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心欠け騎士、TS転生し二度目の人生を〜心を知れて幸せです〜  作者: きよわわ
アリシア 10歳編

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123.あることの大変さを知った

愛しの娘、ナルシェナへ

トラビト

『どんな時も、貴方のそばに私達はいるから』

ネーナ

『お前達の愛の思いの倍、俺は愛を与える』

イリーナ

『お前の足りないものを俺が埋める』

スーナ

『筋肉は全てに勝る!筋肉は最高の力!筋肉は裏切らない!全ては筋肉が決める』

               どう?家族より

ナナ「スーママァ…望んだ返信じゃない上にスーママが何故その言葉を選んだかもわからないし、ねぇアリちゃんどう思う?」

アリ「間違いではないので何とも…」

ナナ「うそ、だよね……まさか筋肉が最強なんて事は」

アリ「……『プイ』」

ナナ「っ!?」

 ***アリシア***


 あれから少しヴェルーナとライラックと話したあと、今度こそ依頼をこなすために家に向かうため、施設の外に出た


「ん?」


 体に違和感を覚える。下腹部に痛みを感じ始めた


「そういう行為はしてませんし、変なものを食べたわけではないのですが」


 まあ、我慢できる痛みなので放っておきましょう。痛みよりも昨日からの悩みの方が大事です


「優しさ優しさ優しさ優しさ優しさ」


「主様怖いです」


 スッとヴァネリアが隣に現れた


「ヴァネリア、優しさとは何でしょうか?」


「昨日のお婆さんが主様に言われたことですね?」


「はい、持っているようです。私が優しさを」


「…持っていますよ、主様は持っていらっしゃいますよ」


 足を止め、ヴァネリアの目を見る。その瞳は揺るぎないものであり、私に否定をさせてくれなさそうだ


 ですがナナちゃんと違い色々と話ができそうです


「………アイン」


「はっ!ここに」


「申し訳ありませんがナナちゃんに今日は行けないと伝えてください、それと行動を共にし出来ればナナちゃんを手伝ってあげてください、お願いします」


「かしこまりました」


 ……ヴァネリアとアインが私に付き添っていたのですね。他の隠密の気配はなし、他は指示通りにナナちゃんの護衛ですね


「ヴァネリア、何処かで静かに話せませんか?」


「………私よりもナルシェナ様と話されたほうがよろしいかと、次はこうすると」


「違います、アリシアの心についてではありません。ザハレグスの事で聞きたいことが」


「ならば奥様方と話されたほうがよろしいかと」


「普通の話ではそうですね。ですが嫌われたくないと思っている妻達では、はぐらかされる可能性が高いですし、どうも私も聞くに聞けないようでして…」


 実は、朝目が覚めてからずっと聞こうと思いつつも、聞けなかった。やっぱり身内には弱いようですが、それでも差があるようで、妻には聞けなくとも仲間には聞ける事


「……」

「……かしこまりました。では黒羽根の店に行きましょう」


 ヴァネリアの案内の下、着いた店は一般市民でも買える宝飾店だった。前のお菓子の店のように奥に行き特殊な鍵で秘密の部屋に入る


「はぁ…すみませんね、ヴァネリア」


「いいえ、主様のお望みとあれば全て叶える所存でございます」


 ヴァネリアを隣に座らせて話を始める事にした


「言わずとも分かると思いますが、あなたの意見を聞きたいのであって、主従関係無く忌憚のない意見をお願いします」


「はっ、了解です」


「んっ!?」


「主様…『スン』あっ!準備してきますここでお待ちを!」


 ヴァネリアはなにかに気がついたように部屋を飛び出した


「ただの腹痛……ではなかったのですね」


 私はその場から動けなくなった。立ち上がりそれ以上被害を拡大させないように魔法で綺麗にすべきなのですが色んな感情が私の中で渦巻いている


 履いているパンツとショーツを汚してしまったことの恥ずかしさと

 同じ恥ずかしさでもちょっと違う、ヴァネリアにやらかしてしまったことを気づかれた恥ずかしさと

 ベッドを汚してしまった恥ずかしさと申し訳無さ


 その中で唯一の救いは、ヴァネリア1人と室内であったことぐらいだろうか、これが町中での出来事だったらと思うと頭の中がパニックになりそうです


 もちろん頑張って隠しながら帰りますがバレないかヒヤヒヤしながらだと思います


「うぅ……泣きそうです」


 きっと今の私は、恥ずかしさで顔が真っ赤なことでしょうし、恥ずかしさと情けなさで気持ちがぐちゃぐちゃとなって泣きそうです


「主様」


 ヴァネリアが帰ってきましたその手にはホカホカに温められたタオルです


「失礼し致します」


 そう言ってタオルで顔を包まれた


 不思議と温められたタオルに包まれたおかげか、急速に落ち着いていく心


「主様、大丈夫ですよ」


 せっかく心が落ち着いたのにヴァネリアの一言が私に安心感を与えたのかホロリと涙が流れた


「ヴァ、ヴァネリア、その…ごめんなさい」


「大丈夫です。大丈夫ですよ、大人でもやってしまうことがありますので」


「そうなんですか?」


 私はヴァネリアから、大人でも子供でも突然来てしまい、汚してしまうことや、町中などでどうしようかと慌てふためくこともあることを聞いた


「えっとですね。ココだけの話にしてほしいのですが、私も昔、会議の最中に突然来てしまったことがありまして」


「え」


「しかも私以外は男性でして、もういつ気づかれてしまうかヒヤヒヤしながら乗り越えたことがあります」


「それは…ご愁傷様です」


 結果は聞かないで

「ザハレグス様がそういうということは、原因は知らずにお気を使ってくださったのですね」


 いつのことでしょうか?


