160.5 移動中の出来事
158.5話に出てきた異世界人関係の共通話のためこちらも『.5』とさせていただきました。
愛しの人へ
寂しい、淋しい、本当にザレが隣に居ないだけで肩に冷たさを感じるぐらい人肌が恋しい、また抱き枕にしたい、そんな淋しさを紛らわせる為に……また、襲いに言って良い?
人恋しいさに遠吠えをするヴェルーナより
アリ「紛らわせてないじゃないですか…」
ナナ「むしろ根本の解決に来る気だよね?」
フラ「…ザハレグス様じゃないからな中身は同じでも外側はアリシア、紛らわせるであってはいるのか?」
***アリシア***
「ねぇ、アリちゃん」
早朝に再び馬車で移動を開始して既にお昼近く、みんな会話するまでもなく読書して過ごしていましたが前回に続き、ナナちゃんが沈黙を破った
「………はい、なんでしょうか?」
静かな読書タイムが終わりを告げる
「みつぐ様の事って結局なんのお仕事といえば良いのか担当といえば良いのか結局何をしている人なの?」
あー、それは難しい質問ですね。
というかなぜみつぐさ…まだザハレグスの伝説を読んでいるんですね…どこで買っているのかなんて愚問ですよね。買うまでもなく団員からの回しものですね。
「それを説明するには面倒ではありますが簡単に言うと鷹と苗木の傭兵団って昔からどんどん規模が大きくなりまして上役って何でもするようになってるんですよ」
「何でも?ってか、みつぐ様も団員なんだね」
なんですよ…
「はいですから基本上層部は何でも人手が足りない所に行くエキスパートの集まりでして」
「エキスパートだと…鷹と苗木こえー」
「それはすごいな…納得だが」
「と言ってもそれは昔で今は自分の仕事が固定し決まった以上は差が出てきていると思いますが」
「ふむふむ、でみつぐ様は?」
「昔は対異世界人兵器兼異世界人相談役」
「兵器なの?」
「兵器…もう少し言い方はなかったのか?」
フランメ、そう言われましてもチート能力のせいなのか知りませんけど当時のみつぐさんは
『異世界人なんてあたってナンボのもんよ!セーブ!』
と言ったあと急に表情を変えて何があった?と思えるほど表情を変えることがほとんどダメだった事が多いからいつも暗くげっそりとして口を開く
『…えっとね今回の異世界人は敵で間違いないよ、話通じないし、自称エリート様かっこ笑でね。チート能力は………』
っと教えてくれる。何回死んでるのでしょうか?と今なら思うし、あの時は助かったといえば助かりましたけど…当時のザハレグスは、現代兵器を召喚できる異世界人の時に居てくれれば優秀な部下を死なせずに済んだのにな
なんて…思考がありましたね
「で、ですね。今は医療担当というところでしょうか?」
「でしょうかって知らないの?リエルさんは、知ってる?」
ナナちゃん、リエルは知りませんよ?当時彼女は復讐者でしたから
「申し訳ありません。私は知らないのです」
「そっか…」
「で、アリシアどうなんだ?」
「私が知っている部分の最後は、最新医療を思い出せる部分まで思い出してもらうために、ハイエルフ達に拉致されているところです」
「拉致…」
「ハイエルフ達が……人攫いだと」
「ザハレグス様でも止められないのですね。聞く所によると多くの命を助ける為なら手段は可能な限り選ばないハイエルフ達は、世界樹の雫の様に取りに行くのは命がけのアイテムと違い知識なら聞けば良いと格段に違いますからね。みつぐ様は、尊い犠牲となったのですね」
リエル、みつぐさんは死んでないですよ?
まあ、死んでも復活しますけどね…
馬車での移動、それは何かと遭遇する確率が上がるということ、だから今回もよくあることといって良いのか分かりませんが馬車の行く手を阻むものが現れたのか馬車が止まる。
「?」
「んん?」
「止まった?」
「どうします?主様」
アインが中にいる私に向って聞いてきました
「…どうとは?」
盗賊なら見つけ次第コロコロ確定ですが?
「それが…」
言い淀むということは違うのですかね
「外は安全です」
「分かりましたでは出ます」
何事かと降りてみる
「よっと」
「ナナちゃんもですか?」
「うい!ちょっと気になるからね!」
外に出て馬車の先を見ると私よりも小さい子供が2人、両手を広げて馬を止めている。邪魔でしかないですね。
「どいてくれない?」
「ちがくないアリちゃん!?」
「?」
何が違うのでしょうか?
「いやいや!こういう時普通は事情を聞かないかな!?」
「え?」
意味が分かりません。子供だから事情を聞くのでしょうか?
