16.帰ってきた母
ちわぁ今週の投稿ですぅ!
間に合った
「そうだよな、そこまでの想いがあるからわざわざ承諾を貰いに来たのだし」
リビングの席に私を座らせて飲水を私に渡してくれる
そして自分の分は入れずに私の前に座るお父さん、お父さんは飲み物いらないのかな?
「う〜ん、まあ大丈夫だろう」
何が大丈夫なのかな?
お父さん、自己解決しないでほしいですが。まあナナパパ…トラビトさんの『共婚約者待ってくれ』の件なんだろうけど…でも説明して
「何が大丈夫なの?」
「ん?ああ、詳しくは話せないが。親バカと言えるトラビトがとても怒っていただろう?」
「うん」
あんなにナナちゃんにとても激甘だったはずのナナパパがナナちゃんを叱り叩くのは想像出来なかったからとても驚いたけど
「あれはアリとナルシェナちゃんが普通の友達だったら問題は無かったんだが共婚約者だからな」
「共婚だと問題が?」
一体どんな問題が?
「ああ、トラビトは…共婚約者を失ったことがある」
「…トラビトさんの?」
共婚約者を失う
「ああ、トラビトは兄貴的な存在だったラジャックという男と共婚約者だった」
「…『ゴクリ』ーっ?」
なぜ…今私は唾を飲んだ?
「どうした?」
「なんでもないよ、続きをどうぞ」
「?…そうかまぁ、続きと言っても」
腕組して目をつぶるお父さん
「昔のトラビトはナルシェナちゃんのように考えるよりも本能的に行動する。冷静さを保てないんだ」
なるほど、先に手が出るやつですね。
部下にもよくいました。そいつは副官が迷うことなく騎兵隊で突撃の一番槍に任命していた。まああいつも毎回突撃して無事なんだから凄い奴だったな
「そのせいで冷静に分析し最適解の行動ができずに、誰かが尻拭いして大事になる」
「……」
何も言えない、まさにその通り魔獣は、もう少し我慢強さがあれば。賊は冷静な判断で別の方法取ればもしかしたら、という所詮結果は出てしまっているがあの時のこうしていればという思いはある。
人は過ちを繰り返さないために、記憶に刻まれる生き物だ子孫に伝えるために、我が身を守るためにだからトラウマもあるんだけど…トラウマは邪魔だよね?
忘れられれば乗り越えやすいんだけどなー、嫌なことは何年経っても忘れない
「そして、トラビトはそんな考えるより感じる派で、突発的な行動をしてしまい大事な共婚約者を亡くしてしまった」
「つまり自分と同じ過ちを起こさせないように」
「徹底的に心身ともに叩き込んでくるだろう、ナルシェナちゃんが乗り越えて…」
「乗り越えて来るよナナちゃんなら」
嫌われたかもしれないと思いつつも、私のそばにいた子だ。きっとその心の芯はブレないそう確信がある
「ふっ、共婚約者ゆえか」
お父さんの言葉に頷く
「そうか……」
それだけをつぶやくと夫婦の寝室に向かおうとする。なんで?
その疑問はすぐに解消された。私の気配察知にお母さんの気配をとらえたのだ
お父さん逃げないで!
「待っておとぅ…もういないか」
アリーナお母さんはこういうとき泣き虫さんになったうえにひっつき虫になるから、めんどくさいんだ
「アリ〜〜〜〜!」
ドアを『バンッ』と開き私を見つけるやいなや抱きついてくる
「ごめんね〜お母さんがついて行っていればあんなことに〜」
私のお母さんであるアリーナ実はちょっと問題ある。
いや、普段は問題なく普通の一般的お母さんでも、3年前、私が5歳の時のある事が発生した。それ以来ちょっと大げさに泣くようになってしまったんだ
それはある日の夕食の時、調理中のお母さんを手伝おうと近づいたら
「ーっ!」
「きゃっ!」
包丁で背後にいた私を斬ろうとしたのだ、これはとても危なかった。私じゃなかったら間違いなく頭を斬られて死んでいた、だって私でもオデコの皮を斬られて血がかなり出た。
私は軽く心の中で
(良かったね、お母さん私でじゃなかったら間違いなく死んでたよ?)