「あのときの小さな気遣い感謝しておりますよ」


「そうですか…」


「さて、落ち着かれましたか?」


「はい、なんとか」


「それでですね、この施設の地下にはお風呂があります。お湯を使い1度さっぱりされる方がよろしいかと思いますが…クリーンの魔法で済まされますか?」


「いいえ、気持ちをリセットしたいので、ヴァネリア先輩の気遣いに甘えてお風呂で洗い流し綺麗にしてきます」


「主様、先輩って…まあいいですではこちらへ」


 私が立ち上がるとヴァネリアは羽織っていたマントを私の肩にかけてくれた


「……」


「後ろから見えないようにです」


 ああ、なるほど場所がら人通りが無いとはいえ移動は移動、これも気遣いなのでしょう


 そして、気遣われる事に私の心に温かなものが小さく宿る


 コレはどんな感情なのでしょうか?


 純粋に気遣われる事の嬉しさ?

 気遣ってくれる相手がいることの喜び?

 私だけじゃない事の安心?

 不安から助けてくれた幸福?


 ………わからない、わからないけれどこの温かく感じる。この感情は大切にしたい


 そう思うのはヴァネリアの()()()を大切にしたいからでしょうか?


 優しさ、そうですか、これが優しさを受ける人の心?

 優しさは相手をこういう気持ちにさせるのですか?


 ならばこんな感情を相手に与えるならば、お婆さんの言う通りに選択肢として入れてもいいかもしれない


 全ての人に優しさを与える必要がないことは、ザハレグスの経験や知識で理解は出来る。でも、それ以外の人には少しくらい優しさを…手を差し伸べてあげるぐらいはいいかもしれない


 そう思えたから…お婆さんとの約束通りハンカチを思い出したら、選択肢として無関係な人にも優しさを持って接してみよう


 お風呂で体をきれいにして出ると、新しい服と下着と生理用品があった。魔法できれいにした服でも良かったのですが


「コレも気遣いというやつですよね?」


 心がくすぐったいです


 脱衣所から出るとヴァネリアが待っていた


「ヴァネリア、とても助かりました。ありがとうございます」


 少しでも感謝の気持が伝わるように私は、深く深く頭を下げた


「はい、どういたしまして、とはいっても主様のザハレグス時代の恩をまだまだ返せていませんけれどね」


 ヴァネリア笑顔でそう言った


 ヴァネリアの言う恩は、北の…正確にドスティアード王国の北北西にあるドウトピー帝国から、吸血種約80名を助けた事だろう


「鷹と苗木に忠誠を近い、ドウトピー帝国と何度か戦ってくれただけで十分返してますよ」


 私がそう言っても困ったように微笑むだけだった


 さて…今日は気分を変えましょう。女の子の日の影響で考え事をしてもダメそうですからね


 私は施設に戻り、体を動かし考え事をしないようにすることにしました。


 特別訓練場の使用許可をもらい、久々にザハレグスが使っていた大剣と同じサイズの武器を振ってみること

「我が主!」


「はぁ…今の私はアリシアです。もう団長ではないのでそう呼ぶのはやめてください」


 気が付きませんでしたが、自分が現状生理だと理解すると精神の不安定さがよく分かるようになりました。ちなみに、いつもだったら苛つきはしないのですが何故か癇に障ります


 いけないいけない、この怒りは生理のせい、生理のせいと自分にい聞かせて落ち着かせる


「おや?これは失礼した!アリシア様、もしよろしければこの俺と模擬戦を!」


「……いいでしょう」


 丁度いいですね、今の状態の私と私の現状の力量をガガンで測らせてもらいましょう


「すみませんがガガン、今の私でザハレグスの使っていた武器で何処まで戦えるか見るので魔法はなしですが良いですか?」


「うむ!大丈夫だ!」


 というわけで模擬戦


 ………………

 ………

 …


「………」

「………」


 私とガガンは簡単に体を動かしたあと、一定の距離で対峙する


 正直、今の私にザハレグスが使っていた大剣の大きさはちょっと重い、これを軽々と振り回していたザハレグスの筋力にはまだまだ追いつかないようだ


「…………」

「…………」


 このまま睨み合いを続けるのと、何も確認ができないので私から近づこう


『ザッ』


 ガガン、スキンヘッドの筋肉の塊特徴的な戦い方は見た目通りの筋肉を活かした力技であり、武器は特大剣やハンマーといった筋肉を活かせる武器を使う。もちろん拳もね


『ザッ、ザッザッザッ…』


 私は走り出してあえて読みやすい大振りの縦斬り


「っ!」


 ガガンは隙だらけな私の体に剣を当てようと振るうが、私も馬鹿ではない、飛んで斬りかかっているわけではないから攻撃を中断しバックステップで回避と言っても大剣と特大剣の長さの差からギリギリ私は攻撃が当たりそうですがそれが狙いでー

