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気がつけばシリーズ

気がつけばドリル?でした

作者: 七地潮
掲載日:2023/01/07


人生何が起こるかわかりませんねぇ。


私の名前は、ローズマリー・アルチェン、公爵令嬢です。


そして、私の中にある記憶の名前は、東園寺 茉莉花。

茉莉花なのに、ローズマリーって、面白いですわね。


どうやら私、茉莉花は主人の浮気相手に刺された後、亡くなってしまったようです。

そして気付けばローズマリーになっていました。


このローズマリー、第一王子の婚約者で、幼少の頃から王子妃教育を受けています。


自分で言うのもなんですが、頭がよく、教育は順調ですし、マナーなどは前世の記憶も手伝っているのか、お褒めの言葉をいただくことが多いです。


少し吊り目ですが、見た目もよろしく、スタイルもなかなかです。

つまりとてもハイスペックなのですよ。


そう聞くと、前途明るい日々を過ごせそうなのですけれど、少々問題がございます。




私ことローズマリー、ドリル?なのです。




幼少の頃からクルンクルンの縦ロールでして、寝ている時など、背中に敷いている筈なのに、起きるとクルン、お風呂に入り濡ている間は緩いソバージュなのですけれど、乾くとクルンクルン。


形状記憶と言うのでしょうか、それとも一種の呪いなのでしょうか。



それがなぜ問題かと言いますと、私、娘から聞いているのです。


【高位貴族、王子の婚約者、そしてドリル=悪役令嬢】


だと。


この悪役令嬢とは、地位もあり、全てにおいてハイスペックの令嬢なのに、なぜか男性に嫌厭されがちで、婚約者は別の下位貴族や平民の方と浮気をするそうです。


そこで浮気相手に嫌がらせをする役目なのが悪役令嬢で、卒業式などのパーティーで断罪され、婚約破棄だけではなく、国外追放や、処刑されることもあるそうです。


回避するために行動しても、強制力というものが働いて、断罪を逃れられない…と。


浮気ぐらいで嫌がらせをするのはどうかと思いますけれど、嫌がらせくらいで追放や処刑と言うのもどうなのでしょう。


別のパターンもあると言っていましたけど、そちらの方はあやふやで思い出せません。

確か…ざまぁ?とか言っていたような?


男性の方が浮気をするのは仕方ない事だと思います。

しゆを残す本能の部分もあると思いますし。


よそ様は存じませんが、前世の我が家では、浮気相手の采配も妻の役目でしたから。

少々特殊かも知れませんけれど、古い家系でしたから、そう言った事もあるのですよ。


主人の相手も地元では上手くいっていましたけれど、地方までは手が回らず、トラブルになってしまいました。

娘は無事だったでしょうか。


二度目ですもの、今回は上手くやってみせますわ。

そのためにも現状の把握をしなければなりませんね。 



私の今世のお相手は、国の第一王子である、ジェリューシオ・アストマイル殿下。

私と同じ17歳で、同じ学園に通い、クラスも同じです。


彼の事は好きでも嫌いでもありません。

一般の方は別でしょうけど、立場のある者は、好き嫌いで伴侶を決める事はできません。


結婚は政治でもありますし、お家存続の為にも、好きだから、嫌いだからと言ってはいられません。


その辺りの事も、第一王子なら教わっているはずなのですけど、乙女ゲームや、小説の中だと、国の存続より【運命の恋】なのだそうです。


果たしてここがゲームや小説の中なら良いのですけれど、【ゲームによく似ただけの現実の世界】なら、高位貴族として生まれ変わり、次代の国母となる私としては、王子殿下の目を覚まさせるか、お付き合いされている方とよくよく話し合わなければなりません。


お付き合いされているのは、リリーシェ・ハイムズ様、男爵家のご令嬢ですね。

下位とは言え貴族のご令嬢ですから、話せばわかってくれるでしょう。


まずは殿下の意識を変えることができないか、話し合ってみましょう。






と、思いましたけど、全く話になりませんでした。


「僕は人に決められた結婚なんて絶対しない!

自分の相手は自分で決めるんだ!」

「でも殿下、国の営みというものは、自分の気持ちを通すばかりでは駄目なのではないでしょうか」

「うるさいうるさいうるさいうるさーーーい!!

そう言う理屈ばかりな所が嫌いなんだよ!

僕は真実の愛に生きるんだ!」


………だめです、全く話になりません。

この方の王子教育はどうなっているのでしょうか。

立場のある人間が、政略結婚をするのなんて、当然のことではないですか。


「僕は愛しのリリーを正妃として迎えるから、お前とは婚約破棄だ!」

「無理でしょう。

まずは陛下が……」

「うるさーーーーい!!

僕が破棄だと言ったら破棄なんだ!

僕は次期国王なんだぞ!

僕の意見が国の意思だ!!」


………えっと、こんな時なんと言うのでしたっけ?

ダメだこりゃ、でしたかしら。


ならばとお相手の方に会いに行くことにしました。



「ですから、王子妃となるには学ばなければならない事は沢山ありますし、マナーも上位貴族のものを学び直さなければなりません。

起きている間は周りの視線が外れませんし、着るもの、身に付けるもの、口にするもの、全て自由になりません。

正妃とは不自由なものですよ。

側妃の立場なら、煩わしい政務もしなくていいですし、予算の範囲内なら、お金も自由に使えます。

勿論男児をもうければ、継承権も発生します」


この国では側妃が認められていますから、お勧めしたのですけど……


「なーに言ってるのかわかんな〜い。

でも〜、ジェリュー君は、私のものだから、私が奥さんになるの。

屁理屈ばかり言うあなたはお呼びじゃないのよ。

とっとと婚約破棄に応じてよ」


こちらも全く話を聞こうとしません。


お二人は私と婚約破棄をして、この国の次期国王と正妃になるおつもりらしいですけど、そんなことをすれば国が滅びそうです。


勿論私が考えるような事は、陛下も考えてらっしゃいます。

殿下と私の婚約は解消となり、殿下は廃嫡となりました。


ご令嬢は、殿下が廃嫡となった途端に別の方とご結婚されました。


私は、王太子となられた第二王子の婚約者となりました。


薄らと思い出したのですけど、娘が言っていた別パターンがこれなのでしょうか。


二度の失敗を踏まえ、三度目は役目を全うできるよう頑張ろうと思います。




政略結婚なのですけど、ちょっとだけ浮かれているところもあるのですよ。

実はこの第二王子、とても好みの見た目と中身をしているのです。


私も幸せを望んでもいいのでしょうか。






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