35.黒を隠す物ができた
「う…ん…?」
あれ、私…眠って?
「おはよー、アリちゃん」
えっと私の頭上から声が聞こえますので、ゆっくりと上を向くと
「あ…ナナちゃん」
「おはよ」
「おはようございます」
ボーーっとしていた頭がハッキリとしていき目が覚めてきました
「あっ、ごめんなさいすぐにどきまー」
「そのままでいいよー♪」
「ーす。え?」
自分がどんな状態なのか理解しました。どうやらナナちゃんに抱きついたまま眠ってしまったようですが、えっと…馬車の中ですね?
大人が運んでくれたんですよね?
とりあえずどこうと動こうとしたら、その前に抱きしめらてまた腕の中へ戻されてしまった
「えっと?」
「そのままでいいよ?」
「いえ流石にこのままは……落ち着きません」
なんだか不思議とじっとしていられませんナナちゃんの側には居たいのですが…なんだか体がムズムズします
「まあまあ、この馬車私達しかいないし、いいじゃん♪」
「え?」
可能な限り、いえナナちゃんが許してくれる範囲でですね周りを見ると…………あっ本当です。誰もいません!?
それがわかると落ち着かなくソワソワしていた体の感覚が落ち着きソワソワが無くなりなした
「おっ?…落ち着いた?」
「はい、えっと何なんだったのでしょうか、なんだか嬉しいのですけれど、そのままでいるのは落ち着かないというような…なんだかよくわからない感覚なんですけど」
「んー?多分恥ずかしかったんじゃないの?」
恥ずかしい……あっそういえば人前で副官の頭を撫でたときに『周りの人が見てるからやめて!』って怒られたことがありましたね
「なるほど…あれが恥ずかしい…ですか」
「今いいか?」
「おわっ!?」
「はい!」
バッと離れる私とナナちゃん、だっだれでしょうか?
「…なんか、すまんな」
お客さんはトットルさんです。えっと馬車は揺れていませんでしたし、休憩中だったのでしょうか?
「ゴホンッ…えっとな、2人に持ってきたぞ」
ほれっと両手に持っているものを見せてくれました
「ガントレットだが別に特別な何かを入れていないすまんな」
「いいえ、作ってくださっただけで十分ですよ」
「いや…ちゃんとした設備と調整済みの魔石があれば何らかの魔法を付加できたんだが今は…すまない」
「いえ、ですから成長期ですしサイズが変わりますから…」
「ああ、ちょっとでもサイズが合わなくなったり違和感や問題があったら言ってくれ、すぐに直す」
「はい」
では早速とつけて…
「ここで装備するかい?」
ヒョコッと私の横から上半身を曲げて私の視界に入ってくるナナちゃんが当たり前のことを言う、せっかくトットルさんがいますし今装備せずにいつするんですかね?
「……『ガチャガチャ』」
「なんかいってよ〜」
「えっと…」
「そこの部分はこうして」
「あっなるほど」
「アリちゃーん」
ナナちゃんが、私の頬に頬を合わせてスリスリしてきましたので私もそのまま押し返しスリスリします
「…私も旦那ちゃんと後でしようかな」
トットルさんがなんか小さく呟きましたが、そこはお好きにどうぞという言葉しか思い浮かばないので、あえて何も言いません…で、つけてみた感じ特に問題はありませんね
「可動域に問題はありませんし、違和感もありませんよ」
「そうか…では次はこっちだな」
そうして眼帯をナナちゃんに渡された
「よ………と」
装着し、親指と人差指を伸ばし顎に親指の付け根が来るようにくっつけて
「どう…似合う?(キリッ)」
「…ええ、まあ」
眼帯は逆三角の様な形で角は丸く耳側は2つ紐が出ていますが繋がって輪になってます。右目側は紐が上の方から出ていますね、少し耳側に来る部分の下が少し大きいですかね?
