第五節:依り代、揃いて
俺たちは統治者の二人に連れられて窓のない部屋に連れてこられた。
下には見慣れない魔法陣が書かれており、俺は警戒を解くことなく統治者たちに向きあっていた。
「さて、知りたいのは依り代のことですね」
「いや、それだけじゃねぇ。もう一人の統治者が俺のことを孫と呼ぶ理由もだ」
「そう殺気だたれては話もできたもんじゃないが……。まぁ怒りはもっともだ。君はまだ何も知らないのだから」
統治者の片割れヒイラギの男の目が黒色から怪しく紫色に光る。
直感的に俺は恐怖を感じた。理由がわからないこの恐怖に冷や汗をかく。
少し息を吐きながらヒイラギの男はもう一人のフジワラの男を指差し話始める。
「まず先に、こいつの孫発言から解決しよう。ハイル君はお父さんの旧姓はしっているかい?」
「いや、知らない。父はそのことについては話そうとしなかった。唯一知っているのは父が結婚するまでは領主をしていたことぐらいだが……」
「なら話は早い。こいつが君の父親の父親。そして君の祖父にあたるうつけ者だ」
……。
この男がじいちゃん?
というかうつけ者って言われてるが。
「こんな鼻の下伸ばしてサクラを見ている変態が?」
「そうだ、友人の孫に対して鼻の下を伸ばしてる命知らずが君の祖父だ」
再度確認したが駄目だった。
やっぱりこの変態は祖父らしい。
「あっけにとられるのも無理はない。この爺はキョーヤの嫁にちょっかいを出して出ていかれてるのだから」
つまり、俺に親族がいなかったのはこのあほのせいなのか。よし、俺とサクラの精神衛生上よろしくないから殺そう。
「まぁその話はさておき、依り代の話だったな」
「!! そうだ、サクラがすでに依り代になっているというのは聞いているが一人だと寿命が短くなると」
「三割正解といったところかな。実際は寿命は変わらん。依り代の元になっている獣の力を使うときに魔力を寿命で置き換えることで使用するため寿命が短いと思われている」
つまり、獣の力を使わなければ寿命が短くならないということか。
「そして、我々の獣”フェニックス”は少し特殊でね。不死性を持つ理由に愛が必要なのだ」
「愛?」
「そう、愛であればなんでもよいが……。例えば親愛、友愛、家族愛。人が持つ愛を元に不死性を成り立たせている為我々は二人の依り代が必要不可欠なのだ」
獣に対して依り代が多い理由は寿命を延ばすためでも何でもない、ということなのか。
サクラが気にしなくていいといったのもこのことをしていたからなのかもしれない。
『アラガウモノ』が知らない情報とはこれだったのか。
「さて、ここまでくれば話は分かるはずだ。君はサクラのために依り代になりに来た。そうだね?」
「あぁ、そうだ。サクラは仲間だ。仲間が得体のしれない物の依り代になっていると聞けば助けない訳がないだろう」
「それこそ、まさしく仲間に対する愛だ。君はこの力を、守る力を得るにふさわしい」
「相応しいかどうかじゃない。俺は仲間を守る。守れるならその力が悪魔だろうが獣だろうが食らってやる」
「その意気やよし。不遜ながら愛を示したキョーヤの息子よ。ヒイラギが当主、サキモリ・ヒイラギが新たな依り代を選定した! その名はハイル・クローデル!!」
続
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