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◇ラキリエル・ミーレル・ファルシアム(純人種形態)
身長:159㎝ 体重:50㎏ 年齢:19 武力:20
種族:純人種 / 大海の竜人
補足:
本作のメインヒロイン。
アルドナ内海の遥か水の底、海底都市ハルモレシアにて海神龍ハルモアラァトを奉る巫女として生きてきた無垢の貴人。
幼少のころより制限された空間と交流関係の中で過ごしてきたためか実年齢よりも少々、幼さが残る。(精神年齢は15~16歳くらい)
限られた世界の中で一筋の光となっていた『群青の姫君と翳の英雄』という御伽噺が綴られた書物を繰り返し読み耽り、地上世界に対して強い憧れを懐いていた。
そんな彼女の状況を一変させたのは、突然の故郷の滅亡。
ラナリア皇国海洋軍の潜海艇による襲撃を受け、滅び行く海底都市と同胞達の犠牲の果てに辛うじて危地を脱したものの、その事実は彼女の心に海よりも深い傷痕を刻み込んでしまった。
故郷を離れる間際に海神龍ハルモアラァトの存在核でもある秘宝『灼熔の心臓』を託されている。
ノイシュリーベに匹敵する保有魔力量に加えて、現在は亡失されし古代魔法を操るほどの魔法の才能を有し、常人では到底不可能な高度な治癒術を行使する。
特に水を媒体とした魔法を得意としており、固定物を粉砕する際の破壊力はサダューインの殴撃をも上回る威力を垣間見せた。
ただし本格的な戦闘訓練を受けているわけではないので、素早く動き回る敵や集団を相手に機敏に立ち回ることは出来ない。
育ちの良さを感じさせる善良でおっとりとした性格。
やや思い込みの激しい側面があり時として凄まじい行動力を発揮することがある。
地上の文化や常識には疎いものの生来の頭の良さと向上心からか、サダューインですら瞠目するほどの速度で必要な知識を身に付けている。
滅び行く海底都市より脱出して以降も身を挺して護り続けてくれていた従者ツェルナーに対しては心の底より感謝と恩義を感じており、故に彼が悪漢達によって殺害された(ように見せ掛けられた)際には、絶望の淵に陥りかけた。
武装:
『海底都市の法衣』
白を基調とした高位の巫女が着用する衣装。
海底都市の発展とともに発達した縫製技術の粋を集めた傑作品とも云うべき代物。
深海龍の体毛を素材とする特殊な糸で編まれており、肌触りは滑らかで海水を効率よく受け流すばかりでなく、水圧にも耐え得る非常に堅牢な材質となっている。
地上での生活にも充分に耐用し、ラキリエル達が約半年もの逃亡生活を耐え忍ぶ間にも致命的な損耗は見受けられなかった。
ただし細かい部分では解れが生じており、ヴィートボルグで修繕した際には地上の糸が使用されたので幾分か耐久力が劣化している。
『海神龍の聖骸布』
海神龍ハルモアラァトを奉る巫女に下賜される特殊な半透明状の布。
海底の竜の民の力を保護する効力があり、ラキリエルが地上で活動するために純人種の姿に変身した際には、竜人の鱗や翼や尾をこの布に格納されることになる。
この布が無くとも純人種の姿にはなれるのだが、その場合は一部の強力な古代魔法
が使用できなくなる。
つまり、竜人本来の力を疑似的に行使するための触媒のような役割を担っている。
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◇ラキリエル・ミーレル・ファルシアム(竜人形態)
身長:195㎝(尾鰭含む) 体重:88㎏ 年齢:19 武力:40
種族:大海の竜人
補足:
ラキリエルの本来の姿。
背中には左右一対の翼を持ち、耳は鰭のような形状。肌は青く薄い鱗で覆われており、水搔きの役割を担う爪は長く伸びている。
最大の特徴として人魚のような尾鰭を有しており、全ては海底での生活に特化した姿と云えるだろう。
戦闘訓練を受けていないにも関わらず、竜人本来の能力と地形適正を得た彼女は、精鋭騎士すら軽く凌駕するほどの力を発揮する。
武装:
『灼熔の心臓』
海神龍ハルモアラァトの存在核であり、海底都市ハルモレシアの秘宝。
遥か太古の時代にて創られたとされる代物で、凄まじい魔力を秘めた黄金炉。
この灼熔によって、『霊滓綺装』なる常軌を逸した決戦兵器が創り上げられる。
球形を象ってはいるが、本質は黄金の粒子の集積体であり、如何なる形状にも展開することが可能。
普段はラキリエルの肉体に溶け込ませておくことで、存在を秘匿している。
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◇ジェーモス・グレイスミルド・ベルダ
身長:178㎝ 体重:70㎏ 年齢:52 武力:30
種族:純人種
補足:
姉弟の父、ベルナルドの代よりエデルギウス家に仕える古参の騎士。
既に全盛期は過ぎているものの、その武力と統率力は若者達に引けを取らない。
名門貴族であるベルダ家の当主であり、武力と政治の両面で秀でている。
『翠聖騎士団』第一部隊長兼副団長を務めており、長年の経験と弛まぬ努力の甲斐あってか非常に高い指揮能力と判断力を発揮する。
質実剛健な性格で贅沢はあまり好まない。