「道路交通法に欲しいですね。車道に出た人は轢き殺しても良いと」
「無茶苦茶だよ!駄目に決まってるでしょう!?何考えてるさアリちゃん!」
…でも、ちょっとくらい思いません?
町中で馬車は歩行者に気を使い走行しなければならないという法があり。町中での走行はいつでも止まれる速度であるように、となっていますが
現実的に馬車の往来を確認せず車道に出るほうが悪いと思いませんか?
「ともかく面倒ごとの予感?」
待ってください私の心の声を聞いて欲しいのですが?
甘やかすと法がこうだからと道路に平気ででたり、万が一は馬車が悪いとなる。だからドスティアード王国も頭を悩ませている当たり屋なるものが存在するんですよ
何割かで貴族の強権を行使して、当たり屋を殺害して数は減っても一般の乗合馬車を狙う輩が残っているんですよね…
異世界ではカメラなるもので証拠として扱われるようになったとか…
「アリちゃんじゃ駄目だここは私が」
「………どうぞ」
ナナちゃんもに任せます。ま!絶対に助けようとして面倒事に巻き込まれるのでしょうけどね♪
「ねえ、君達どうしてこんな事を?」
ナナちゃんが話を聞こうと近づこうとしたとき
『ドサッ』
「おねげだぁ!びじんなおねえさまがた。すしでいい!パンひときれででもいいけ、くいもんを!くいもんをわけてけろ!」
おっとただのお願いの為の平伏でしたか、思わず斬ってしまいそうになりました。
いけないいけない何でもかんでも即対応の戦時中ではないのですよ私
しかし、かなり田舎な喋り方なんですね
「アリちゃーん…」
だめですよ?分け与えません。
ご飯を今与えた所で一時しのぎに過ぎません。現地に行って状況を見てどうするか決めるならともかく、ただ差し伸べる……………ん?
「お、おねげぇしますおねげぇしますだ」
跪いたまま両手の平を何度も何度も擦り合わせお願いしてくる。
その際ボロボロの長袖からチラッと見えた腕に、違和感がありま………アレは!?
「『Clean』ナナちゃんこちらへ『風よ私の願いを叶えて、かの者と私達を風による壁であらゆるものから阻み給え、air curtain』」
「ちょちょ!?どうしたの」
「病気持ちです!」
緊急ですね!私の声に反応しリエルが馬車の扉を閉めました。これにより馬車の中は安全となる魔道具が自動発動、扉を開いていた場合は範囲が広がりますが、その範囲内に子供2人も入っていた状態ですので閉めるのは正解です。
「『エアカーテン』……ちっ」
「『ウィンドシールド』」
ヴァネリアは舌打ちをする後で馬や自分とアインを検査する面倒があるからでしょうか?
「食料を分けて欲しければ答えてください」
「なっなんでもお応えしますだぁだからごはんをくだせぇ」
両手をスリスリと合わせこする
「あなたの村は近いのですか?」
「ああ、ここからすこしだけんどあるくとそのさきにあるだよ!」
「大人は今、何をしているのですか?」
答えは分かっているが聞く
「おとなはみなねこんで、はたしごともろくにできなくなってるだ」
畑仕事もできないほどの病状…軽い風邪や熱程度なら動くのが一般的…にも関わらず寝込む
「それは全員ですか?他の人も?」
「ああそうだぁ、オラもからだつらいけんどもぉはらぁへってへってむらになにもねぇ、だかっんらがんばってなんとかここまできただ、なぁオラこたえただ、たべもんもすこしわけてくんろ?」
私はチラッとヴァネリアを見るとヴァネリアが荷台をあさりパンを2つ子供を少し馬車から離すように投げた
「ちょっヴァネ『ポス』もごご!?」
ナナちゃんの口を塞ぐ
「申し訳御座いませんが、ナナちゃん少し黙っていて貰って良いですか?」
「…………も?『コクリ』」
頷いたのを確認し続ける
「引き続き聞きますが、それはいつ頃からそのような状態に?」
「ハフハグッハグッ」
「ハグッハグッ」
ちっ、どっちか答えてくださいよ………
「『蛇口』」
キーワード魔法で飲み水を彼らの近くに出すと今度は勢いよくのみ始める。
魔法も使えないとは言え、井戸から汲み上げる事も出来ないのか、それとも魔法で水を出すこと前提で井戸すらないのでしょうか?
「ごくごくごく!」
「わたしにもわたしにも!」
「……アリちゃん。飲み物は普通のキーワードなんだね」
「書き換えましたユナルテお母さんのキーワードを勝手に貰いました」
繋がりが欲しくてね。私が勝手に使わせてもらうだけです。私の髪と目の色は父と産みの母からですが私の母親は1人じゃありません。だからこそ繋がりをと思っただけです
「………いいねそれ!私も町についてから親が使ってたキーワードとか入れてみようかな?」
好きにすればいいのでは?