なんて思っていたけど私のオデコを切ったお母さんは
「あっ……ああぁ………あ…ち……ちが」
相当ショックを受けたみたいでアワアワしている
こんな状態では何もしてもらえそうにないので、落ち着かせてから、水魔法の治癒をかけてもらうまでに時間がかかるだろうからと申し訳ないが清潔な布で傷口を抑えつつお母さんをなだめてそこにお父さんが帰ってきて大混乱……でどうにか落ち着いた頃にはもうお母さん大泣きで私に謝罪
それ以来、私の血が出る怪我には大袈裟なぐらい過保護になるようにそれ以外は、現在のように私に抱きついてくる
「アーーーーーーーリーーーーーーーー!」
はいはい……はぁ
「大丈夫だよお母さん」
「でもー、でーもー」
何だこの子供、精神不安定な状態じゃないですか。魔獣のときと同様にお父さんどうにかしてほしい
思い出したくも無いけれど、魔毒で苦しんでベッドにいる時。毎夜毎夜ギシギシうるさかったり不自然に一部屋だけ異様な魔力を感じるのに無音だったりした。何をしていたかなんて前世持ちの私には丸わかりです
夫婦なんだから引き取って
『ジーーーー』
廊下から何やら視線を感じる。ってお父さんしかいないか
「…お母さん心配かけてごめんなさい、私は大丈夫だからお父さんを」
「何!?」
何よその裏切ったな的な声は、あなたの妻でしょ引き取りなさい
「グライド〜」
いけお母さん、夕飯は自分でどうにかしますので部屋へどうぞ〜♪
「待てリーナまだやる事があるだろ、待て待ってくれ!」
お父さんは寝室へ連れて行かれて
「あーーー……………」
不自然に声が途切れた。良かった声や音は聞かなくて済みそうだ
一人で晩御飯の準備
こんな時にもう一人のお母さんが入れば良かったのに
もう一人のお母さんユナルテ、アリーナお母さんの共婚者、遠近どっちのポジションもこなせる万能型で…
『ガチャ』
「今帰ったよー」
「…よー」
そうそう、今玄関から入ってきた女性の様に燃えるような赤い髪に、赤寄りの紫そしてちょっとだけハスキーな声………
「ユナお母さん!?」
諸事情で家を開けていたユナルテお母さんが帰ってきた
「ただいまアリ」
なんか小さい子を連れて
「誰?」
「あれ、グライドとアリーナから聞いてない?」
私は記憶を探るが……何にも聞いてないので首を横に振る
「えっ!?じゃあ私が帰ってこなかった理由も知らない?」
「うん」
手紙を見て二人でなにか話す姿は見ていたが、私には何にも教えてくれなかったよ?
「はぁ〜、まったくあの二人は」
うなだれるユナお母さん、今日は床掃除してないから汚れてるよ?
「アリー、私ね街での買い出しチームだったの覚えてる?」
「うん、3年前刃物を研いでもらったり金属系を買いに行くチームだったよね?」
3年前の私がオデコ斬られる前だったよね?
「良かった。そうそう3年前よのことよく覚えてるわね!」
おお正解だね、あのチームは売りじゃなく買いのチームだったし緊急的なものだったから印象深い、だって普通は村の生産物を売りに町に行き、そのついでに必需品を買うのに緊急的に集まって行ったからね買いの為に行くのは珍しいだから記憶に残っていた
「実はあの時のお母さん妊娠十ヶ月だったんだ」
「………はぁ?」
「それで馬車で5日移動して町につたら陣痛が来てこの子を出産ってことになった」
何やってんのユナお母さん!?
「まあ、あたし頑丈だしぃ?」
「いやいやいや!」
運が良いだけだと思いますよ?
「妊娠に気が付かなかったの!?」
「そうなんだなこれが、ちょっと太ったかなと思った程度で分かんなかった」
「ええぇー」
う〜ん、ありえるの?
自分の体の中に新しい命が宿ったのに?
「割とあるみたいだよ?」
「ええぇー」
そういうもの?そういうものなの!?
「ま、事情はそんなんで……2人は?」
2人は今…真っ最中です。そう言っていいのかな?
いや?ちょっと察してもらおう
「部屋に行ったよ?」
「もう寝ちゃった?」
「んーん、晩御飯もまだ」
「えっ………ああー、そっかそっか」
少し顔を赤くして
「じゃあ、先に紹介するね。ホラ」
小さなこの背を押して一歩前に出させて私の正面に立つこの子は
「はじめまして、ロてぃシなって、いいます!」
「わぁ」
『キュン』
ペコリと頭を下げるツインテールの幼女に私は…トキメキを感じてしまったのだった
ようやくグライドさのもう一人の妻を出せたから次は……どうしよう。まあ前からノリと勢いで書いてるって言ってるしこのままでいいよね?
書くこと大事大事、エタらないぞ!