また身分に捉われずにヒトを見抜く眼力と価値観を有しており、故に『森の民』に対しても"黄昏の氏族"以外には公平に接することが出来る。
実はベルダ家の家格はエデルギウス家よりも遥かに高く、伯爵位を有している。
対してエデルギウス家は今でこそ子爵だが、『大戦期』以前は男爵の中でもかなりの下位に位置していた。
にも関わらず、常に最前線で領民の為に槍を振るい続けるベルナルドに英雄の器を見出し、自ら彼の部下となって防衛部隊に馳せ参じたという。
政治に疎かった当時のベルナルドが、戦後に上手く立ち回ることが出来た背景には確実にジェーモス及びベルダ家の介添えがあったことは間違いない。
武装:
『魔槍ゲーノルン』
ベルダ家に伝わる魔具の一種。形状は騎槍型。
高度な魔術が複数刻印されており、騎馬突撃中に様々な魔術を疑似的に行使することを可能としている。
また魔鋼材を惜しみ無く使われているために、純粋な騎槍としての性能も高い。
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◇ベリル・アベルソン
身長:180㎝ 体重:69㎏ 年齢:21 武力:27
種族:純人種
補足:
ラキリエル救出のためにノイシュリーベが選抜した十騎の魔法騎士の中の一人。
『翠聖騎士団』第一部隊に所属する若き魔法騎士。
部隊長であるジェーモスも認めるほどの才覚を秘めているが、まだまだ経験不足の面が目立ち、実力は確かながらも思わぬ局面で不覚を取る傾向がある。
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◇エドヴァルド・エシュラ・カーミル・アッペルバーリ
身長:192㎝ 体重:74㎏ 年齢:267 武力:12
種族:樹人
補足:
"大樹の氏族"の中でも名門とされるアッペルバーリ家の当主にして、グレミィル半島の政治を司る紋章官達の纏め役を務める人物。
長寿の樹人の中でも高齢の部類であり、積み重ねた経験と実績は国内外にも名が広まっているほど。
公平な判断を下せる人物ではあるが成果主義であり、役に立たない人材は冷酷に切り捨てるか、閑職に追いやって権力を削ぎ落そうとする傾向が見受けられる。
今のところは大領主であるノイシュリーベに対しての評価は保留。
これからの躍進に期待している、といった具合である。
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◇エゼキエル・ブレンケ
身長:181㎝ 体重:75㎏ 年齢:48 武力:33
種族:純人種
補足:
城塞都市ヴィートボルグの多面騎士を束ねる地位にある人物。
平民から成り上がった一代限りの騎士であり、元々は南イングレス領を治めるイングバルト家に仕えていた。
角都グリーヴァスロに騎士修行にやって来たノイシュリーベの教官役を務めていた時期があり、女性の身で騎士を目指す彼女に対して唯一 公平に接していた。
そういった縁があってか、彼女がグレミィル半島に戻り大領主の座を継ぐことになった際には、信頼できる騎士として直々にヘッドハントされた経緯を持つ。
巌のような風貌で、如何にもな武人肌。『大戦期』を駆け抜けて騎士叙勲を受けただけのことはあり『翠聖騎士団』の中核を担う魔法騎士達と比較しても遜色ない実力者であり、各部隊長にも匹敵し得る。
武装:
『グライムハーケン』
実戦の中で何度も何度も改修を繰り返された斧槍の一種。
石突部分に鎖型の魔具が仕込まれており、『延長』の術式により鎖を最大80mほどの長さにまで伸ばすことが可能。また鎖の先端には大型ナイフが仕込まれている。
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◇アンネリア・ヒュンフ
身長:157㎝ 体重:51㎏ 年齢:32 武力:7
種族:ハーフエルフ
補足:
ノイシュリーベに仕える侍従頭。代々フィグリス家に仕える侍従の家柄の出身で、ダュアンジーヌの代より城塞都市ヴィートボルグで奉公している。
彼女よりも年季を経た侍従は幾人か存在するが、業務能力の高さとノイシュリーベからの信頼の厚さにより、彼女が侍従頭に就任したことに表立って異を唱える者はいない。
意外と新しいものや流行物に対する関心が強く、城館に出入りする紋章官や他国の使者へのさり気ない応対の最中で国内外の最新の情報を仕入れている。
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◇テジレア
身長:142㎝ 体重:77㎏ 年齢:28 武力:26
種族:ドワーフ
補足:
キーリメルベス大山脈内で暮らしていたドワーフの部族の出身者。
部族同士の対立に敗北して故郷を追われ、各地を放浪していた末に流れ着いたグレミィル半島にて、当時15歳であったサダューインと出会った。
その後、ドワーフの鍛冶技術と魔具造りの知識を高く買った彼によりスカウトされ『亡霊蜘蛛』の組閣にも一枚絡むこととなる。
現在は『亡霊蜘蛛』の纏め役のような役割を担っており、各地の偵察を行う傍らでサダューインが発案した魔具の制作や改良に従事している。