それよりも…………
「もう良いですか?そろそろ質問に答えて欲しいのですが?」
「『ゴクン』ああ、またせたけろ。えっといつごろからだったけ?」
「はい」
「せいかくなひにちはわかんねぇけど…あるだんたいがしょくりょうもはたけぇのさくもつもなにもかもうばってただよ」
ん?………もしかして移動中に聞いた移民の事でしょうか?
「その人達の格好はどうでしたか?もしかしてボロボロでしたか?」
「そ…そうだぁボロボロだったべぇ、よくわかっだなぁ?」
………待て私、まだだ…まだ、管理不足からの離脱者と決めるには早ー
「あとさそのひとたちは、くびにてつのわをしてただ」
はい、決定的な言葉をいただきました。
ドスティアード王国の奴隷は犯罪奴隷借金奴隷などを中心として首の後に入れ墨のように呪印が入ります。
なので見た目からは分かりづらくなっており、犯罪を犯したという人物の改心する姿勢を、借金を返そうと頑張る者を邪魔しないようにしています。
ですが他国では、当然ドスティアード王国と方針が違うので、鉄の首輪をしていることも当たり前だったりで一発で分かったというわけです。
さて、それだけではなく今問題は病気の方ですね。
そう思っていると直ぐ側にスーリアが現れる
「主、調べましたが皆、病原菌の潜伏もされていないようです。外と距離があったおかげで感染はしていない模様です。ですが飛沫感染の可能性はありますので引き続き警戒を」
「はい、ありがとうございます」
ハイエルフさん達やみつぐさんのお陰で病気を調べることは簡単になりましたが
「彼らは?」
「未知の病気であります。少なくともドスティアード王国では1度も確認されたことのない病気です。ご判断を」
はぁ〜〜
私は心のなかでため息を付く、理由は簡単です。
最悪の場合、ナナちゃんに嫌われる覚悟をしなければなりませんから
未知の病原菌持ち…このままだと問答無用で処刑しなければなりません。村に案内させて場所を特定後、誰一人として外に出さないようにして燃やし尽くさねばなりません。
ですが私はナナちゃんに嫌われたくないので面倒ですがそれをしない方法があるのでそうしたいです。
なのでまず、教会に報告しハイエルフを派遣して貰い、次に国に報告し現場に案内しなければなりません
言うまでもなくハイエルフは病気を調べ特効薬を作成を目指します
ですが王家は違います。王家は、流行り病対策の為に現場に行きます。なぜ王家がわざわざと思われるかもしれませんが最終対策は焼却処分ですからその為です。
ザハレグス時代にも当然焼却処分の村がありました。その時第二王子が病対策の責任者ということを知って驚きましたね
……うん、でもこれらの方法は誰も逃げていなければというお話、万が一逃げていた場合即刻村人全員を焼き殺し、責任追及場所や人の刑罰を済ませたと言い訳をすませてから、逃げた村人の追跡を開始しなければいけない
ですがさらに問題があります。
私の記憶では、この近くに村の記憶はないんですよ…しかも、ザハレグスの記憶でもアリシアの記憶でもです。
そうなると別問題が……考えたくも無い
「スーリア、私と村に行きますよリュピは万が一のときのため決してナナちゃん達から離れないように何時でも薬生成を使えるように待機を…ノーラ、最速で王都のハイエルフに通達及び王家へ報告もお願いします」
「はっ!」
「にゃ」
これで後は私のやることは万が一の場合は、処理ですね。
スーリアは患者を細かく見て症状を書き留めてもらうとして、その場合触れれないのが問題になるのでしょうが医者のセットなんか馬車に積んでませんからハイエルフの到着待ちとなるでしょう。
「村に案内してもらっても良いですか?」
先に行って風の結界を生成し、早まった判断にならないように第二王子の前にハイエルフを呼ぶしかありませんね。
面倒くさ
「ああ、こっちだよ…」
「…では、ナナちゃん。ちょっと行ってきます」
「え?あ……うん」
……こういうとき察しが良いナナちゃんは助かりますね。
「近場で野営して待ってるね」
その言葉を聞き私とスーリアは森の中へと入っていった。
……………
………
…
「ここだ、うちのむらは」
予測的中だった。
知らなくて当然ともいえよう証拠、村の入口たる場所付近に馬車が通れる幅がないだけではなく、村自体を木々が周りを囲んでいること
まるでこの村を隠すように
………頭を抱えたい
『ポムッ♪』
スーリアのリス尻尾が私の肩を叩く、私の心境を分かってくれるようです。流石鷹と苗木の団員です。
この隠された村、当然人頭税等の税金関連の脱税等の犯罪村そのものです。
つまり…王家が来てもハイエルフが来ても事態は最悪の方向へ行くことは確実となった。
我がドスティアード王国の医用保険は税金で賄っております。
ノーラに追加情報……要りませんね。場所を教えた段階で王家が別の動きを開始しますよね?
