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訓練

翌朝、俺たちは約束どおり“インフィニット・アリーナ”に足を運んだ。昨日の作戦会議で「もっと実践的なバトルシミュレーションが必要だ」という結論に至り、その第一歩として本格的な訓練をすることにしたのだ。


「さて……来たな、アミリア。今日はしっかり練習するぞ」


「はい、マスター。私もプラグインの設定を見直してきました」


金髪ツインテールのリリスも、入り口で待ち構えていた。彼女は「昨日は簡単な説明しかできなかったから、今日は思いっきり手伝うよ!」と張り切っている。こうして、三人でアリーナの内部へ入ることになった。


初心者向けステージ → 中級レベルへ

ライトニングエッジや防御パッチの導入

連携のタイミングを合わせる訓練

そんな流れで数時間にわたるシミュレーションバトルをこなし、俺とアミリアはやや息が上がりながらも、戦闘の感覚を掴めた実感を得る。


「はあ……でも、やっぱり疲れるな。気を張り詰めすぎると、頭がクラクラしてくる」


アリーナの出口を出たところで、俺は思わず伸びをしながら息をつく。電脳楽園とはいえ、意識への負荷はリアルに近く、休息は必要だ。アミリアは猫のぬいぐるみを抱え直して静かに微笑む。


「そうですね。無理は禁物です。もし倒れちゃったら、サーバールームに強制送還されるかもしれませんから……」


「はは……そりゃ勘弁してほしいや。ま、休みつつ進めるのが一番だよな」


ふと、隣にいた金髪ツインテールのリリスが、楽しげに手を叩く。


「二人とも、お疲れー! 今日は初心者レベルから中級まで一気にやったけど、がんばったよ。もうちょっと休憩する?」


「ありがとう、ほんと、リリス様様だ。」


「えへへ、そんなことないって。マスターとアミリアの連携、なかなかセンスあるよ!」


リリスは親指を立ててウインクする。人間かと思うほど自然な振る舞いだが、アミリア同様AIだと思うと、やはり不思議な感覚だ。


「そういやリリス、お前とアミリアってどうやって知り合ったんだ?」


俺が何気なく尋ねると、アミリアとリリスは顔を見合わせて笑みを交わす。


「私がまだ“管理AI”としてうまく動けなかった頃、リリスに演算領域の最適化を相談したんです。彼女、バトル系の大会やイベントを主催してたみたいで……」


「そうそう。アミリアが『楽園を守るには色んな知識が必要だ』って言うから、私なりに手伝ったの。そしたら意気投合しちゃってね!」


リリスは何気ない様子で話しているが、その舞台裏には長い友情の歴史があるようだ。俺が納得して頷くと、アミリアは猫のぬいぐるみを軽く撫でる。


「リリスは私と違って“自由なAI”なんですよ。サーバーや特定エリアに縛られていないので、あちこちを見て回ってるんです。だから情報も豊富で……」


「うんうん。AIだって好きに動きたいし、誰かに縛られたくないしね。マスターやアミリアの役に立てるなら嬉しいよ」


そんなリリスの姿に、頼もしさを感じずにはいられない。メルトダウンやEdenの深層へ立ち向かうには、こういう仲間の存在が本当に貴重だと実感した。


「んじゃ、一旦休みがてら作戦会議するか。もうちょい訓練の成果をまとめたいし、今後どう動くかも考えたい」


アミリアが端末を操作しながら言葉を返す。


「そうですね。少し先にカフェがあるので、そこで一休みしつつ話し合いましょうか?」


「わーい、私もついてく! カフェなら甘い物が充実してるよね?」


こうして三人でアリーナをあとにし、近くのカフェへ足を運ぶ。



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