面倒見の良い性格で、他の『亡霊蜘蛛』の面々からも慕われている精神的支柱。サダューインの理念には納得と理解を示しながらも一定の距離を置いて冷静な判断力を維持しようと努めている。
武装:
『業物の短刀』
ドワーフの技術を結集し、テジレアが自ら鍛造した代物。
非常に頑丈な造りをしており、過酷な任務の中でも滅多に刃毀れすることはない。
『投擲用ナイフ』
同じくテジレアの自作物。
使い捨て前提の数打ちであり、敵に拾われて再利用されることを避けるために敢えて自壊し易い設計が成されている。
場合によっては爆薬を仕込むこともある。
『極夜の装束』
サダューインが纏うものより一段階、品質の劣る魔具装束。
ただし、製作者本人であるテジレアは独自のカスタマイズを施している。
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◇スターシャナ
身長:170㎝ 体重:60㎏ 年齢:58 武力:30
種族:ダークエルフ
補足:
サダューイン専属の侍従にして『亡霊蜘蛛』の一員。
テジレアと同じく組閣時から在籍する古参でもある。
エルフ、及びダークエルフの寿命は純人種の約3倍ほどで、純人種に換算するなら19~20歳に相当する容姿。
なお姉弟やアンネリアのようなハーフエルフの寿命は純人種とそう大差はない。
"妖精の氏族"の中でも珍しいダークエルフであり、忌むべき対象。
本来であれば発見と同時に殺害ないしは追放される運命にあったが、奇しくも彼女は『妖精眼』を有していたために唯一、生かされることになった。
しかし、それは檻の中で飼われる珍妙な動物も同然の扱いであり、奴隷以下。
檻から出されることがあるとしたら、物好きな者達の慰みものにされる時のみ。
故に彼女は産まれてから40年以上の歳月を家畜の如く過ごしてきたという。
そんな彼女に救いの手を差し伸べたのがサダューインであり、"妖精の氏族"の中でも名門とされるフィグリス家の権力を駆使して彼女を檻から解き放った。
その後、フィグリス家で数年間 侍従として働いて教養を身に付ける。
サダューインが彼女に興味を持った理由は『妖精眼』を保持していたからであり、彼女もまたそれを十二分に理解している上で慕っている。
なお当時12歳であったサダューインが初めて抱いた女性でもある。
フィグリス家を除く"妖精の氏族"全員に深い恨みを懐いているが、仮に復讐を成し遂げたところで何も得るものはないと弁えるだけの理性と知性を獲得している。
常に貞淑に振舞うことを心掛け、主君のために文字通り身を削って尽くす性分。
一方で、ダークエルフという種族特有の高い戦闘適正を有しており、通常のエルフ種と比べて筋力的なハンデはない。
『亡霊蜘蛛』の中では、エシャルトロッテに次ぐ戦闘能力を誇る。
武装:
『極夜の装束』
サダューインが纏うものより一段階、品質の劣る魔具装束。
侍従として奉公している時は身に纏うことはない。
『鋼鉄の大剣』
特にこれといった特徴のない、有り触れた形状の大剣。
製作者はテジレアであり、純粋な武器としては傑作級に相当する。
『イグニートデバイス』
ガントレット型の魔具。強力な雷撃魔術と火炎魔術が刻印されている他、ノイシュリーベの甲冑には及ばないまでも2門の噴射口を備えている。
近接戦闘時の補助防具として活用する他、野営する際に調理器具として役立つ。
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◇ルシアノン
身長:154㎝ 体重:48㎏ 年齢:105 武力:22
種族:吸血種
補足:
"黄昏の氏族"出身の研究者。
イェルズール地方では人間牧場の運営を任されていた一族の生まれで、家畜として飼われている純人種の品種改良を担当していたが、内心では不快感を感じていた。
ある日、現体制や非人道的な文化に対する疑問を氏族長に訴えたところ、瞬く間に村八分にされて迫害の対象となってしまい全ての権限と財産を剥奪されてしまう。
途方に暮れて自害を試みようとした際に、偶然イェルズール地方の視察に訪れていたサダューインと出会い、その知性と肉体と血の甘美さに骨の髄まで魅了されてしまったので、自ら命を絶つことを思い留まったという。
その後は紆余曲折を経てサダューインに服従を誓い、『亡霊蜘蛛』の一員となる。
イェルズール地方で彼女が培ってきた知識と技術は魔導研究所で活かされている。
学究の徒ではあるが、悪戯好きであり茶目っ気に溢れている。
一度、研究に没頭し始めると のめり込み過ぎる性質であり、サダューインから見てもドン引きするほどである。
上述の通り、"黄昏の氏族"の現体制には強い不満を懐いており、それを打ち破ろうと画策するサダューインとは利害の一致から協力を惜しまない。
武装:
『極夜の装束』
サダューインが纏うものより一段階、品質の劣る魔具装束。
研究者であるルシアノンは基本的に前線に立つどころか外出することすらないので
率先して着用する機会は滅多にない。
精々、気晴らしに城館の地上階を散歩する際に衆目を避ける目的で用いる程度。
『鮮血魔装』
吸血種特有の血液を凝固させた装具。
ルシアノンの趣味と業務内容により大鎌や大鋏のような形状を象ることが多い。
