030話『雄浸-禍乱は亡霊の脚を喰らう』(まとめ)
・第30話は主人公達が不在の戦場となりますので
要点をまとめさせていただきました。
エーデルダリアの市町であるセオドラ子爵は、城塞都市ヴィートボルグを陥落させるために悪名高い冒険者ギルド『ベルガンクス』に依頼を出しました。
『ベルガンクス』に露払いをさせてから、本命であるセオドラ子爵の私兵を出撃させるという算段です。
『ベルガンクス』は世界最強の冒険者ギルドの一角であり、正規所属の冒険者だけでも約300程になります。
その内の157名が今回のヴィートボルグ攻めに参加。
更に現地で雇った冒険者が128名、冒険者崩れの破落戸が203名。
合計 488名の部隊を編制してエペ街道からノールエペ街道へと北上してヴィートボルグが存在するグラニアム地方へと侵攻していきました。
※道中で立ち寄ったソラス村で冒険者崩れ2名を処罰したので実数は486名
一方、攻め込まれる側のヴィートボルグ側は『翠聖騎士団』第二部隊長のペルガメント卿を将とした防衛部隊を編制して迎撃に赴きます。
第二部隊所属の騎士と歩兵の総数は約50名ですが、グラニアム地方の各貴族領から招集した常備兵が加わり、防衛部隊の兵力は約1000名となりました。
ペルガメント卿は『ベルガンクス』の侵攻経路を3つ予測して、それぞれに兵士を別けて配置しました。
最も可能性の高いノールエペ街道付近には約820名の兵数を差し向け、更に3つの陣を築きました。
次に可能性のあるミィギル領を通過する経路には150名。
三番目の可能性であるワッテンバル領の近くには30名の連絡小隊を配置。
結局はノールエペ街道から侵攻して来たので、予定通りに迎撃を行いました。
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ペルガメント卿は防衛部隊の役割を時間稼ぎだと割り切って、徐々に後退しながら戦い続けました。
"灰煙卿"グプタや、"屍都の残火"ショウジョウヒへの対抗策を徹底して『ベルガンクス』側の遠距離攻撃を封じ、近接戦闘では一定の犠牲を支払いながらも手堅く立ち回ります。
"海王斧"バランガロンとの一騎打ち勝負も辛うじて渡り合い、事前に行っていた入念な準備と併せて、どうにか敵の勢いを削ぎつつありましたがバランガロンが発動させた大魔法の効果により一挙に形勢が傾きます。
バランガロンの大魔法とは、戦場全域の味方の治療を行うだけでなく一定時間の自動回復、戦意高揚、身体能力強化を一度に施すというもの。
これにより敵軍は攻勢のみに徹することが出来るようになっただけでなく、開戦時から受け続けていた損傷も全回復。
狂気の進軍を繰り返すようになり、防衛部隊は徐々に切り崩されていきました。
第一の陣が陥落し、逃げ込んだ先の第二の陣も瞬く間に落とされ、ペルガメント卿達は辛くも第三の陣に集結して体勢の立て直しを余儀なくされます。
昼過ぎから始まった戦いでしたが、第三の陣に着いた頃にはすっかり日が暮れて夜中になっていました。(※現代基準だと午後9時頃)
ノールエペ街道に配置した兵数 820名のうち、この時点では残り400名前後。
対する『ベルガンクス』側の被害は30名にも達していませんでした。
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それでも防衛部隊は抵抗を諦めず、目一杯まで敵の侵攻を喰い止めると決意しましたが、疲労の極みを突かれて"灰煙卿"グプタの大魔術が炸裂します。
頭上より降り注ぐ隕石によって第三の陣は壊滅的な被害を被り、そこへ"屍都の残火"ショウジョウヒの焼却魔法による追い打ちが加わります。
しぶとく戦い続けるペルガメント卿は残存する騎士達を集めて殿軍とすることで生き残った兵士達を撤退させようとしましたが、『ベルガンクス』最強の武芸者であるクロッカスが立ちはだかります。
ペルガメント卿も相当の強者ではありましたが、クロッカスの剣の冴えの前では成す術なく敗れ、右腕を失いました。
絶対絶命の状態。しかし、そこへサダューインの指令を受けて出撃した『亡霊蜘蛛』のテジレアが救援に駆け付けました。
テジレアの他には吸血種のルシアノンと、彼女によって産み出された生体兵器(※の失敗作)のジューレが同伴しています。
更に、城塞都市ヴィートボルグの地下深くで極秘裏に培養していた巨大な人造生体兵器『バルバロイ』を6体投入。
『バルバロイ』は蜘蛛人をベースにして遺伝子改良を施された代物で非常に強力な戦闘能力だけでなく自己再生機能を有しています。
これを『ベルガンクス』の側面から奇襲させる形で嗾けました。
一方でテジレアは瀕死のペルガメント卿を救出して撤退。
ルシアノンとジューレはクロッカスに切り刻まれますが、何とか生還しました。
僅かに生き残った防衛部隊を逃がすために六体の『バルバロイ』が盾となって、『ベルガンクス』と激しい攻防を繰り広げます。
一夜が明けた頃、ようやく戦は終結しました。
『ベルガンクス』側の死者数は193名。
防衛部隊側の死者数は706名。ペルガメント卿は瀕死の重体。
『亡霊蜘蛛』の『バルバロイ』達は6体全てが討伐されました。
防衛部隊を討ち破ったとはいえ、相応の被害を被ったバランガロンは付近の村落に立ち寄って体制を立て直すことにしました。
まだヴィートボルグ攻略を諦めたわけではないようです。
とはいえ大幅な予定変更を余儀なくされたので、一先ずクロッカスと数名の部下だけをヴィートボルグに向かわせて偵察と工作活動をさせることにしました。
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ノールエペ街道で激しい戦が繰り広げられている頃、ナーペリア海の大海原に展開する皇国海洋軍第四艦隊の旗艦『エングケルヌス号』でも動きがありました。
ツェルナーによって救出されたギルガロイアが、車椅子に乗った状態でボルトディクス提督と謁見を行っていたのです。
ギルガロイアは、ボルトディクス提督の正体が大海の竜人種であることを知らされて大いに驚愕しました。
ツェルナーとボルトディクス提督は、彼のことを先兵として利用できそうだと判断したので傘下に加わるように申し出ました。
ボルトディクス提督は、ラキリエルが隠し持つ秘宝『灼熔の心臓』の奪取を命じました。
若く、且つ自由に動き回れる立場の竜人種である彼ならば、効率的に秘宝を奪うことが出来るだろうと考えたからでした。
その見返りとして、ボルトディクス公爵家の持つ領土の一部を分譲すること。
捕らえたラキリエルの身柄を自由にできる権利。などを提案し、ギルガロイアはこれを承諾しました。
とはいえギルガロイアはガシュラ村での戦いで四肢が動かなくなっており、まともに立って歩くことすら出来なくなっています。
そこで第四艦隊が保有する技術を駆使して肉体の強化改造手術が施されることとなりました。
謁見が済んだ後、ツェルナーはセオドラ子爵及び『ベルガンクス』のヴィートボルグ侵攻の介添えを行うべく、ノイシュリーベの要請を受ててグラィエル地方より派遣されることになる援軍部隊を討伐するために出撃するのでした。