「そちらは旦那ちゃんが色々とイジっていたぞ♪」
トットルさん、旦那さんの話のとき声がワントーン上がり弾みますね
「へー、どんな効果があるの?」
「まず、透過が施されているから視界を妨げないようになっている」
「えっ…見えないよ?」
「魔力を流していないからな」
いうと同時にナナちゃんの眼帯に触れるトットルさん、一瞬魔力を感じたと思ったらナナちゃんが声を上げた
「おお…見える、見えるぞ、私の視界を遮るものはなにもないぞ!!」
立ち上がり声高々に宣言するナナちゃんに私とトットルさん
「「うるさい」」
と注意して座らせる
「ごめんなさい」
うん、素直でよろしい
「注意点としては魔力を使っているからそれに敏感な魔物や動物が反応する事だ」
ええ、いますからね魔力に敏感なものはオン・オフはできないと困りますが…
「トットルさん、魔力は何処から?」
魔道具を使用するには当然、魔力が必要です放出系…例えばファイヤーボールという炎の玉を出す攻撃魔法を使える魔道具だしよう
それならば必要分の魔力を入れると発動し魔力が空になる使いたければ再び魔力を入れるだけ、でもそうではない魔道具、結界柱のような常時発動型は魔力を吸収する装置と仕組みが必要となる
この眼帯のどこにそんな仕組みが?
「ん、ああ…消費自体は少ないから外部補充だ」
外部…魔力を自動吸収で補充ですね、これでナナちゃんの魔力消費は必要ありません
「その仕組みは?」
魔力回路とその役割を担う為の魔石が必要なはずですどこにあるのでしょうか?
「ああそれはな…ナルシェナちょっと貸してくれ」
「うん」
眼帯を外してトットルさんに渡すとササッと眼帯の目の部分を何やらイジると中身を取り出した。目を抑えつけないようにやや膨らんでいたと思っていましたが
その役割だけではなかったようです。
「おっ?これは?」
「魔石…ですかトットルさん」
「そうだ1つの魔石を薄く伸ばした物といくつか小さな魔石を埋め込んだんだ」
魔石に魔石を入れる!?
そんな技法ザレの頃には聞いたこともありませんよ!?
小さな魔石は、1、2、3と3つも埋め込まれています
薄い大きな1つというか1枚は透過ですから、1つ目の小さな魔石は魔力吸収で、2つ目ではその吸収した魔力を貯めるタンクの役割でしょうかとなると3つ目は何でしょうか?
「それで、魔術回路をかなり短縮し魔力の節約を可能としなおかつ小さな魔石をあえて回路の役割とすることにより!」
なるほど3つ目がその回路の役目ということですか、しかしトットルさんがヒートアップしてきただんだん声に力が入る、旦那自慢、ノロケですかね?
「魔力回路でかねてより問題であった魔力漏れが一切無くなるという旦那ちゃんの素晴らしい考えは実際に魔力漏れ無しということを実現させた!」
おお〜………お?それ試作品じゃないんですか!?
「……」
ナナちゃんもそれに気づいたというか気づかされたのでしょう、唇をギュッと横一文字にしてやや目が死んでいる、そのように見えるのは私の気のせいではないと思う
「すごいだろ、旦那ちゃんは!」
「すごいですね」
私はそうとしか言えません!
トットルさんの目が輝いていますから!
否定はできません
トットルさんは設備と調整済みの魔石がないと私には鉄のガントレットだけなのに対しナナちゃんの眼帯は色々とされている。ここにありましたね調整済みの魔石、実験により消費されているのかな?
うん、まあトットルさんは旦那さん優先だってことですね手持ちがこれだけしかなかったんですねそれを全部眼帯に使ってくれたって事ですよねナナちゃんにアレコレしてくれたってことで私は不満はありません
しかしこれは試作品みたいです。さあナナちゃん…どうする?
