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030話『雄浸-禍乱は亡霊の脚を喰らう』(3)


 村の広場で朝食を済ませたバランガロン達は、その場に主要な幹部達を集めて作戦会議を行うことにした。

 会議といっても大凡の行軍計画は既に定まっており、その確認が主体となる。



「あらぁ、明け方からそんな面白そうなことになっていたのね~」


「早めに馬鹿を炙り出せて良かったじゃないのさ。

 この辺の村だったらセオドラの奴に尻拭いさせておけば済むだろうし」


「そうそう、ここがセオドラ子爵領内で良かったわね♥

 少し北に進んだウェナンデル子爵領だったら、面倒なことになっていたかも?」


 会議に参席している幹部の中には長身の二刀流剣士クロッカスと、隣の大陸から渡って来た魔法使い(ドルイド)のショウジョウヒも含まれており、今朝の出来事に対する所感をそれぞれに零していた。


 なおクロッカスは少し前に少人数でのヴィートボルグ潜入を進言していたが、グプタが待った! を掛けたために今のところ頓挫していた。



「ウェナンデルは特に規律に五月蠅(うるさ)い領地らしいですからねぇ……。

 それにあの貴族家はエデルギウス家に対する忠誠心が高いらしいですし、

 賄賂を贈って見逃して貰うっていうやり方も通用しないでしょう」



「海の上なら悩まず突き進めるんだが、これだから(おか)は面倒臭ぇ!

 取り合えず その馬鹿共は見せ締めで村の入口に置いておいたがよぅ。

 此処を発つ時には粉砕して適当な山の中にでも棄てておくぜ!」



「それが良いでしょう。

 これで行く先々の村で狼藉を働く奴は相当減る筈ですぜ。

 ……現地の村を襲っても良いことなんて何もありやせんよ、まったく」


 彼等はこれから寡兵で城塞都市ヴィートボルグへ攻め込むのである。

 道中の村で無意味に住人達からの反感や警戒心を懐かせるのは美味くない。

 何かしらの形で妨害されたり、帰路で襲撃される可能性が考えられるからだ。


 そもそもに於いて行軍のための物資……食糧や生活用品、娼婦の手配などは全面的にセオドラ卿からの支援を受けている。日払いの給金や手当も申し分ない。

 僅かな追加収入や娯楽のために、わざわざ時間を費やして現地の村や町の住人達を襲って略奪する必要はないのである。




「そんじゃあ、改めて会議……という名の確認作業を始めますぜ。

 まあ幾らか事前の予定から修正を加えた箇所もございやすがねぇ」


 広場に雑に並べられた移動机の上に、グレミィル半島の地形が描かれた地図を広げてからグプタが取り仕切り始める。

 彼は副ギルド長であると同時に、『ベルガンクス』の作戦参謀でもあるのだ。



「船の上であの第四艦隊から来た……ツェルナーとかいう大根役者が話した通り、

 一先ずはこのままエペ街道を直進して北上して行きまさぁ」



「おうよ、街道を北に進めば最短でお目当てのグラニアム地方に入れるからな!

 船で行けねぇ以上は陸路で進むしかないってわけだ」


「んー……だけど多分、相手側もそろそろ街道の先には兵を配置しているかも?

 東にあるミィギル領に迂回したほうが楽なんじゃなぁい?」



「それも考えたんですけどねぇ……。

 今、あっしらに差し向けられる兵力はそこまで大規模じゃないでしょうし。

 かといって適当な戦力をぶつけて無意味に消耗する真似は、相手は避けたい筈。

 となれば有力な将に、まあまあの兵数を付けて時間稼ぎを狙って来ますぜ」



「んふふ♥ つまりヴィートボルグで二番目か三番目に強い将が出向いて来る。

 それはかなり楽しみだわ~……ジェーモスちゃん以上だと嬉しいんだけどぉ」


「そいつを此処で確実に潰しておけば、城攻めの時に随分と楽になりそうだね。

 だから敢えて正面から街道を突き進むってわけか」

 


