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閑話:エピソードゼロ


 僕の背後にある十二本の刀のうち、六本が目の前に出るとその刀を握るように三面神が現れる。


 その姿は人の形をしていながら人ならざる存在であり、自身が神であることを忘れた忘却の化神である。


 その握られた刀にはそれぞれ世界の六元素の根源が刻まれ、大群に対してその刃を斬りつける。


 そもそも、この世界は理不尽だ。


 選ばれた者だけが世界を動かせる。


 ただの人間には大切な人を守る力も努力もむなしく霧散するだけなのだ。




「これが予言の六等星、なのか?」




 一人の魔族がつぶやくと、その予言を知っているのか魔族全体が恐怖に包まれる。


 ある者は戦意を無くして逃げたり、ある者は恐怖に抗い刃を向け、ある者は人の名を叫んで走ってくる。


 ただ、僕にとって彼らは美しいと感じた。


 偽神によって作られた世界の中で偽神の運命に抗う。


 その姿は恨む相手であっても尊敬に値すると感じた。




 だからこそ、その尊敬に敬意を示して立ち向かってあげよう。


 僕は残りの刀を自分の持っている黒い刀身の刀に集約し、己の命と引き換えに魔力を増大させる。




『ほんとにやるんだな。ハイネ』


「あぁ、アカネのいない世界なんていらない。クソみたいな生物がはびこる世界なんて知らない」


『……わかった。あとの事はどうする?』


「極東に僕の血をあげた男の子がいる。彼の子孫にあとの事は託すよ。そこに跳ぶ為の魔力もあげる」


『あいつか。……予言の通りになっちまったな』


「でも、予言の通りなら僕と同じ境遇の男の子が頑張ってくれるよ」




 魔力を込めながら刀と話す。


 出来れば僕がやりたかったことを、名も知らない未来の少年に託しながら。




「形状変質……『大鎌』!」




 刀の形が大きい鎌になり、魔力を帯びる。




「『冥府の神よ、我の魂と引き換えに、この大地に死を運び、根付いて顕現せよ。冥府の神、ハーデス』!!」




 戦場が黒い霧に覆われ、その霧に覆われたものは次々と倒れていく。


 僕も例外ではないため、その場に倒れる。


 目の前にある鎌は刀に変化し、その色も紫という禍々しいものになって飛んで行った。




 それを見届けた僕は、静かに目を閉じる。




 アカネ、もしも向こうで会えたら、今度こそゆっくり過ごそうね……。




 閑話終

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