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◇ジューレ
身長:202㎝ 体重:244㎏ 製造年数:4 武力:29
種族:蜘蛛人 / ホムンクルス・レア
補足:
魔導研究所の奥深くで研究・培養されている生体魔導兵器の変異個体。
特例的に『亡霊蜘蛛』の一員に含まれている。
太古の蜘蛛人の遺伝子を元に培養され、設計段階では15mを越える巨体になるよう調整されていたにも関わらず、彼女は2m程度で成長が止まってしまった。
これは現代の蜘蛛人とほとんど変わらないサイズである。
故に失敗作として廃棄処分にされかけていたところで、サダューインが「これはこれで使い道があるかもしれない」と判断したので特別に生かされることになった。
その後、近接戦闘の技巧を叩き込まれた上でルシアノンの護衛役として配置されることになり、現在は彼女とともに魔導研究所で静かに暮らしている。
10歳児程度の知能を獲得しているようで、片言ながらも会話や意思疎通は可能。
ルシアノンとサダューインに対してはよく懐いている。
武装:
『極夜の装束』
サダューインが纏うものより一段階、品質の劣る魔具装束。
蜘蛛人用に少々、特別な仕様となっている。
これは現在培養中の生体魔導兵器達を実戦投入する際に装着させる魔具装束を開発するためのデータ採取を兼ねている。
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◇ラルセン
身長:167㎝ 体重:60㎏ 年齢:63 武力:1
種族:純人種
補足:
グレキ村の村長。
一帯を束ねる大きな村の長だけのことはあり、周辺地域の情勢に明るく交渉上手。
年代的に『森の民』に対して強い嫌悪感を懐いており、『大戦期』に捕えられたエルフ種などを半奴隷的に使役することに対して何の抵抗も感じていない。
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◇ニカンデル
身長:172㎝ 体重:63㎏ 年齢:50 武力:3
種族:純人種
補足:
ティグメアの町長。
特にこれといった特徴のない壮年の人物であり、目立った短所もない。
長いものには巻かれておく性分。
『森の民』に対しても、それが有益な存在ならば応対する器量がある。
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【ベルガンクス陣営】
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◇バランガロン・バルウォーズ
身長:209㎝ 体重:120㎏ 年齢:60 武力:41
種族:純人種
補足:
"海王斧"の二つ名を持つ冒険者であり海賊。
大陸を股に掛ける冒険者ギルド『ベルガンクス』を率いるギルド長でもある。
『ベルガンクス』の移動拠点である大型船『ベルガロベリア号』は彼の所持物。
既に老年ながら筋骨隆々の肉体、精気に満ちた眼光から全く老いを感じさせない。
豪快で強欲。竹を割ったような性格をしており、粗野だが一本筋の通った人物。
己が悪辣者であることを自覚しており、悪には悪なりの流儀を貫こうとしている。
自由を愛し、望むままに行動し、最期は戦場で討たれての大往生を是とする。
そんな彼の気風に惹かれた者達が自然と集まり、いつしか彼は強大な冒険者ギルドを率いる立場へと至っていた。
生まれながらにして、王者の資質を持ち合わせている。
戦場では膂力にものを云わせて大戦斧を振り回すだけでなく、意外と目端が利いて的確な戦術的判断を下すことが可能。
意図的に隠してはいるが過去に高度な教養を積んできており、最高峰の航海技術や軍事的な知識、内政の心得に医療の知識、果ては治癒魔法をも習得している。
ただし治癒魔法は本当の緊急時にのみ解禁するように心掛けている。
バランガロン曰く「最初から治癒術前提で戦ってちゃあ勘が鈍っちまうだろ!!」
とのこと。
その正体は、現在のラナリア皇王バランガリアの叔父に当たる存在。
真名はバランガロン・バルウォーズ・アドラグゥヤ・ラナリア。
皇族の柵を嫌い、自由を求めて自ら出家した過去を持つ。
その際に『ベルガロベリア号』の改造元となる皇族専用艦を手始めに強奪した。
武装:
『イスカルダ・リガーレ』
愛用の大戦斧。魔具を更に進化させたような特殊兵器。
"燦熔の庭園"で創られている対『界獣』用兵装、通称『ウェポン』であり
幾つか存在する型の中の一つ『Type:デュランダル』を素体としている。
吹雪を巻き起こす術式が刻印されており、直接的な攻撃魔術の代用とする他に足場を凍て付かせたり、敵対者そのものを氷結させて動きを封じることが可能。
また純粋に大戦斧としての性能も非常に高く、バランガロンの能力との相乗により逸脱者と呼ぶに相応しき戦歴を積み上げてきた。
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◇グプタ
身長:162㎝ 体重:59㎏ 年齢:42 武力:40
種族:純人種
補足:
"灰煙卿"の二つ名を持つ冒険者にして不世出の大魔術師。
そして冒険者ギルド『ベルガンクス』の副ギルド長を務める人物。
