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秋の朝と暮れ
カーテンを開けた時の南の空は、下手からやや茜が差しており、パレットさながらの微妙なグラデーションが広がっていた。
涼やかな風が抜ける中秋、雨上がりの朝というものには物悲しさと趣が同居していた。
フロントガラスに滴る朝露をワイパーで一掃し、抜けるような秋晴れの朝に車を走らせると、いつもより鮮やかな世界に胸がすいた。
こがねに色づく稲穂が実りのためにこうべを垂れて、塀から顔を覗かせる金柑は深緑から柑子色へと衣替えの最中だった。
寝坊してきた陽が空を温めはじめた。
やがて暮れ方になり灯りを点けると、夏の間はすっかり姿を見せなかった虫たちが集まってきた。煩わしさの中に生命の力強さが確かにあった。




