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物語の黒幕に転生して~進化する魔剣とゲーム知識ですべてをねじ伏せる~(Web版)  作者: 俺2号/結城 涼
七章・白銀が奏でる。

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銀と蒼[前]

あけましておめでとうございます!

昨年は連載再開からたくさんの応援をいただき、ありがとうございました!

2026年もすでに決まっている企画をはじめ、皆様にお楽しみいただけるよう執筆活動を頑張って参りたく思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします!

 星域の門の奥に見えた道へと足を踏み入れた二人の姿が見えなくなったのは、彼女たちの足が速すぎたからではなかった。広場に噴出した光が崩れた星域の門の近くに漂いはじめ、まるで霧のように視界を遮ってしまったからだ。



 二人にどんな言葉をかけようか……そして、どうすべきか。

 同じくレンを案じてやまなかったセーラたちは、七大英爵家の人間としての考えに劣らず、レンという友人を気にかけるあまり自分たちがすべきことを見失いかけた。



 少しの時間が経ち、騎士たちと協力しての避難誘導は済ませられたものの――――



「リズ、いまなんて言ったの?」



 伯爵の屋敷にて。

 ここに集まった七英雄の末裔の皆に聞かせるように、セーラは執務室でそう口にした。



「オルフィデのときと少し似ています。ですが、私が宿から見たあの光は異常でした」


「そうね。あの光、触れたら魔力とかが一気に奪われるような感じだったし」


「それもですが、性質の話です。聖遺物を介して行使されたものではありませんでした。たとえばそう……神殿に宿る力を、無理やり暴発させたみたいな……」



 輝きを伴った光の爆裂。

 それが引っかかっていたリズレッドが、ふと執務室の壁一面の本棚に目を向けた。

 あれほどの力なのだし……それにどこかで聞いたことのあるような……。



「力の暴走と一言にしてしまうのは――――ですが、あの一筋の光は――――」



 不意に。

 彼女は執務室で騎士や文官と話していた伯爵を見て。それとほぼ同時に何かに気づき、その目をはっと見開いた。

 まさかとは思うが、一度読みかえしておきたい。



「すみません伯爵! メディル公国に関係した本はありませんか!?」


「あ、ああ! あの辺りにあったと思うが……!」


「ありがとうございます! ちょっとお借りします!」



 メディル公国と現状にどんな関係が。

 不思議がる者が多くいる中、七英雄の末裔は全員がリズレッドの予想に気づき、本棚に近づく彼女の後を追った。

 背表紙を指先でなぞり、見つけ出した一冊の本はメディル公国の最後を綴ったもの。

 それをぱらぱらと急いでめくれば、探していた記載があった。



「……かの地が奈落の底へと沈む直前、輝き纏った光が柱を作り、神殿から天空を貫いた」



 それにつづき、赤黒い魔力が公都を覆いつくす。再び天を穿ったその柱が消えたとき、メディル公国は世界から消えていた。

 メディル公国の最後を改めて読み取ると、リズレッドは「……まさか」と。



「当時と同じ力……? だとすると禁書が……?」


「な、なぁリズ! メディルを滅ぼした力と同じだってのか!?」


「……いえ。そう考えるのは短絡的すぎます。さっきの力は明らかに神性が宿っていたような気がしますから、記録に残る赤黒い魔力とは違う気がします」


「だとしても、メディルが滅びたときに使われた力の一つってことだろ!?」


「それは――――ええ。その可能性は高いと思いますが」



 リズレッドは不思議に思っていた。

 輝きを伴った光が禁書によるものだとして、しかしさっき、メディルを滅ぼしたほどの破壊力があったかと思うと明らかになかった。

 だとすれば、同一ではない。



「……あの光は、禁書の力じゃないはず」



 目を伏せ考える、偉大な魔法使いの末裔。



「だけど禁書の力が発動する前に迸っていたのなら、無関係じゃない……?」



 もっと深く、さらにその正体を探るために。

 少しして、彼女がふと目を見開いた。



「――――禁書の力を行使するために必要なのが、あの光?」



 そう考えるとしっくりきた。

 禁書により何かが行われる前触れ、あるいは禁書の力を用いるための下準備の際に必要になるのがあの力……とか。



「どうしてメディルを滅ぼした禁書に繋がるのか……とか。それが何故、いまこの都市で使われようとしてるのか……とか、気になることはありますが」



 スコールが言い、ネムがつづく。



「禁書が関係してるのかはわからないけど、それ以上考えるのは後にしとこ! みんなを守れたらどうだっていいでしょ!」




 そう彼女が言ってすぐ。

 彼らの話を聞きながらも危機感を募らせていた伯爵へと、ヴェインが問いかける。



「伯爵、星域の門の先には神殿があるんですよね?」


「ああ、地下空間と通じていることはわかっているが、いくつかの扉が開かず調査の手が届いていない」



 神秘庁の調査が入ってなお、そうなのだと。

 もし、レンのようにミセルの紋章を発見できれば違っていただろうけれど、いままで同じ現象はなく、レンとは違って理解に至れていなかったのだ。



「みんな、その神殿に行けば何かわかるはずだ」


「早いとこ俺たちも行こうぜ! アシュトンたちを迎えに行かねーと!」


「そうよね。ウィンデアであの子に助けてもらった借り、まだ返せてないもの!」



 勇者の末裔の声に仲間たちが同意した。

 いま、避難誘導は滞りなく進んでいる。多くの人々は町中から魔導船乗り場のほうへと場所を移し、少しずつこの地を離れられるよう手筈が整えられていた。



 だが――――。

 七人がそこへ向かうと心に決めたとき、再び星域の門があった広場のほうから巨大な揺れが届いたのである。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 もうしばらく駆けたところで、リシアとフィオナが足を止めた。