矮躯で特徴のない顔立ちで、常に無精髭を生やした冴えない風貌。
強い者には無理せず従っておくことを信条しており、卑屈さが滲み出ている。
大陸中央東部の存在するロンデルバルク王国の出身者であり、一時は宮廷魔術師の地位に在ったが、政争に敗れて身分と財産と名声の全てを喪った。
その後はデルク同盟各国で用心棒紛いの仕事を熟して日銭を稼ぐうちに悪名を轟かせていくことになる。
彼の二つ名の由来ともなった独自魔術、『灰煙』の犠牲になった者は数知れず。
しかし狡猾な彼は、その大魔術を必ず自衛目的でのみ行使してきたことによって、悪名高さの割に『冒険者統括機構』の定める冒険者資格発行基準を損なっていない。
大陸中央東部で居場所を失って各地を転々としていた時期に、たまたま立ち寄ったチューリッツ街道沿いの酒場でバランガロンと遭遇した。
見た目と性格の割に、意外にも知恵が回るバランガロンは賭け事にも滅法強く、酒場に屯していた他の酔客達から根刮ぎ金品を巻き上げていた。
周囲からの後押しを受けたグプタは、渋々ながらバランガロンに挑む羽目になり、彼に完勝したことで目を付けられてしまった。
その後、紆余曲折を経て半ば強引に副ギルド長としてスカウトされたという。
武装:
『泥塗れの黄金郷』
ロンデルバルク王国及びバルティア独立領の誇る四大秘宝の一つ。
非常に強力な伝説の魔具杖であり、滅多なことではグプタはこれを使用しない。
ちなみに上記の四大秘宝の残りには『バルティア・ローゼスの機装剣』、
『橋景の冠』、『霊杯カルスエピコック』が挙げられる。
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◇アッシュ
身長:179㎝ 体重:66㎏ 年齢:30 武力:26
種族:純人種
補足:
『ベルガンクス』に所属する冒険者。
上級幹部の一角である"紫影双刃"クロッカスから直々に稽古を受けた猛者。
正規の冒険者資格を保有するが、立ち振る舞いや言動は破落戸と大差ない。
しかし実力は確かであり、実戦経験の豊富さと技巧の高さによって振るわれる蛮刀は、生半可な受け太刀を許さない。
エーデルダリアの貧民街でノイシュリーベと交戦した三人組の一人で、片腕を喪いながらも辛うじて撤退を果たした。
武装:
『大型の蛮刀』
刀身が黒く塗られた戦闘用の蛮刀。魔獣の骨を削り出して制作された代物。
間合いを悟らせないようにする工夫が幾重にも施されている。
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◇ダンケン
身長:172㎝ 体重:69㎏ 年齢:27 武力:22
種族:犬人
補足:
アッシュとよくつるんでいる悪漢その1。冒険者の資格は持っていない。
エーデルダリアの貧民街でノイシュリーベと交戦し、撤退した。
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◇クレフ
身長:175㎝ 体重:70㎏ 年齢:30 武力:23
種族:純人種
補足:
アッシュとよくつるんでいる悪漢その2。冒険者の資格は持っていない。
エーデルダリアの貧民街でノイシュリーベと交戦して戦死した。
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【"水爵"陣営】
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◇ツェルナー・ウェルゲネス
身長:182㎝ 体重:74㎏ 年齢:5478(封印期間含む) 武力:85
種族:純人種 / 魔人
補足:
本作の黒幕の一人。
海底都市ハルモレシアの衛兵として長年に渡り潜伏していた魔人。
都市が滅亡した後はラキリエルの従者として彼女の逃亡生活の手助けをする傍らで『灼熔の心臓』奪取の機会を伺い続けていた。
しかしグレミィル半島に上陸を果たして尚も奪取の機会は訪れず、最後の賭けとして披露した己の死を偽装しての策も徒労に終わってしまった。
そこでラキリエルの身柄ごとエデルギウス家に預けておき、次なる策を張り巡らせるべく暗躍を続けている。
生真面目そうな外観の通り、全ての行動が洗練されており実際に何でも卒なく熟すことが出来る有能な人物。
また義理堅い性格をしており、恩には恩を、仇には仇で徹底的に返そうとする。
非常に高度な古代魔法の遣い手であり、現在の海底都市の民ですら扱えないような忘却されし秘術の数々も行使可能。当然ながら潜伏中は竜人種に擬態していた。
その正体は、ボルトディクス公爵の密命により海底都市に潜り込んだ間者であり、更に云えば5000年以上前に"主"に挑み、敗北した末に厳重に封印された忌むべき常理の幻象の片割れ……"闇の魔導師"である。
太古の時代に栄華を極めた魔導帝国アルダインを滅亡へと追いやった張本人であり
己の身体の心臓部分を媒体として産み出した大呪詛『灰礬呪』の原罪を抱えている。
幾星霜もの時が流れて現代へと至り、ボルトディクス公爵の手によって封印が解かれると、解放の恩義を果たすために彼の野望に手を貸すことにした。
真名はツェルナー・ウェルゲネス・アルダイン。
