進
あのリジェクターズとの衝突以来、俺たちは毎日のようにインフィニット・アリーナへ通い、訓練に明け暮れた。初めて体験したあの強力な干渉攻撃に手も足も出なかったという苦い経験が、俺たちの胸に強く刻まれていた。
「よし、今日はこのシミュレーションで行こう。敵は干渉攻撃を主に使ってくるタイプだ。動きを封じられないよう注意しろよ!」
俺が声を掛けると、アミリアとリリスが緊張した面持ちで頷いた。
「了解しました。今度こそは完璧に防ぎます!」
「任せて! 私もサポートを全力でやるから!」
シミュレーションが開始されると同時に、強烈な干渉が襲い掛かる。全身を強ばらせるような感覚が襲い、意識が一瞬飛びそうになる。だが、何度も繰り返し経験を重ねたことで、徐々にその感覚に対応できるようになっていた。
「マスター、今です、防御パッチを展開してください!」
「くっ……これでどうだ!」
俺が即座に防御パッチを展開すると、干渉の感覚が和らぎ、すぐに反撃へ移れるようになる。攻撃への耐性が明らかに向上しているのが分かった。
「すごい、マスター! タイミングが完璧だよ!」
リリスが興奮気味に声を上げる。
「確かに。もう数日続ければ、実戦でも十分に対応できるでしょう」
アミリアも微笑んだ。
訓練後は毎回、広場近くのカフェで疲れを癒すのが日課になっていた。テーブルを囲みながら、俺たちはたわいない雑談を楽しむ。
「こうして訓練ばかりしてると、昔の学校生活を思い出すな。毎日似たようなことの繰り返しだったけど、それはそれで楽しかったよ」
俺が懐かしそうに呟くと、リリスが興味津々で尋ねてくる。
「マスターは学校でどんな感じだったの?」
「そうだな……小中学校の頃は、そこそこ勉強もスポーツもできて、友達も多かったと思う。でも大学に入ってから、何となく頑張る意味が分からなくなって、気が付いたら落ちこぼれてたな」
俺の言葉に、アミリアが心配そうに首を傾げた。
「マスター、今はどうですか? 楽園に来てから、何か変わりましたか?」
「ああ、間違いなく変わったよ。ここに来てから、俺はやっと自分がやるべきことを見つけた気がする」
「それは……何でしょう?」
アミリアが真剣な表情で問いかけてくる。
「それはまだはっきりとは分からないけど、この世界の真実を明らかにすること、それを通じて俺自身が何を望んでるのか見極めることだ。だからこそ、俺はもっと強くならなくちゃいけない」
俺の言葉に、アミリアとリリスが力強く頷いた。
「マスターがそう決めたなら、私たちも全力でサポートします」
「うん! 私も頑張るよ。絶対にこの謎を解き明かそう!」
俺たちは再び強い絆で結ばれ、前に進む決意を固めた。まだ見ぬ真実に辿り着くために、毎日の鍛錬を続けていく。
(きっとこの訓練が、俺たちを次のステージへ導いてくれるはずだ――)