 何かの気配を感じて町のほうを振り向くと、彼女たちは広場に巨大な光の柱が迸ろうとしているのを目の当たりにした。



「ま、またなの!?」


「ですが、あの力は……!」



 しかし、光だけではなかった。

 光の柱が生じたとき、その近くに白銀の輝きを放つ巨大な魔力の壁が生じたのを見た。鮮やかな翠の矢が旋風を纏って放たれ、天空へと駆けていくのが見えた。



 七英雄の末裔の力だ。

 彼らが七人揃ったことで、本来の力を発揮しはじめたのだろう。



「私たちも、急がないと」



 リシアは焦燥感に駆られるまま。

 フィオナとともに、その足を懸命に動かした。



 それまでの道を駆け抜けてたどり着いたのは平坦な地形。

 呼吸を整えながらゆっくりと歩く二人が訪れたのは、とても……とても大きな広場だった。気付けば霧は消え、見上げれば雲一つない空がある。



 その広場に建造物は、一つだけ。

 古くは荘厳だったことを想像させる威容に、少女たちが目を見張った。

 現代の神殿の多くに比べると小さめで、ひどく風化している。ところどころ崩れ、ツタなどの植物が壁を這っていた。



 これこそ、伯爵がヴェインたちに話した名もない神殿。

 一目見て、なんて穏やかな庭園なのだろうと少女たちは思った。

 人の手がほとんど入っていないのに、それは現実世界と隔絶されたような空間だ。暖かな陽光に照らされた光景はあまりに美しすぎる。



 だが、二人はその景色を楽しみに来たわけではない。

 地下空間を抜ける先、それがこの付近にあるはずだから足を運んだのだ。

 二人が周囲の様子に目を配ろうとしたそのとき。



 ……いまのって、レンの?

 ……レン君の、魔剣?



 突如、穏やかだったここに立ち昇った炎に目を奪われた。

 神殿の奥から天井を貫いて現れたそれは、二人が幾たびも目の当たりにした炎の魔剣によるものだ。



 赤剣。

 レンが炎の魔剣を手にした際に行使できる、彼だけの戦技。それが用いられたのだと二人は確信する。



 彼はこの先の神殿の深部にいる。二人は神殿へと向かおうとしたのだが、その一部分を気にして二の足を踏むことに。



「……あれって」



 神殿の入り口に見えた魔力の壁に、リシアが声を発した。

 魔王教が関係していることは、扉の近くにいた多くの人を見てすぐにわかった。特に白の聖女(リシア・クラウゼル)は生まれながらの力もあり、彼らが隠しきれていない刻印の力を感じ取っていた。



「やっぱり、魔王教だったのね」


「ですけど――――いままでと少し違います」



 レンが遭遇した魔王教徒と同じで、いままでのようにローブを羽織った者たちではなかった。

 いずれも身なりのよさを感じさせる騎士服姿で、腰に剣や杖を携えている。

 魔王教徒であると悟らせまいとしているだけには見えない。その佇まい一つとっても、二人が相対したことのある魔王教徒と一線を画していた。

 彼らもまた、二人に気が付き身構えたところで。



「避けて中に入れると思う?」


「どうでしょう。神殿を壊して……っていうのは無理そうですね」


「そうね。よく見たら、神殿中にあの壁と同じ魔力が張り巡らされてるし」



 この様子と星域の門での異変が無関係ではないことくらい、すぐに推測できた。

 とあれば、あの神殿の中で何かが起こっている。すぐにレンが出てこないことから、彼が危惧すべき何かに違いない。

 扉が封鎖されているのなら、すべきことは。



「だったら、実力で通るだけよ!」



 白焉を抜き去ったリシアが前へ踏み込めば、フィオナが片手をかざし氷魔法を行使。

 強烈な冷気が彼女の足元から生じ、風より早く地面を駆け抜ける。

 神殿の入り口付近で蒼々とした魔力の色を放てば、そこにいた全員を取り囲む数多くの氷の棘が顕現。



 ――――すると、リシアはそのときに戸惑いを覚えた。



「っ……またなの!?」



 前と同じで、纏いが落ち着かない。

 レンの元へ向かうために昂ぶりすぎているからなのかもしれないが、だとしてもその効力が発揮されすぎていた。



 いまは勢いがありすぎて、まるで持て余しているかのよう。

 それを先日よりも顕著に感じる。



「どうやら、レオメルの騎士ではないようだが」


「なんだっていい。剣を向けてくるのなら処理するだけだ」



 纏いにばかり意識を向けているわけにはいかない。

 魔王教徒が動くと、リシアは「……ううん! 気にしてる場合じゃない!」と(かぶり)を振った。

 魔王教徒はその間にもフィオナの氷を別の魔法で弾いたが、氷は幾度となく舞った。



 銀の剣閃がそこに何度も合わさり、集った魔王教徒たちを驚愕させる。



「剛剣!? それにこれほどの魔法は……!?」



 白銀の絶技。

 ある教徒が放った魔法は瞬時に雲散し、ただの魔力へと変貌。その先で、白の聖女の双眸に射貫かれる。



「絶対に通してもらうわ。私たちはこの先に行かないといけないの」



 白焉の切っ先が向く先に立つ、魔王教徒たち。

 魔王教徒が剣で砕き、あるいは魔法で弾けばそのうちの一人が声を発した。



「こんなところにお前たちはいったい……!?」


「さぁ! どうしてかしらね!」



 流麗な剣はその後に白い残像を従え、幾重にも魔王教徒に襲い掛かる。

 しかし、リシアは妙に思った。小さな違和感でしかなかったが、いままでに戦った魔王教徒との違いを明確に感じた。



今月17日に原作7巻が発売します!

引き続きのご予約、どうぞよろしくお願いいたします!

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