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『プロジェクト・ヘイル・メアリー』読了記

 オーケイ、まずは警告なんだが──作品を読んでいない人はすぐにブラウザバックすべきである。


 この書籍は完全に何も知らない状態で読むべき作品である。


 興味本位で映画の予告を見るなど言語道断の愚行であり、加えて、映画好きの方は上映前の予告編を下手に見てしまうより先に書籍を読むべきである。












 Andy Weir氏著、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読了した。


 最終警告であるが、まだ作品を読んでいない人間はこの文章を読むべきではない。それは決して読者の楽しみを奪いたくないだとかいう理由によるものではない。


 私の文章でこの作品を十分に楽しめない人間が生み出されるのに私が耐えられないからである。


 さてしかし、本編について、残念ながら今の私にはこの作品の魅力を十分に語るに足る語彙を持ち合わせていない──それはまるで出会ったばかりのグレースとロッキーのように。


 章終わりに明かされる衝撃的な事実の数々、ロッキーとの出会いと科学考証に裏打ちされた、かつファンタジーを忘れないストーリー進行、希望と絶望の息もつかせぬ振り子構造、作品を語るにこの場のような一方通行の媒体しか持ち合わせていないのが口惜しい。


 ああ、読書通の友人がいないのが本当に悔やまれる。こんなことならもっと社交的になるんだった、クソっ。


 汚い言葉をひとしきり吐き終えた後、私はキーボードに向き直った──


 終盤の展開がやはり素晴らしい。絶望的な旅路から生還の希望が見出せた最中に発見してしまったあんまりな事実と愚かさを悔いるシーンは現代科学への皮肉だと私は捉えた。


 最後の最後に友情は全てに優越するといった展開は作品を陳腐なものにすることなく、むしろ普遍的なテーマによって作品の価値を確かなものにしていると感じた。


 翻訳を担当された小野田和子氏にも感謝したい。全く違和感なくアンディウィアー節を楽しめたのはひとえに彼女のおかげといっても過言ではないだろう。


 また、この作品に出会わせてくれた『ゆる言語学ラジオ』パーソナリティ、堀元見氏、水野太貴氏の両名にも感謝を申し上げる。


 語るに語り尽くせない。ぜひとも文字でなく言葉で語れる友人が欲しいものである。こんな名作を私も書いてみたいものだ。


 ……まさか、ここまで読んで作品を未読の人なんていないよな?

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