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第三節:アラガウモノ

 俺は刀を所長に突き立て問いただす。


「言え! 俺の親を殺したのか!!」

「落ち着いてください、とは言えないですね。そこも含めてお話をします」

「……いいだろう。だがこのまま話せ。話が終わり次第その雁首、ぶった切ってやる」


 所長は困った顔をしながらも、何かを決意したかのように俺の目を見ながら話し始めた。


「君の両親は、生きています。姿を変えて」

「世迷言を。姿など変えられるものか」

「変えられるのですよ。依り代は」


 そういいながら所長は立ち上がり棚から何かを取り出す。

 それは、普段なら町に入る門や衛兵の詰め所にある遺物、『審議中』を取り出しテーブルにおいて俺たちに座るよう促した。

 俺は刀を構えながらも体面に座る。正直この時点でのこの所長に信用性がないからだ。サクラもこの異常性を知ってか弓を構えている。


「さて、先ほどの話で神の獣を身に宿した人間は依り代と呼ばれます。十二の獣に対し、依り代は十()人」

「まて、なぜ依り代が一人多い」

「少なくとも我々スザクノサトにいる依り代は二人いるからです」


 ですよねと言いながら所長はなぜかサクラを見ていた。サクラはまさか自分に振ってくると思わなかったのか、青ざめた顔をしている。

『審議中』も淡く青色にひかり、所長が言っていることが正しいことを示す。


「なんでサクラを見る」

「それは……」


 所長が言おうとしたその時、サクラから制止する叫び声がして振り向く。


「それは私から言う。私は、不死の獣『フェニックス』の依り代なの。このサトをまとめている二つの家の片方、ヒイラギ家の依り代」

「サクラが、依り代?」

「その証拠にほら、見て私の腰のところ」


 サクラは着物を大きくずらし自分の腰を見せる。そこにあったのは鳥を模した痣があった。


「この痣が依り代の印。今代は私しか依り代が居なかったから私一人で何とかしてるの」


 それを聞いた俺はもしやと思った。確認をしなくてはいけないと感じた。


「所長、俺の質問に嘘偽りなく答えろ」

「もちろん」

「俺の両親はもともと依り代だったのか」

「サクラの前の代の依り代でした」

「今サクラは一人で依り代になっているのか」

「そうです」

「一人の依り代でなにか悪いことはあるか」

「寿命が著しく短いことくらいでしょうか」

「最後だ。依り代は死んだ場合、どうなる」

「新たな種族として生まれ変わります。代わりに特殊な状態でない限り記憶はリセットされます」


 すべての発言に『審議中』は青色を示した。

 つまり、今所長が言ったことは事実であると裏付けされてしまったのである。

 だからこそなのか、それとも元々渦巻いてたものがあふれてしまったのか。俺の口から出てきたのは心底冷めた声だった。


「所長、あんたは殺してやる。でも今じゃない。すべてを片付けたらお前の命をもって償わせてやる」

「……そうならない未来を期待しましょう」

「サクラ、お前の実家と俺の父さんの実家に行くぞ。俺も依り代になる」


 サクラは驚いた顔をしながら俺を見つめていった。


「なんで……。気にしなければいいのに……」

「俺が嫌だからやるんだよ」


 俺は刀をしまい、このサトをまとめる二つの大きな家を目指しギルドを後にした。

 大きな憎しみを抱えて。


 続

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