「そういうことですぜ。敵に時間稼ぎをさせない勢いで突っ走って、

 立ち塞がる有力な将を打ち倒す……お頭含む皆さんはそういうの好きでしょ?」



「言ってくれるじゃねえかよ!! ……がははっ! その通りだがぁ?」


「ふん、歯応えの無い奴を燃やしても仕方ないからね」


「誰が出て来るのか、わくわくしちゃうわ♥」


 三者がそれぞれ反応を示し、他の同席者達も反対する者は皆無であった。



「こっちの戦力は総勢で四百八十八……あ、いや今朝 二人減ったから

 四百八十六名ってことになりますねぇ」


 ベルガンクスに所属する正規の冒険者は約三百名。

 その内の百五十七名が今回の行軍に参加し、残りは拠点である『ベルガロベリア号』で留守を預かっていたり、或いは別の依頼を受けている最中だった。


 流石にこの員数だけで城塞都市を攻めるのは厳しいと判断したので、現地の冒険者や冒険者崩れの破落戸(ごろつき)などを臨時で雇ったというわけである。


 雇用した冒険者の数は百二十八名、冒険者崩れは二百三名(※後に二名処罰)。

 合計して四百八十六名……号して約五百名が『ベルガンクス』側の戦力となる。



「で、この戦力でエペ街道を突き進んでグラニアム地方に入っていけば

 ノールエペ街道という路に続いていき、その先には大きな分岐路がありまさぁ。

 西に進めば海岸沿いの領地を通過する路、東に進めば内陸部を進む路ですぜ」



「海岸沿いは新鮮な魚が食べられそうね、逆に東側だと何があるんだい?」


「この辺りだとぉ、ライ麦を使ったパンや粉物系かしら?

 ショウジョウヒちゃんは、あんまり好みじゃないかもしれないわ~」


「ヴィートボルグまでの距離で言えば どっちも変わらないみてぇだがな。

 海洋軍からの指定は無かった筈だし、お前ぇはどっちの路を選びたいんだ?」



「へっへっ……あっしは東側の内陸部を通る路を推させていただきまさぁ」


 地図上に自軍の駒を置き、話題に挙げた分岐路を東に進む路を示した。

 それは奇しくも、エペ街道より『ベルガンクス』を撒いて北上し、ヴィートボルグを目指したサダューインとラキリエルが歩んだ道程でもあった。


【進軍経路】

挿絵(By みてみん)



「ザンディナムの近くを通過する方ね。……でもぉ? そっちを通っちゃうと

 もしグラィエル地方から敵の援軍が来たら、お尻を狙われちゃわなぁい?」


 クロッカスが地図に近寄り、グラニアム地方の南東に位置するグラィエル地方より伸びる街道上に別の敵軍の駒を置いてみせる。

 どうやら彼は、他の幹部達と比べてグレミィル半島の地勢にかなり精通している様子が伺えた。



「グラィエル地方の有力貴族といえば……ルバフォルク家だったかしらぁ?

 没落していなければの話だけれどね~」


「おっ! 詳しいじゃねえかよ。

 流石は『大戦期』の後、ここいらで暴れまくっていただけのことはあるぜ!」


「うふふ♥ もう二十年くらい前の話よ、ボス。

 アタシの知ってる情報は古惚けちゃってるでしょうしアテにしちゃダメよ」


「むしろ、そんな昔のことなのによく覚えていられるね。

 あんたの記憶力、どうなってんだよ!」



「ええ、クロッカス姐さんの言う通りでさぁ。

 大領主がよっぽどの無能じゃなければグラィエル地方から援軍が来るでしょう。

 それを前提として内陸部を通る路を選択したいと思いやした」


 地図上の自軍の駒を進めてみせると、続いてクロッカスが配置した敵援軍の駒を移動させて自軍の背後に付けた。



「ですから……この辺で迎え撃ちます」


 ノールエペ街道の途上、分岐路からヴィートボルグまでの中間辺りで自軍を反転させて迎撃するような配置を示してみせる。



「あっしらが援軍を差し向けられて一番困るのは城攻めをしている最中や、

 城攻めに失敗して撤収している時でさぁ。

 だったら目的地に着く前にぶっ倒しちまえば良いってわけですぜ」

 


