33.言ってよ!
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相手はなりたてゾンビ、そこまで脅威ではありません
ロティシナがいるので走って移動はしていないですが小走り程度です。
そこまで遠い距離では無いのに体が重く感じます。
ホンド村のテント地の前まで来た瞬間、近くからものすごい魔力を感じました
「ーっ!?」
「なに!?」
「!!!」
「魔力圧を感じます!」
魔力圧、大きな魔力を持つものが抑えることなく隠すことなく魔法を行使する瞬間に感じられる圧迫感である
「どこかー」
まずい圧の発生源はと周りを見た瞬間にすぐそこからゾンビが生前の記憶を使い、魔法を使って来ました
一体何の魔法でしょうかわかりません、わかりませんが対処をと周りを瞬時に見渡し……いえ、それよりも助けを呼んだほうがいいでしょうか、ホンド村のテント地はもう目の前ですし
「アリちゃん、くるよ!」
「えっ??」
しまった!すでに敵と遭遇しているのに何を考えこんでいるのでしょうか私は!
「うううううぅぅぅぅばあああああ」
人から魔物になっただけで、呪文いらずであの叫び声で魔法を使ってきますデタラメな!
どうしようどうしようどうしよう、魔法どんな魔法?
避けるためにはどうすれば、ロティシナと少女は守らないと、私やナナちゃんみたいに魔毒に耐えられるかどうかわからない
「アリちゃん、しっかりして!」
「ナナちゃん…」
私はナナちゃんに手を惹かれて近くにあった木の陰へ誘導されるが相手は当然待ってくれない
「ばあぁう」
風がゾンビに集められます風魔法ですね……木の陰へは間に合いそうにありません、手荒いですが!
「ロティシナごめんなさいっ!」
放り投げます
「ーっ!ごめんね!」
そんな私を見てナナちゃんも同様の行動をします。そして残された私とナナちゃんは…
「ああああああああ!」
「っ!」
放たれた風魔法、幸いにも相手を吹き飛ばすウィンドプレッシャーという飛来する石や矢などを吹き飛ばす魔法で刃ではないので怪我の心配はありません、落下さえ注意すればいいのでーー!
「うわああああああぁぁぁ!」
「……」
結構飛びますね、ちなみに私とナナちゃんは抱き合っています。
いえ、ナナちゃんが私に抱きついているといったほうが正しいですね私は片手で離れないようにしているだけですし
「ああああああ…今度は落ちるうううううう」
「……(落下地点はっと)」
いえいえ、ナナちゃん?
飛んだらそりゃ落ちますよ、飛びっぱなしは逆に嫌ですよ私は
「アアアアアアアアリチャン!どうしよーーーー!」
「うるさいです」
「ごっごめん!」
落下地点にちょうど木があります。そのまま当たったら痛いじゃすみませんなので
「よっと」
「おわああ!?」
グッとナナちゃんを利用していい感じに方向修正し木の中心を避けます。枝などでスピードを殺し短剣がどこかに引っかかれば万事解決となります。
「アッアアアリちゃん」
ナナちゃんはおそらく無条件の信頼を私に寄せていますよね?だからこう言えば大人しくしてくれるはず
「私を信じて大人しくしてて」
「うっうん!」
ほら素直に頷いてくれた。後は…私の覚悟、腕は千切れなければ治せますから……千切れなければ治せる、千切れなければ治せる、千切れなければ治せるっ!
『ボッバキバキバキバキバキバキバキガッ!』
『ギチッ!』
「ングッ!」
なんとかなったが体がとても痛いし腕がかなり痛い
『バキバキッ!』
なっ!?あっいえ、まあ子供2人分ですし勢いよくぶつかりましたしそんなに大きくない木ですしね
仕方が無いですねと落下に備えようとしましたが
「よっと」
と言ってナナちゃんが片手で木を片手で私を掴みました
「離すよー」
よく掴んでいられましたねすごいです。鍛えてまだそんなに筋肉はついてないと思いますが…
助かりましたナナちゃん
「はい」
折れた瞬間無事な枝を掴み片手で私を支えました高さもなそんなに無くうまく着地すれば足を痛めることもないでしょう
で無事に降りましたが、どうやら敵のど真ん中ですか…
周りは敵だらけですがなりたてのゾンビで動きは遅いので安全に馬車まで行けそうですね
「ナナちゃん、体は大丈夫ですか?」
「………うん、体は大丈夫だけど」
「だけど?」
いったい、どうしたのでしょうかさっさと馬車まで戻りましょう?
