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第六節:異質

 サクラとあってはや数十分。お互いを知るには少ないと感じてしまうが、俺達はコンドー鍛冶武具店までの道のりの中で有意義に語り合うことができた。


「ハイルはアージア神聖国から来たの!? 私、極東から出たことないから色々聞きたい!」

「他の国から来たっていってもここより文明も技術も劣っているからね……。俺はアージアよりも極東の方が雰囲気も良くて好きだよ」


 サクラはそっかーと少し残念そうな顔をした。残念ながら、俺にとってアージアは俺の闇を出してしまう所であり、無意識のうちに何が名産だったとかどんな人がいたのかを思い出さないようにしてしまった。思い出そうとするともやがかかるのだ。

 そうこうしている内にコンドー鍛冶武具店に到着し、サクラと共に店に入った。俺はそこで今まで見たことのないようなものを目にする。

 店の中は広く、所々に俺が使っているような刀があるが、他にも俺の知らない装備品を目の当たりにして思わず息を呑んだ。武器の総称は分かっていても、今まで見たことのないものが今目の前にあるのだ。これを見て興奮しない男はいるだろうか?

 新鮮な気持ちでいると、奥から一人のご老人とヨミコさんが来た。ヨミコさんは俺を見るなりニヤニヤし始めたが、ご老人は違った。俺を見るなり驚いたと思えば、涙を流すのだ。涙を拭きそのご老人は俺に向かって話しかけた。


「待ちわびたぞ。小僧」

「おじい態度悪いねぇ。ハイル君ごめんねぇ」

「いえ、小僧なのは変わりないですし……」


 老人からきつめな歓迎を受け少し苦笑いをする。鍛冶師自体が気難しい人が多いとは聞いていたので実際こんなもんなんだろうなと感じていた。

 ヨミコさんが特殊すぎるのである。


「……確かにあやつの、キョーヤの血を受け継いでおるな。昔のキョーヤと瓜二つじゃい」

「そ、そうですか」

「しかし、一つだけ違うのは……。お主の目じゃな。濁りきっておる」

「それについては触れないでいただけると」


 もうこういうしかない。父さんに似ているといわれたのは嬉しいが、せめて時と場所とタイミングが正しいときに言ってほしかった。俺は仕方ないと感じたのでご老人に刀を三本差し出して依頼をすることにした。


「俺を知っているのなら話は早いはずです。俺のこの刀三本を鑑定して強化が可能であれば強化を、刃こぼれがあるなら研ぎをお願いしたい。金はいくらでもある」

「なるほどのぉ。それはわしの腕を見込んでのことか? それともわしを試しておるのか?」

「ヨミコさんから話は聞いている。あなたの腕を信頼しているからこそ、あなたに頼みたい」

「……あい分かった。その刀を奥に持ってきなさい。わしが目の前で鑑定を行おう。ヨミコ! お前はサクラの相手をしてやれ。サクラも大事なお客様だ」


 ヨミコさんがそれを聞くと、サクラを連れて弓向けの入り口に連れて行った。サクラが入る直前にこちらに向いて手を振るので、手を振り返す。

 俺はその入り口とは別の入り口に入り奥の一室、極東では珍しくない和室と呼ばれる部屋に招かれた俺はご老人と対面に座り、刀を目の前に置いた。ご老人は一度咳払いをして話し始める。


「コホンっ。自己紹介がおくれたのぉ。わしはイサミ、イサミ=コンドーじゃ。この店の初代親方としてやらせて貰っておる。若造、おぬしは……」

「俺はハイルでいいです。普段の呼び名じゃないと落ち着かないので」

「ならば、ハイル。これからおぬしの刀を鑑定するわけだが何か聞きたいことはあるかね?」

「そうですね……刀を見てもらった後に一刀作ってもらえませんか? 別途料金は払うので」

「ふむ、分かった。それではこれより鑑定を行う」


 そうしてイサミさんは刀を鞘から抜き、自身の汎用スキルである『鑑定』を始めた。同時に、横に置いた紙に同じく汎用スキルである『転写』を行って、イサミさんに見えている刀のステータスを書き写してもらっている。鑑定の時間は三十分に及び、イサミさんも今回はきつかったと言葉を漏らした。


「さて、ハイル。これから結果を伝えるわけだがその前に言っておく。刃こぼれの心配は皆無、そして強化もわしが作った刀以外は不可能である」

「強化ができないのはなぜですか?」

「それはステータスを見れば分かる。おぬしにも分かりやすいように書いたからその説明を読んでみぃ」


 そういうと、イサミさんは刀にそれぞれ紙をつけて渡してくれた。まずは俺が父からもらった刀である『蒼穹ノ太刀』を見るが改めて見ると刀身が青白く、まさに空の名前にふさわしいと思えた。


 ――――

 蒼穹ノ太刀


 能力:斬撃

 使用者:ハイル

 製作者:イサミ=コンドー

 ランク:AA


 空色の刀。コンドー家の当時の技術をすべて詰め込んだものであり、魔力を通す性質がある。魔力を通した状態だと、刃こぼれすることが無くなる。正統な使用者以外には刀を抜くことすらできず、抜けたとしてもなまくらになってしまう


 ――――


 説明が簡単にだが書いてあった。これはヨミコさんから聞いたものとほとんど一緒だった。しかし、この後の刀のステータスはこの刀より常識を逸脱していた。後にこれを見たヨミコさんは語る。神は居たと。


 続

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