「後顧の憂いは先に断っておくってわけね♪」


「がははっ! 良いじゃねぇかよ。

 メインディッシュ前の前菜として平らげておくなら悪くねぇわな」


「……だけど、ここで迎撃のための陣を構えて迎え撃つとなると日数が掛かるよ。

 指定された時期までに城塞都市の壁をぶち抜かないといけないんだろ?」



「へい! ショジョウヒさんのおっしゃる通りですわ。

 迎撃のために何日か居座っちまうと、城攻めに使える日数がそれだけ減ります。

 依頼主のセオドラの旦那は、あの顔に似合わず細かく指定してますからねぇ」


 『ベルガンクス』への依頼内容とは城塞都市ヴィートボルグまでの侵攻、及び外側の壁を崩して攻め込み易くするというもの。

 そうして切り開かれた路を皇国海洋軍及びセオドラ卿が興した軍勢が蹂躙していくことでグレミィル半島の大領主の座を実力で簒奪(さんだつ)するというものであった。



 言ってみれば『ベルガンクス』は危険な梅雨払い役を任された形となるのだが、それに見合うだけの法外な額の報酬とグレミィル半島の最精鋭戦力と戦う機会を与えられているのである。


 『大戦期』の英雄が鍛え上げた現在のヴィートボルグはラナリア皇国内どころかラナリキリュート大陸全土を見渡しても、屈指の堅牢さを誇る都市。

 そんな難攻不落な要所に風穴を空けたのなら『ベルガンクス』の名声は、良くも悪くも更なる高みに達することだろう。




「クロッカス姐さんならご存じかもしれませんが、ヴィートボルグの堅さは異常。

 あっしらが日数を掛けてダラダラ攻めても、そう簡単には貫けませんぜ。

 昨日戻って来た偵察隊に調べさせて、そう確信しやした」


 敵の援軍の駒を排除し、自軍の駒をヴィートボルグにまで進めながら説明を続けていく。



「なのでヴィートボルグに到着してから城攻めを行うのは長くて二日に絞ります。

 その二日間で全力を叩き込み、壁をぶち抜いて主力部隊をぶっ倒したら

 一挙に反転して速やかに退却いたしやしょう」


 自軍の駒を退げて、今度は西の街道を伝って撤収する路を示した。



「それを実施するためにも、横槍を入れて来そうな敵の援軍部隊なんかは

 ヴィートボルグに到着する前に徹底的に排除しておきたいんでさぁ……」



「城攻めの時間を一瞬に絞る分、城攻め前の事前準備を入念にやるってことね」


「ま、良いんじゃねぇか? 一発で大火力を叩き込むって戦法は

 特にショウジョウヒは向いてるだろうしよ!」


「そうだね、私が本気の大魔法(スペリオルエピック)を撃てるのは一日に二発までだ。

 撃っちまったら暫くお荷物同然になるし超短期決戦は望むところだよ」


「ふむふむ、道中で敵援軍に対して効果的な迎撃を行う時間を確保するためにも

 今は最速でエペ街道を北進したいってことなのね」



「へっへっへ……流石は歴戦の皆さんでございやすねぇ。

 以上が、あっしの考えを加えて修正した進軍計画になります」


 愛想笑いを浮かべながら、両掌を重ねて軽く揉むような仕草をする。

 (はた)から見れば卑屈な中年男性以外の何者とも思えないことだろう。



「あ、ちなみにですが! 以前よりクロッカス姐さんから打診されていた

 ヴィートボルグへ少人数で潜入するっていう件ですが、

 この援軍部隊の迎撃を終えた後くらいに頼もうかと思っておりやす」



「ふぅん? それでアタシの先行を許可しなかったってわけね。

 ようやく得心がいったわ」



「クロッカス姐さんは、うちらの最強戦力でやすからねぇ。

 万一のことを考えるなら今はなるべく本隊に居てほしいんでさぁ

 ……どうでしょうかね? 反対意見や疑問があれば今の内に承りますぜ」



「俺様からは特にねぇよ、目の前の敵をぶっ潰すことに変わりは無ぇしな!」


「私も特に反対する気はないね。一発に懸けるってのは嫌いじゃないし」


「ん~~……気になる点がないわけじゃないけどぉ? まあ、良いでしょう。

 とりあえずはグプタちゃんの是正案通りに進めちゃって頂戴な♥」



「よーし! じゃあ これで決まりだな!