「ちっ!」


 おっと、ガガンも攻撃を無理やり止めて距離を取りました


「アリシア様の流しは危険ですからね」


 まあザハレグス時代の仲間ですから、流しはさせてくれませんよね………なら次の手です


「んっ!」


 一気に距離を詰め


「ふっ!」


 武器を最短で振るう通常の予備動作ではなく、自分の体を中心点として体を先に動かして予備動作を完了させて振るうちょっと変な動きですが…まあ回転斬りなどをイメージしていただければ何をやっているかは想像出来ると思います


「うおっ!?」


 何度も何度も繰り返し剣と剣がぶつかる。ガガンが防御に徹している………そろそろでしょうか?


 あからさまな隙を作る。ガガンの癖は防御に徹した後隙あらば攻撃をするのですが成長はー

「うらああああ!」

 ーしてませんね…はぁ


「はい…」


 定番の流し


「っ!?なんのおおおおおお!」


 何も無い空に特大剣を導くとそのまま回転斬りをしてきましたが……あのね無限ループしたいんですか?


「どうぞ」


「おおおおおおおおおおおお!?」


 同じように導いてあげます。ですがをガガンは再び導かれた特大剣についていけず体制を崩しコケる


「はい終了です」


「お……おおぉ…参りました」


 終了と同時に少しだけ気を抜くと肩と肘が痛む


「ガガン、ありがとうございました。現段階の身体の状態がわかりました。ガガンはその前注意した防御後の攻撃の癖は直ってないようで直すようにしてください」


 大剣を振るえるほどの肉体は、まだ出来上がっていないのと関節にあまり負荷はかけられないということ


「おお!アリシア様のお役に立てて何よりです!コチラこそご指導いただけて何よりです!」


 そう言うとガガンは『では!』と立ち去る


「?」


 ガガンの性格では体力尽きるまで戦うので『もう一戦しないのでしょうか?』と違和感を感じていると


「主!」


 今度は獣人の犬種、ワングがやってきた


「稽古をつけていただきたく思います!」


「……………まあいいでしょう」


 ワングは超近接のナナちゃんと同じガントレットで戦うタイプ、なのでというわけではないのですが、大剣の調子は見たので、私は大剣を戻してきてワングと同じガントレットを装備した


「すぅー…………ふぅーー………いつでもどうぞ」


「いざ!」


 素晴らしい踏み込みでゼロ距離まで来たワング


 おお、ナナちゃんよりも約0.5秒ほど早いですね。鍛え抜かれたワングでコレと思うと、ナナちゃんは本当に才能がありますね


「…」

「っ!」


 流されても流されても即座に攻撃、インファイトならではの終わらない攻防になります


 流せても私の特技である導きに、ワングがギリギリ反応してさせてくれないため終わらない攻撃をしてくるのですが残念


『トン』『ガシ』


 左右同時に止める。何をしたかというと、片方の拳は力が入る前の段階で止めて、もう片方は流し導くのではなく流して掴む方に変えて止めたのです。


そこから瞬時に次へいきます

「っ!」

『グルン』


 横に一回転させて


「……ふっ」


 回転中のワングに軽く手を当ててから、すべての力をその手に行くように体を動かして吹き飛ばします


 みつぐさんいわく『○国の発勁?いや寸頸?』などと言っていましたがみつぐさんにわからなければ私には分かりません。私は武術を誰かに習ったこともないのでこうすれば力が込めやすいなーとしか思っていませんから


『ドンッ!』


「壁まで吹き飛びましたか…」


 良いあたりだたそうですね♪

 ワングはあれでおしまいっとそう思い振り返ると


「「「「「…………」」」」」


 たくさんのキラキラした目私を見ていました


「いいでしょう、今日はとことん付き合ってあげます。全員で来なさい」


「「「「「「はい!主様!」」」」」」


 部下の血の気が多いのは、ヴェルーナの、狼の部隊が多いからでしょうか?

アリ「なかなか騒動に話が進みませんね」

ナナ「そうだねー、エレニカ姫が休暇言い出したし仕方がないっちゃ仕方がないね」

アリ(まあ準備が色々と必要なので、敵発見さあ行こうとはならないんですけどね。裏の繋がりとか今回は被害者もいるので、神官さんとの打ち合わせ、可能な分の被害者リスト作成等…山積みですし…ライラック頑張って)

ナナ「あ、そういえばアリちゃん」

アリ「はい」

ナナ「ギルドで冊子受け取ってないけど職員さんが渡し忘れたのかな?」

アリ「……あれ?そうですね。冊子無料配布なくなったんでしょうか?」

ナナ「『103.対策してないから』でアリちゃんが言ってたのにね」


****** ****** ******

でわでわ、また来週投稿しますね

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