「アリちゃんは大丈夫?」
「はい?大丈夫ですよ」
腕は若干痛みますが
「違う、体は大丈夫そうだけど、そっちじゃない」
えっと…何を言っていいるのでしょうか?
「…だってずっと困った様な悲しそうな顔してるよ」
私は自分の顔を触り確かめます。確かに、ナナちゃんの言う様な口角は少し下がり眉もハの字になっていました
「ねえ、アリちゃん…私何かしちゃった?」
「…そんな事はありません」
「でも!」
「早く馬車まで戻りー」
「アリちゃんっ!」
『ドン』
肩を掴まれたと思ったらナナちゃんに気に押し付けられました
「ごまかさないでよ、嘘つかないでよ…私とアリちゃん共婚者でしょ?」
「……そうです」
「どうして、どうしてなのアリちゃん!」
「どうしてとは?」
「なんで何も言ってくれないの!?アリちゃん私が警戒って叫んだ後からあきらかにおかしいじゃん!それからずっと困った様な悲しそうな顔してるし!」
「それは……」
「どうして、なんで、何がそうさせたの!?私のせい!?一体何が理由なのさ!言ってよ!」
ナナちゃんの肩を掴む手に力が入り少し痛いがそれ以上に
眉間にシワを寄せ目つきも鋭く私を睨むそんな怒った表情を私に向けたナナちゃんは始めてみました。胸がすごく…痛みます
理由を言うべき…なのでしょうか?
自分で自分の心がわからない……と
そんな人、いるのでしょうか?いいえそんな自分で自分がわからないなどそんな人いるわけがありません、だからもし私が周りの人と違うと…異分子だと言ってナナちゃんに嫌われたら?
ザレの記憶で、異分子は徹底的に排除するという人の心理は何度も見てきた。
ただ違うだけならば問題ないけれど外見が大きく異なって生まれた子供
奇形児は悪魔憑きとして神殿に捨てられ、魔力無しも異常として誰からも相手にされなくなっていない存在扱いとなっていた。
それ以外にも病気なんかは最悪、命を奪われていた
異常者は、異分子は排除される
そう思うと口を開けませんギュッと口を結んでしまいます。
ザレもそのせいでずっと1人で抱えていました
「なんでさっ!なんで何も言ってくれないのさっ!」
ごめんなさい異分子として嫌われたら2度と仲直り出来ないけどただの喧嘩だったら仲直りできるから
「アリちゃん…私ってそんなに頼りないかな…」
ナナちゃんの問に小さく首を振ります
「じゃあなにか言ってよ!教えてよ!1人で悩まないでよ!」
ナナちゃんの目から涙が溢れます
「…聞いたら、後悔するかもしれませんよ?」
「するわけない!」
「そんな子だったの?と引くかも知れません」
「ありえない、どんなアリちゃんでも受け入れられる!」
「全部は話せないかも」
「アリちゃんっ!共婚者なめんな!」
泣きながら私を睨みつけるナナちゃんに私は言葉を詰まらせました
「どんなアリちゃんでも受け入れる!だから、だからだからだから教えてアリちゃん…私は……何をしちゃったの?」
「…………何もしていません」
私が勝手に思っただけ
「ねぇ…どうして……アリちゃん…アリちゃんは実は私と共婚者になるの嫌だったの?」
「そんな事はありません」
ナナちゃんのことは好きです
「なら……どうして?………なにか理由を言ってくれないとわかんないよ」
ナナちゃんの目から涙が溢れます。
「共婚者なら言ってよ」
絞るような声で言った。でもその声は何故か私の胸に深く刺さる…どうして?