 うだうだと長引かせてもしょうもねぇし、さくっと出撃しちまおうぜ」


 クロッカスだけは何か思うところがあるようだったが、他の参席者達からもこれといった反対意見は出なかったので、グプタの提案した進軍案のまま村を出立することと相成った。






 [ エルディア地方 ~ セオドラ子爵領 ソラス村 入口 ]


 正午より一刻ほど前には約五百名から成る『ベルガンクス』の本隊が村の入口に集結し、グラニアム地方へ向けて歩を進めていく。

 見せ締めのために置かれていた下手人達の氷像は、バランガロンによって粉々に破壊されており、他の新者達はこの冒険者ギルドの流儀と怖ろしさを、骨の髄まで叩き込まれたのであった。


 そんな一団の最後尾にてクロッカスは今一度、村の様子を一瞥する。



「どうしたのさ、この村に何か思い入れでもあったのかい?」


 同じく最後尾に配置されているショウジョウヒが隣に立ち、声を掛けて来た。



「んー……まあ、ちょっとだけねぇ?

 アタシが昔、この半島に居た時より随分と発展したなと思ってただけ。

 これから向かうグラニアム地方は、もっと様変わりしているんでしょうね」



「感傷に浸ってんの? らしくないじゃないか。

 今更、この土地の連中とは戦いたくないとか言い出すんじゃないだろうね?」



「んふふ、それだけは絶対にないわぁ♥ こうして村や町が栄えて、安定して、

 あのヒトが守り抜いたこの土地の住人達が不甲斐ないことになっていないか

 ちょっとだけ心配になっちゃっただけよん」


 戦争の歴史が遠ざかり、平穏に甘んじれば武芸者はいずれ衰えていく。

 妖しさを滲ませた長身の剣士の双眸が炯々と光り、不敵な笑みを浮かべた。



「あのヒト……英雄ベルナルドは死んでしまったけども。

 その意思を受け継ぐ者達がどうなっているのか、とっても楽しみ♥

 特にジェーモスちゃんやオズヴァルドちゃんとは早く会ってみたいわね」



「……『翠聖騎士団(ジェダイドリッター)』の第一部隊長と第四部隊長かい。

 あんたにとって同窓会みたいな感覚ってわけ?」


 第一部隊長ジェーモス・グレイスミルド・ベルダ。

 第四部隊長オズヴァルド・シグ・ランダル・ハンマルグレン。

 英雄ベルナルドと共に『大戦期』を駆け抜けた歴戦の騎士達である。



「そういう面もあるかもね? もし彼等がつまんない武人に成り果てていたらぁ

 直ぐに息の根を止めてあげるのがアタシの役目だと思っているわ。

 腐っても英雄ベルナルドを支えた古参達ですもの……んふっ」



「……前々から気になっていたけど、あんたいったい何歳なんだよ?」


 訝し気な表情を浮かべながら、ショウジョウヒはこの長身の剣士を見上げた。


 北方人特有の薄い肌に、青紫色の髪。顔立ち自体は整っているものの、ふんだんに施された化粧のせいで素材の良さが台無しになっている感じが否めない。

 そんな彼……否、彼女の見た目の年齢は、どんなに高く見繕ったとしても四十路には届かないだろう。

 二十五年前の『大戦期』の経験者であるとは到底思えなかった。



「んふふ、乙女の年齢を訊くのは御法度よ♥

 ショウジョウヒちゃんだって、自分の歳を訊かれたら嫌でしょう?」



「いや、別に。普通に二十七歳って言ってるけど?」


 何の躊躇もなしに平然と答える。彼女にとって、己の素性を開示することなどは些末なことなのである。



「あらやだぁ、もっと個人情報は大事にしないとダメよぉ?

 ま、それが貴方の流儀だと言うのなら干渉する気はないけどねん」



「ふん、あんたが必要なこと以外は話さない人間だってことだけは分かったよ。

 だけど良いのかい? 察する限りじゃヴィートボルグって都市は

 あんたにとって結構な思い入れがある場所なんだろ?」


 これまでの口振りからしてクロッカスは英雄ベルナルドや、その側近の騎士達と深い関わりがあるようであった。

 当然ながらグレミィル半島の中枢であるヴィートボルグにも滞在していた期間があるのだろう。



「私の本気の大魔法(スペリオルエピック)を叩き込めば、都市は只じゃあ済まないよ。

 あんたの思い出と一緒に全ては灰燼に帰すだろうさ」



「そうねぇ……ショウジョウヒちゃんの、あの熱~い一撃だったら

 普通の都市なら一発で半壊! 二発撃ち込めば完・全・消・滅!!