アルダイン魔導帝国の第3皇子であった者である。
武装:
『魔剣アルド・カリス』
常理のあらゆる災厄を収斂させて具現化させた負のエネルギーによる特異点。
現代でよくある、高度な魔法や魔術が刻印された魔剣や魔槍の類とは別の代物。
魔剣と銘打たれてはいるが、それはあくまで便宜的な呼称である。
『霊剣ヴェガ・ルタリア』
『霊滓綺装』と呼ばれる対『機族』兵器の一振り。
刀身のない柄と拳当てのみの剣(?)で、霊滓を解放した時のみ特殊な粒子で編まれた刀身を発振することが可能。
※本編中では使用しないかもしれません
『霊刃モラクス・ルタリア』
『霊滓綺装』と呼ばれる対『機族』兵器の一振り。
刀身のみの特殊な形状で、霊滓を解放すると所持者の意のままに機動・展開する。
『原罪真臓』
『灰礬呪』の根源となる大呪詛。一連の騒動の元凶でもある。
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◇バルゲルク・セオドラ
身長:169㎝ 体重:90㎏ 年齢:55 武力:13
種族:純人種
補足:
港湾都市エーデルダリアの市長にしてセオドラ子爵家の現当主。
英雄ベルナルドが大領主に封じられた際に、それまでグレミィル半島を統治してきた為政者達はラナリア皇王によって粛清されたがセオドラ家だけは降爵処分と領地の一部の剥奪、大領主の座を明け渡すことで断絶を免れたという。
だが過去の栄光への執着は凄まじく、現当主のバルゲルクは一際その傾向が強い。
表向きは大領主であるノイシュリーベに従ってはいるものの、憎きベルナルドの娘であり『森の民』の血を色濃く受け継いだ彼女のことは心底より嫌っている。
そのためか、同じくエデルギウス家とフィグリス家に強い恨みを懐いているボルトディクス公爵からの誘いに乗り、現体制を転覆させる計画へ加担する。
権力を削がれて尚もセオドラ子爵家の財力は健在で、エーデルダリアの市長として数多の富を手中に収めている。
内政の手腕は確かだが傲慢で非常に短気な性格。
長年の贅沢暮らしと暴食が祟ってか、若かりしころに鍛えた肉体はすっかり衰え、肥満の塊と化している。
武装:
『聖銀鋼の剣』
セオドラ家に代々伝わる由緒正しき騎士剣。
"騎士の国"と呼ばれた旧イングレス王国に於ける名門貴族の最後の名残である。
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◇マグヌス・ヘンリッツ
身長:175㎝ 体重:68㎏ 年齢:36 武力:30
種族:純人種
補足:
ラナリア皇国海洋軍第四艦隊に所属する特殊部隊『エイリーク』の小隊長。
数々の極秘任務に従事した歴戦の兵士で、己に与えられた役割を何より重視する。
グレミィル半島に潜伏し、魔具像『グロシュラス』を用いて『負界』を掘り当て、災厄と呼ぶべき呪詛を撒き散らすという非道な任務にも拘らず、私情を挟むことなく完遂しようとしていた。
ザントル山道を通り掛かったサダューイン達と遭遇し、交戦の末に戦死した。
武装:
『クレセントエッジ』
ラナリア皇国海洋軍で正式採用されている片手斧。
やや長めの刀身を備えており斬撃、刺突、投擲の全てに適した形状。
船上での取り回しにも優れた傑作品であり、歩留まり品の何割かは民間に払い下げられて一部の冒険者や傭兵、悪漢達が購入している。
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◇グロシュラス
全長:315㎝ 重量:1550㎏ 製造年数:2 武力:38
分類:魔具像
補足:
ラナリア皇国軍で開発され、正式運用されている魔具像を魔改造した代物。
分類的には戦略級兵器。
皇国軍で採用されている魔具像は、攻城戦や拠点防衛のために用いられるのだが、この『グロシュラス』は呪詛を撒き散らすための工兵的な運用を前提としている。
『負界』を検知する機能。地面を掘削して効率的に噴出させる機能。
『灰礬呪』を意図的に撒き散らす機能が盛り込まれている。
運用次第では、人知れず一国を滅ぼすことが出来るかもかもしれない。
通常の魔具像よりも装甲が厚く、また呪詛にも耐え得る特殊な魔鋼材が使用されているために常軌を逸する堅牢さを実現している。
ザントル山道を通り掛かったサダューイン達との交戦を経て、破壊された。
その残骸の多くはテジレアの指揮の下で回収され、魔導研究所へと運ばれた。
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◇エルベレーゼ・ボルグス・ボルトディクス(純人種形態)
身長:190㎝ 体重:72㎏ 年齢:83 武力:22
種族:純人種 / 大海の竜人
補足:
本作の黒幕の一人。
"水爵"の異名で恐れられるラナリア皇国海洋軍第四艦隊の提督。
その正体は海底都市ハルモレシアより追放された大海の竜人であり、
古代魔法によって純人種の姿へと擬態している。
非常に野心が強く、傲慢ながらも為政者として確かな才覚を持ち合わせている。
また大海の竜人こそが常世を統べるべき存在であると信じて疑わない。
優れた種族である竜人が、何故に海の底で息を潜めて暮らさねばならないのか?