『ペラ』
エレニカ手帳の中に書かれている権利を確認するもやっぱり書かれている
『執行官としての行動も竜の瞳を持つ王家の者が許可する』
執行官としての許可、それは言うまでもなく処刑執行、代理執行、強制執行等の何々を行うことの許可が降りていることです。
ゆえに万が一、ノーラが今回のことを王家の報告した際、書面で『代わりに頼む』と済まされた場合私が村を焼き払ったり、税の徴収などを行わなければいけない場合もあるという事
私は前と違い第七姫の手帳が憎らしく思えます。
賊未満のようなグレー犯罪者を始末する際には嬉しかったり、情報を集め先行部隊として行動できたりする場合は嬉しい手帳、ですが今回のような望んでもない事態で国民の処刑…………ん?
私はそこまで思考した所でふと思った
「別にナナちゃんも許してくれるのでは?」
だってですよ?不法に村を作り人頭税などの税金を支払っていない所謂不法移民のような状態です
ならばコロコロしても問題はない?
そこまで思い至ったら心のモヤモヤが晴れて軽くなりました。
「いっそ、ハイエルフが来る前に未知の病気とわかっているのですから、とっとと燃やすべき?」
「主?」
いえいえ、それはさすがに面倒だからとそうしてしまった場合は人道から崖の底へ落下の勢いでしょう。
「スーリア、私は前の様に対病気結界を貼りますので病原のアレコレのサンプル等をお願いできますか」
「はい、それではしばらくそばを離れます」
さて……動きますか
***ナルシェナ***
「………行くよ!」
「はいはーい!どうぞどこからでも!」
アリちゃんに言った通り、少し移動して野営の準備後私は、ベルンハレミアさんと訓練することにした。
フランメちゃんはというと、背もたれのない椅子の上で長い棒をクルクルクルクル回している。意外と才能があるのか最初から器用に回している。
時折リエルさんが小石を投げてそれを弾かせているけど、それで調子を崩すことはなく、クルクルクルクル回している。
「せいっ!」
「よっと」
私は私でベルンハレミアさんに攻撃するも私の拳は当然避けられるし…
「避けてねぇ」
『ヒュッ』
「っ!」
反撃も来る。しかも結構容赦のない攻撃の威力と速さ……寸止め、してくれるよね?
「ははは♪いいねいいね、さっきから反撃の度に速度と威力上げてるの分かる?それを避けるんだもん凄いよナルシェナちゃん!さあさあどんどん行こうか!何処まで避けれるか試そうよ!」
アリちゃん……本当にこの人で大丈夫?私死なないよね?
「て…手加減はほしいなぁ……なんて」
「大丈夫だよ!即死以外はかすり傷だって!治るし治すよ!」
私、死なないよね?
アリちゃんへ、可及的速やかに帰ってくることを祈るよ………届けっ!この祈りーー!
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ナナ「ギャー、税の単語が出たー!」
アリ「『46.食より話』で軽くでた話ですね。はぁ」
ナナ「税って言えばティーちゃん思い出すね」
フラ「なにかあったのか?」
ナナ「うん、ティルクレスって名前のウィサリス領主の所の娘さんなんだけどね『83.貴族の…』でちょっとした事がねあったんだよ」
フラ「ほぅ」
アリ「はぁ〜」
ナナ「大丈夫、アリちゃん?」
アリ「無理です。やっぱり手帳貰うべきじゃなかったです」
ナナ「…キル許可手帳ダメだった?」
フラ「キル許可は問題ないんだろうが追加の責任のほうだろうな」
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作者「携帯に縦のピンク線が入りました…ええ、Xperiaです。いろいろと試して初期化もしましたけどダメでしたむしろ騙されました。まあそれを機に機種変更
をしていろいろと会員登録していなかったことを知りました。『めちゃコミ』で買っていた本が全て無しになりました。ショックですその他も一緒です。皆さんは課金する際に会員登録しましょうね。便利だからと忘れていると機種に登録されてても『ポンポン』ん?」
アリ「普通は登録してから課金するものです。もしくは課金するから登録するのだと思いますよ」
作者「そうか…馬鹿は私だけか…」
でわでわまた来週間に合うように書きますね。