 地図上から消えちゃうこと間違いなしよねぇ」


 顎に指を当てて、わざとらしく悩むような素振りを見せつつも口調は軽く、どこか愉快そうな響きまで滲ませていた。

 とてもではないが思い入れのある都市の未来を心配しているようには見えない。



「……だからこそ、それで消えて無くなるなら其の程度の場所だったってこと。

 あのヒトが居ない都市、英雄の後継者の居ないヴィートボルグに価値はないわ」


 一転して至極真顔、怜悧な声色へと変貌する。



「『ベルガンクス』に攻め込まれて手も足も出ないのなら、見込み無し。

 その時は遠慮なく燃やしちゃって良いわよん♥」



「薄情者だね。

 まあ、あんたが気にしないってんなら遠慮なくやらせてもらうけどさ」



「ただの分別よ。過去は尊ぶけども、常世のものは滅ぶべき時に滅ぶものだもの。

 ま、この間 エーデルダリアで交戦した子達が出張って来たら

 ショウジョウヒちゃんもかなりやり辛くなるでしょうけどね♪」



「……あの美丈夫(イケメン)と、その部下か。

 確かにね、あのチビが放った封魔結界は大したもんだったよ。

 私の魔法を封じ込められる奴がこんな田舎に潜んでいるなんて思わなかった」


 サダューインとラスフィシアのことである。

 前者は類稀なる肉体的な強さと武芸の冴えを垣間見せ、後者の独自魔術(オリジンスペル)はショウジョウヒからしても目を見張る位階であった。 

 あの一件は、彼女にとって魔法使い(ドルイド)としての矜持を潰されたも同然であり思い出すうちに どんどん表情が曇っていく。



「んふふ、あのヒトの息子は中々に見所が有りそうだったしぃ?

 そういう意味でもヴィートボルグ攻めはかなり楽しみにしているのよ。

 他にもどんな優秀な部下を従えているのか、想像しただけで昂ってきちゃう♥」


 悦に入った表情で自分自身を抱き締めるような仕草を見せながら、独りで勝手に身震いをし始めた。そんな彼女を見て、ショウジョウヒは若干 引いた表情を無意識に浮かべてしまう。



「それ、普通に気持ち悪いから止めなよ。

 ……じゃあ、さっさと進まないとね。直ぐ先で敵軍が展開しているんだろう?」



「んふふ、ショウジョウヒちゃんに嫌われたくないし、一応 気を付けるわぁ~」


 徐々に『ベルガンクス』の本隊が遠ざかり始めたので、話を続けながら彼女達も村を出てエペ街道を北進するべく動き出した。



「ヴィートボルグからノールエペ街道までは、普通なら三日は掛かるけど

 機動力のある部隊なら二日以内には集結する……どんな子が来るのかしらね。

 出来れば少しは骨のある将であることを願いたいわ!」



「精々、準備運動の相手くらいにはなって欲しいもんだね。

 相手が弱過ぎると、いまいち燃え上がらないよ」


 その後も談笑を続けながら、一歩ずつ着実にヴィートボルグへ向けて暴威を振り撒くための行脚を続けるのであった。






【Result】

挿絵(By みてみん)

・第30話の3節目をお読みくださり、ありがとうございました。

・少しでも『ベルガンクス』の面々にも興味を持っていただければ幸いです。

 本文中でも少し触れていましたが、クロッカスは生物学上は男性なのですが

 いわゆる……オネエさんです。色々と濃い人物でございますね。

 ただし実力は折り紙付き、英雄ベルナルドの懐刀であった彼の戦いぶりをこうご期待ください。


挿絵(By みてみん)


・次回更新は11/5を予定しています。

 恐らく『亡霊蜘蛛(ネクロアラクネロ)』達のお話を挟むことになるかと思います。

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