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強化

 旧データ保管施設でリジェクターズに手も足も出ず、俺たちは改めて自分たちの力不足を痛感していた。このままでは中央管理区の深部に潜入するどころか、監視役との対決にも勝てないだろう。


「マスター、このまま進んでも危険が大きすぎます。もう一度、しっかり訓練を重ねてから挑むべきです」


 アミリアの言葉は冷静で的確だった。俺も同じことを考えていた。


「ああ、あの干渉攻撃を防ぐ術を身につけないと、次はもっと危険な状況になるかもしれない」


 俺がそう言うと、リリスも頷いた。


「だったら、またインフィニット・アリーナでシミュレーション訓練をするのがいいよ。今度はもっと実践的な干渉対策や防御技術を学ぼう」


 翌日、俺たちは早速インフィニット・アリーナを訪れた。前回よりも難易度の高いシミュレーションを設定し、実戦に近い環境で訓練を開始する。


「マスター、リリスと協力して敵の干渉攻撃を防ぐ方法を学びましょう。私も防御用の新しいプラグインを試してみます」


「頼む。俺もこの状況に慣れてきたとはいえ、まだまだ感覚的な部分が足りてない」


 訓練が始まると、さっそくリジェクターズの干渉攻撃に似たシミュレーションが襲いかかってきた。身体が一瞬硬直するような感覚が再現され、俺たちは何度もその攻撃に苦戦を強いられた。


「マスター、干渉が来るタイミングを予測して、防御パッチを展開してください!」


 アミリアの指示通りに集中し、干渉の予兆を感知して即座に対応する。最初は失敗の連続だったが、繰り返すうちに徐々にタイミングを掴めるようになってきた。


「いい感じ! タイミングは掴めてきたね。次は攻撃を受けながらでも反撃する方法を覚えよう」


 リリスが指示を出し、新たなシミュレーションが始まった。干渉を完全に防ぐのではなく、軽減しながら敵にダメージを与える練習だ。最初は苦戦したが、徐々に反応速度が上がり、動きに無駄がなくなってきた。


 数時間に及ぶ厳しい訓練を終えると、俺たちは疲労困憊だったが確かな手応えを感じていた。


「ふう、さすがに今日はきつかったけど……でも、これで少しは自信がついたかもな」


「はい、マスター。次にリジェクターズや監視役と対峙したときには、もう手も足も出ないなんてことはないはずです」


「その通り! この調子で続ければ、きっと相手を出し抜けるようになるよ」


 三人で顔を見合わせ、小さく笑った。まだまだ困難は待ち受けているだろうが、今は自分たちの成長を喜んで良いだろう。


(これで一歩、俺たちは前に進んだ。必ずEden Coreにたどり着いて、真実を掴んでみせる)


 次なる試練に備え、俺たちは再び気持ちを引き締めるのだった。



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