という憤怒にも似た疑念を懐いており、地上世界への回帰と支配を悲願とする。
ハルモレシアで暮らしていたころに、同士を集めて『灼熔の心臓』を手中に納めた上でラナリキリュート大陸への侵攻を画策していた。
しかし海神龍ハルモアラァトはそれを許さず、彼は追放処分となった。
なお追放される間際に海底都市の奥深くに封印されていた忌物を奪取している。
その忌物こそが"闇の魔導師"ツェルナー・ウェルゲネスが封じられし棺であった。
海底都市を追放された後は一人で地上世界へと移り、当時のラナリア皇国内で凋落の憂き目にあったボルトディクス公爵家に接触して養子となり、海洋軍へと入軍。
生来の能力の高さから瞬く間に出世していき、『大戦期』では第三艦隊に所属する主力戦闘艦の艦長に就任していた。
このまま順当に戦功を積み上げて、皇国軍を掌握することで当初の悲願を成し遂げる足掛かりにしようとしていた。
しかし彼にとって転機が訪れたのは『大戦期』の末期の出来事であった。
第三艦隊の旗艦が轟沈し、エルベレーゼの艦が戦時特例で旗艦の代行を果たすことになり、艦隊司令に相当する権限を得ることになる。
その権限を以て彼は旧イングレス王国の一部であったグレミィル半島への上陸作戦を立案し、周囲の反対を押し切って強行した。
皇国陸軍が陸路での進軍に手間取っているからこそ、半島を制圧して側面より支援してやれば、彼の戦功は確たるものになる筈であった。
然れど、"魔導師"ダュアンジーヌの放った『霊滓綺装』によって第三艦隊は壊滅。
責任を負うことになった彼は、艦隊司令の任を解かれて艦長職からも外された。
そのまま汚名返上の機会を与えられることなく『大戦期』が終結してしまう。
終戦後の彼は、只管に失地回復に努めた。
ボルトディクス公爵家の影響力を最大限に駆使して有力貴族達との繋がりを拡げ、数多の支持を得ることで再び艦長職へと復帰。
更に皇国技術庁へ資金提供という名目の莫大な賄賂を贈り続けることにより、研究者達からの絶対的な信頼を勝ち取り、皇国技術庁と繋がりの深い第四艦隊の提督へ就任を果たすこととなる。
封印より解き放った"闇の魔導師"ツェルナー・ウェルゲネスと結託してグレミィル半島に『灰礬呪』を撒き散らすことで『大戦期』の恨みを晴らすと同時に、ラナリキリュート大陸制圧の足掛かりとしようとしている。
更に対"主"戦を見越して『灼熔の心臓』の奪取の機会も伺っている。
武装:
『エングケルヌス号』
皇国海洋軍第四艦隊の旗艦。
最新技術を盛り込んだ先鋭的な艦であり、最大の特徴は乗船者と艦を一体化させることにより、その気になれば一人でこの旗艦を自由自在に動かすことも可能。
しかし動力源に問題を抱えており、現状では旗艦のポテンシャルを完全に発揮することは出来ておらず、故に動力源として『灼熔の心臓』を欲しているのだ。
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【所属フリー】
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◇アルビトラ
身長:163㎝(耳含む) / 154㎝(耳含まない) 体重:72㎏ 年齢:517 武力:84
種族:狐人
補足:
"春風"の二つ名を持つ狐人の冒険者。
特定のギルドに所属することなく大陸各地を旅しており、冒険依頼によっては稀に誰かとパーティを組むこともある単独活動派。
天真爛漫な性格で表裏はあまりない。誰とでも臆さず接することができる。
身分や性別、種族や歳の差などで壁を作らない性質。
食べることが大好き。自分で料理することも大好き。
各地を巡りながら特産品や郷土料理、流行の食べ物などを楽しむことを趣味としており、彼女が長年の旅路で培ってきたグルメ知識は大陸屈指なのである。
出自に関する記憶がなく、気付いた時には大陸中央部に位置するグルダナ大草原で独りで寝転がっていたという。
その際に唯一、所持していたのが『霊刀アガネソーラ』という銘の粋然刀。
自身が喪失したであろう過去の記憶を取り戻すために、彼女は旅を続けるのだ。
その容姿から狐人と判別されているが、実際のところ種族は不明。
狐人ではあり得ないほどの長寿であり、グルダナ大草原で意識を取り戻してから500年以上が経っても老化する傾向が見られない。
