第一三節:絶対安静
サクラの大激怒から数日。
俺はベッドにはり付けられ身動きが取れなくなっていた。それもそのはず、医師から改めて言われたのは本来なら死ぬ一歩手前の状態だった。援軍組が間に合ってなかったら確実に死んでいたらしい。
「無理に動いたせいで傷口が開いたからプラス一週間。入院ね」
「……はい」
「今まで無理してきたのがわかるよ。痛覚がほとんど機能してないなんて」
医者はため息をつきながら言う。
今までの無理がたたっていたのか、体が限界を迎えていることに気づいていなかったのか。俺の体は動くのがやっとの状態だったのに戦っていたようだ。
医者からの絶対安静の指示のもと、俺はおとなしくベッドで寝ることにしていた。
絶対安静の期間が過ぎ、早一か月。
なまった体を戻すために素振りをしているが、いかんせん一か月。昔は千回の素振りでも息が乱れなかったのが、五百回を超えたところで腕が震え始めていた。
「体力が馬鹿みたいに落ちたな」
「むしろ復活してすぐに五百回振ってる方が異常なんだけど?」
サクラが目を細めながら近づいてくる。あの大激怒以降、俺はいつ爆発するかわからない爆弾を抱えている気分になってしまっている。
そんなサクラは俺に弁当を渡し、隣に座った。
「ご飯食べながら聞いてほしいんだけど、コンドーさんが新造刀を作るための材料をハイルにお願いしたいって言ってたよ」
「材料か、なにか特殊なものなのか?」
「なんとかドラゴンみたいなのの爪が必要みたい」
なんとかドラゴンって肝心な名前の場所がわかってないではないか。属性次第では絞り込めなくもないが……。
仕方ない、コンドーさんのところに一度行って素材を聞きに行くか。
「素材がわからないんじゃ仕方ない。一度コンドーさんのとこにいくか。サクラも行くだろ?」
「なんかスゴイ失礼な思考が見えた気がしたけど……。」
「いいだろ。ほら、行くぞ」
脱いでいた服を着なおし、俺たちはコンドー武具店に向かった。
続
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補足ですが、ハイル君は自分の稽古や練習をする場合は半裸になります。結構ストイックにやるので同年代に比べると圧倒的細マッチョ。マッチョではある為男女ともによく見られます。普段の服装はオーバーサイズ、かつ和服というのもあり、ある意味のギャップ萌えかもしれませんね。