「…すごいねー本当にすごいですね、あっ他に何か機能はありますか?」
「他?」
「はい、爆発とか…爆発とか…爆発なんか」
ナナちゃん………まぁ、顔で爆発されたら困るというか死にますものね
『ポン』
ナナちゃんの言葉を聞いてトットルさんは優しく穏やかな顔でナナちゃんの肩に手を置いた。
「旦那ちゃんの技術を疑うのか?」
「おおっ!?」
ーっ、これは殺気?
「ナルシェナ……もう一度聞く、旦那ちゃんの技術を……疑うのか?」
これは、私でも逆らってはいけないというのが分かりますよナナちゃん!
「うううううううううん!」
『ブブブブブン』
ものすごい勢いで顔を横に降るナナちゃん…ちょっと残像が見えますね、全力否定さすがすですナナちゃん
「ほほう、ではー」
「トットルさん!」
「ーなにが……どうしたアリシア」
ナナちゃん救出のため話題変更です!
「そういえばはバンサーさんはどうしていますか?」
「ん?バンサーか…バンサーな〜」
あれ、もしかしてバンサーさんになにかありましたか?
「バンサーのところは多夫の方で男同士で共婚者だろ?」
……そう、でしったけ?
「…その顔は知らなかったか」
「はい、知りませんでした」
「男同士で共婚者だったんだバンサーさん」
ナナちゃんも知らないんですか……しかし何でしょうザレの記憶からピンクの記憶が来そうなので、追い払うようになにもないのに手で頭上の何かを払うような動作して考えを霧散させます
「まあそういうわけだ…」
「何が、そうなんですか?」
「なにがー?」
「えっとな女性が1人で1人の男性としか子をなせないだろ?」
はい確かに1対1です卵生であろうとも1組の男女が子孫を残しますね母体1で男性複数となると順番が……まさか、その子宿しの順番が?
「アリシアは気がついたようだな」
「はい」
「えっ、アリちゃん分かったの!?」
はい、ナナちゃん私はザレの記憶がありますからなんとなく理由がわかりましたが子宿し順番が後回しって結構なバツではありませんか?
その、入れる行為が無くなるということになりますよね?
共婚者が出来るのに、自分は…ということですよね?
私がというかザレの頃は教会が作った避妊魔法をすると既に出来ていても流産に繋がる可能性を秘めているとなっていたので避妊魔法は非推奨となっていて使えません
異世界人がいい薬でも作ってくれているならば別ですがそんな都合のいいものは存在しませんよね?
そう考えますと……バンサーさん、ドンマイです
「その原因はやっぱり魔神フィアーですかね」
「ああ、そうだアリシアとナルシェナを守れなかった罰で子宿しが最後になった」
「ちなみにバンサーさんの共婚者の方はバンサーさん含め何人ですか?」
「ん」
トットルさんが手のひらを見せる……
いいえ、分かってますよ手のひらを見せたわけではないということは、しかしそうですかー、5人ですか
「アリちゃん、こやどしって?」
「ああ、ナナちゃん子供を宿すということですつまり妊娠させる順番ってことです」
「へー……あそっかそういうことか」
ナナちゃんも理解したところで『休憩終わりだー出発するぞ!』という声が聞こえたのでトットルさんはすぐさま眼帯を元の状態にしてナナちゃんに渡すと去っていく
そして私とナナちゃんのもとには親が来たのでついでに今どの辺りか聞くとリーナお母さんが
「丁度中間ってところかしらね3日後の日暮れ前には領都につく予定よ」
と答えてユナお母さんに視線を送ると頷くのでどうやら合っているようだ、3日後には領都か楽しみですね
ナナ「バンサーさんが共婚側だったんだ…なんか意外だなー」
アリ「いえ、各家庭に個性はありますからきっと奥さんに出逢えばなるほどと思いますよきっと」
ナナ「会えるかな?」
アリ「どうでしょうね私達は私達で領都についたらそれはそれで忙しくなると思いますよ」
ナナ「そっか」
でわでわ、また来週投稿します