また筋量や体力も通常の狐人とは比較にならないばかりか、時間経過で自動的に肉体と精神が修復される特異体質でもある。
故にアルビトラの精神が擦り減ることはない。故にこの怪物が老いることもない。
500年以上もの歳月を冒険者として過ごしており、戦い続ける間に独自の抜刀術と風魔術を磨き上げている。
実戦の中で試行錯誤を繰り返した技術の数々には一切の無駄がなく、自身の生存を第一に据えた術理の下に、一切の呵責なく敵対者を葬っていく。
基本的には善良な性質ではあるが戦いの場に於いては誰よりもシビアであり、敵対者は勿論のこと味方であっても役者不足な存在であれば容易く切り捨てる。
もしくは自身とあまりにも戦闘能力が掛け離れた者とは共闘すらしないだろう。
これは500年以上を現役の冒険者として生き伸び、数多の死を目の当たりとしてきたが故の分別なのである。
『冒険者統括機構』が発信する評価査定に於いて、一部の最上位ギルドのみが名を連ねる番付けの上位常連者でもある。
"春風"のアルビトラは現在、ランク7。つまりラナリキリュート大陸を含む地上世界で、7番目に優れた冒険者ギルドということ。
ただし、他の上位常連者と異なり彼女は唯一の単独活動派である。
武装:
『霊刀アガネソーラ』
『霊滓綺装』と呼ばれる対『機族』兵器の一振り。
粋然刀のような形状をしており、霊滓を解放すると刀身が茜色の空の如く変色し、硬度が各段に上昇する。
また粒子状に散布した霊滓を結集させることにより所持者の意のままに操ることができる浮遊防壁兼足場を最大で3枚まで創造することが可能。
『蒼穹のロングコート』
アルビトラが纏うロングコート。元々はキーリメルベス連邦より渡ってきた防寒具だったのだが、着心地の良さから補修と改良を繰り返しながら愛用している。
その際に防護魔術の刻印を施しており、実質的にハンドメイドの魔具と化した。
尻尾を出すために背面に深い切れ込みを入れているが、同時にファスナーも取り付けているので本来の防寒目的のために活用する際には閉じることが可能。
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◇ヴィルツ・ウォーラフ
身長:177㎝ 体重:68㎏ 年齢:27 武力:50
種族:純人種
補足:
大陸全土に販路を広げるウォーラフ商会の若き商会長。
キーリメルベス連邦の中でも最北端に位置するシルベール領国の出身。
蒐集家が功じて自身の商会を立ち上げるまでに至った大商人であり元冒険者。
"北方の勇者"レギ・ゼオとは同郷の生まれであり元相棒。
彼とともにキーリメルベス連邦中を駆け巡り、10年前に勃発した『ゼビル島事件』を解決するという偉業を成し遂げた。
やや斜に構えた性格と言動をしているが、本質的には気前の良い人物。
若いころの彼は、お調子者の上に好奇心のままに動き回る刹那的な性分であったが、数々の挫折と非情な現実に目の当たりとしていくうちに成長を果たしていった。
冒険者としては完全に第一線を退き、商会の運営に従事する傍らで後進の冒険者達に手厚い援助を行うなど、面倒見の良い一面を見せている。
アルビトラの持つ『霊刀アガネソーラ』に強い関心を懐いたことを切っ掛けとして彼女に深く関わっていくことになる。
主に依頼主としてハイリスクハイリターンな冒険依頼を出すパトロン的な役処。
場合によっては自らアルビトラに同伴して彼女の監視と道案内を行うこともある。
裏を返せば、最高峰の冒険者である彼女に付いていくことができる実力を持っているということを意味している。
ちなみに妻帯者であり、冒険者時代に同じパーティに所属していたユングフラウという女性と結ばれてマッキリー連合国の首都にマイホームを建てている。
武装:
『投擲用ナイフ』
投擲に特化した消耗品。大量生産された代物であり、特筆すべき点はない。
『商会長の外套』
高度な魔術が幾つも刻印された特注品の魔具。
『姿隠し』『防寒』『防水』『耐熱』『耐雷』『防毒』『浄化』『自動修復』など
便利そうな機能が盛りに盛られている。
商会長としての拍付けのためか、それなりに豪奢な意匠となっている。
『アイテム大辞典』
蒐集家としての半生を懸けて自らの手で綴った書物。
またの名をメモ帳ファイル。
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