「アリちゃんはさ、共婚者ってどんな存在か親から聞いた?」
私は首を振り否定する。親に聞いたことはない
私のと言うよりザレの知識として軽く知っている程度です。ただ単に、共に支え、共に泣き、共に喜ぶ存在であると、つまりすべてを共有し合う存在であるそれだけです。
なのである意味『知らない』が正解なのです
「私はね、聞いたよだからあの日アリちゃんが私と共婚者になりたいって言ってくれたときとっても嬉しかったのだからちゃんと共婚者を知りたくて聞いたの!」
そうです。私から言ったただただ側にいて欲しいが為に
「アリちゃん、私が私の親から聞いた共婚者ってすごいんだよ」
そこから語りだされる共婚者とは私が思っていた以上に深い絆だった
「アリちゃん、私の親いわく共婚者って魂の欠片のような存在なんだって」
魂の欠片?
「なにか疑問に思ったことがあればすぐに相談するし、不安も共有する…他にも全部、喜びも怒りも哀しみ幸せもとにかく全部っ!全部深く共有し胸の内を晒せるんだ、だから共婚者がいる人は悩みを抱えないっとても幸せもなんだって言ってた」
悩みを抱えない?すべてを深く共有?
胸の内を晒せる…相手
「私とアリちゃんは共婚者だ!だから…だからどんな些細な悩みでも教えて、一緒に悩ませて、一緒に考えさせて、一緒に抱えさせて!共有させてよ!」
私が知っている軽いものとは違い、もっと深い深い絆で繋がる存在それが共婚者
「いいのー」
いいのでしょうか?そう呟こうとした瞬間
「バアアアアアア!」
ゾンビがすぐそこまで迫っていました
「ーっ、ナナちゃん!?」
しまったここは敵のど真ん中なのにと私は思いましたが
「邪魔すんなよ」
静かに小さくそう言うとナナちゃんは、私から離れゾンビの対処をする。それは流れるように足を折り、倒れてくるゾンビの頭に拳を叩き込み破裂させました
「アリちゃんの言葉が聞こえないだろう?」
いいえ、あの距離で聞こえないほうがおかしいと思いますが…まだまだゾンビはいますしどんどん近づいてきます
「あああああああ、もうっ!」
ガシガシと頭をかくナナちゃん、苛立っているのが伝わります
「アリちゃん、なんか話をする空気じゃなくなったから後でね」
「はい」
そこから2人でゾンビの対処をしながら馬車まで戻り、私とナナちゃんの空気を悟ったロティシナと少女は、距離をとってそっとしておいてくれました
大人に全て任せていつの間にか馬車は日もくれるというのに、街を離れてまたいつの間にか草原の中で野営となっていました。
怒ったナナちゃん、嫌われましたかねそう思ってしまって胸がキューッと締め付けられます。謝って許されるでしょうか?
膝を抱えてうつむいていますとナナちゃんが、やってきて私がいる馬車の中まで来ました
「ナナちゃん?」
見上げると魔道具のランタンで見えた表情は、何故か申し訳無さそうな顔でした。
何故、ナナちゃん申し訳無さそうにしているのでしょうか?
「アリちゃん、あっちで話をしよう」
そう言ってナナちゃんに手を惹かれて野営地を離れて星空の下夜の草原にナナちゃんと2人きりになりました。
「えっといいのでしょうか?」
「大丈夫、私の親にもアリちゃんの親にも話してるだから、どんなに大声出しても野営場には声は届かないし結界も貼ってあるから魔物も来ないよ」
「そうなんですか」
「うん、だからお互いに隠し事なく話し合おうか」
かつてないほど真剣な顔つきでそう言われました
……わかりました。もうこの際ですきっと運命なのでしょう話せることは全て勢いに任せて話しましょう
思い考えることなく、感情のままに押し止めることなく全力でナナちゃんにぶつかりましょう
すみません。まさかまだ移動できないとは、プロット書かないきよわわが悪いんですよね。ごめんなさい、予定ではもう領都についてて親の仕事は〜みたいな展開にいっているはずだったんです。アリ、ナナ…何を言い合いしてるんだか
とにかくアリ、ナナを急かさせて『次話』で必ず言い合いは終わらせます!
アリ・ナナ「「えっ!?」」
でわでわ、また来週投稿します




