105.到着!入町!
パパ、ママ達へ
旅先で不幸な出来事を見かけたよ
当然、当事者でも関係者でもない私は悲しむ人々を慰める事ができないし、心苦しい思いをしたんだ。どうすることも出来ないって分かっていても、それでもなにかしたかった…だけど何も出来ないままその村を出た。私にできるのは、ただ立ち直って再び笑顔になれますようにって祈るだけ。いつかは……なにかできるようになるかな?
ナルシェナより
***アリシア***
「あーーーー長かったね」
ですね、町に入るだけでかなりの待ち時間でした
「後少しで後日化するところでしたね」
もう少しで日が沈むというところだったので、最後の受付で入れました。危なかった
「マジ!?」
「ええ」
「24時間対応してくれないんだ…」
はわわ、とするナナちゃん、何を当たり前のことを
有り得る話でしょう?ずっと門を開けておくわけにはいきませんし。商人などは商人用の入口を設けて、人数が多く素早い確認作業なんですが、冒険者等の商人とは違うギルド関係者は徹底的に色々と確認されます。
「アリシアちゃん」
「はいはい、宿、決まりましたか?」
「ああ、だが馬車と人数で俺達はちょいと安宿にしたいと思っているから、嬢ちゃん達はどうする?」
声をかけてきたデイルさんの後ろに、宿の看板娘達だろうか?期待した顔で待っている子達が居たのですが…
「申し訳ありませんが私とナナちゃんは泊まる場所が既に決まってますので…ごめんなさい」
「そうか………君たち、そういう訳だスマンな」
宿の娘達は1人を残して客引きに戻っていった。彼女はデイルさん達を自分の宿に案内するのだろう
「では、デイルさん、チェニットさん、護衛ありがとうございました」
「こちらこそ、未熟な部分を見せてた上に、むしろ守ってもらうという不甲斐なさを晒してしまったことは申し訳なかった」
「こっちが色々と学ばせてもらったし、まるで護衛練習をさせてもらったようで申し訳ありませんでしたー」
苗木と盾と綿帽子パーティーは全員で頭を下げた
門入り口の大きな広場とはいえ、子供に頭を下げる大人達の図は数人がチラチラとこっちを見て来たので
なんだか体がむず痒く、その場にいたたまれないような気がしました。これはそのまま『いたたまれない』で恥ずかしさの一種なのでしょうね。
「頭を上げてください、こちらはこちらで色々と学ばせていただきなしたので」
「そうか」
「そういうことならー」
「では、明日の朝にはギルドで手続きを済ませておきますね」
「ああ、ではキチンと護衛できなくてすまなかった」
「本当にごめんよー、また機会があったら今度は万全に備えて護衛できるようにしておくからねー」
いえ、もう機会はないでしょう。私とナナちゃんもギルド登録しますから、私とナナちゃんも守る側となりますから
護衛してもらった2つのパーティーと別れて私とナナちゃんは歩き出す。
「で?アリちゃん、私達は何処に向かってるの?」
「設備も完璧で安全かつ、私も何1つ気にせず爆睡出来るところです」
「だから、どこよ?」
決まってじゃないですかぁ
「鷹と苗木の施設です。宿泊も一部の幹部クラスなら用意されていますし、当然団長のザハレグスの部屋は」
「あるというわけなのか…」
「はい」
私はクリーンでいくらキレイになったとしても、やっぱりしっかりと体を洗わないと落ち着かないので、確実に泊まれるかつ、お風呂があって、防音等の魔導具もしっかりと用意されていて、護衛のあるなしに関わらず、気を抜いて休める場所を選んだに過ぎません。
歩くこと数十分、着きました
「……?」
「………でけぇ」
…………あれ?ここまで大きくなかったような?
「ヴァネリア」
「はっ!」
名前を呼ぶとコインも使わずに登場するヴァネリア、優秀な彼女に聞きましょう。私の知らない施設になっているので助けを求めます
「案内をお願いできますか?」
「………私より適任がおりますが、いかがしましょう」
「適任?」
「奥様です」
「だ………誰が………居るんですか?」
そういった瞬間、施設の扉が開いた
「ボクだ………さあ、中に入るといい」
開いた扉の中に居たのは、人魔族、妖精種の…
「ライラック…」
「取り敢えず中に…話は後だついてこい」
元々青い瞳のジト目の彼女は更に目を細められたので、身を翻し長い癖毛の金髪ふわふわさせて先に行くので見失わないようについていく
「アリちゃん、えっと彼女の種族は?」
ナナちゃんが先を歩く私達の背より少し高い程度の女性の種族を聞く
「ライラックの種族は妖精種です」
「妖精種?」
「はい、実はこの妖精種の定義は曖昧化しつつあって少し困ったことになっているのですが……今はどうですかライラック」
「あまり変わってない……エルフ、ドワーフ以外の妖精種は未だ分けれていないし、エルフもドワーフも森の妖精や土の妖精などと区分された歴史があり、未だ妖精種で済んでしまう。そこは曖昧なままだ…………着いた入れ」
とある一室中に入………………
「入れ」
中に入ると見覚えのある部屋………いえ、家具の配置ですかね。ええっと………キングサイズベッドが2つ並んでいてそれとあることのために足回りをかなり補強されている食事などをするテーブルに、すりガラス越しの広いお風呂場この3点は忘れれません
「再現したのですか?」
「ああ、慣れた場所のほうが私達も落ち着くのでな」
建て直して、この部屋はそのまま……
「家具も当時の物ですか」
「当然………では、ボクと少し話そうか、ザレ」
「その前に………小休憩というか着替えと食事をしたいのですが食事を頼んでいいでしょうか」
あ、と何かに気がついたライラックはクスリと笑うと
「そうだな、着替えと食事はボクの方で用意しよう。シャワーでも浴びておくと良い」
と言って部屋を出た
「取り敢えずシャワーを浴びましょうナナちゃん」
「うん……というかでかいベッドが2つくっついてるんだけど」
「まあ、夫婦の部屋でしたから一緒に寝るのは普通ですよ?親もそうでしたでしょう?」
「うん、じゃあ私と一緒のベッドで寝るということだね」
「そうですが別にキングサイズベッドですし、問題ありますか?」
ほらほら寝相が悪くても安心ですし反発力も保証済みです。超快適ですよ?
「ないない!じゃあ、ちゃっちゃとシャワー浴びますか!」
…………………
ふー、やっぱりお湯と石鹸で洗わないと精神的にも体的にも違和感を覚えますね。洗うとスッキリした感覚がある以上は、そういう事なのでしょう。
長湯しー
「ダメだよアリちゃん」
…いいじゃないですか…ってあっちょっと
「アリちゃん長風呂だから待たせることになるし」
し、しかし…
「ほらほら!」
もうっ!
ライラックなら待ってくれますよですから…
「は・や・く!」
……はい
………………
「…………」
「どうしたのアリちゃん?」
「いえ、用意された着替えが………」
脱いだ服を入れていた籠に別の衣類が入っていました。まあ用意すると言っていたので問題はそこではなくて
「おお!下着サイズぴったり」
「ですね……」
下着のサイズは何故わかったのでしょうか?
まあ隠密が調べたのでしょう………ですが、この淡いピンクの下着を私も着けろと?
せめてナナちゃんと同じ白なら着けれましたけどなんで私は淡いピンク色なんですか
「うわ〜〜、ちょっとこれは私も……」
?
ナナちゃんは何かを持ち上げ広げていた。広げた服は
「え、ネグリジェ?」
あっライラックは可愛いもの好きでしたね、そうなると子供は大丈夫でしょうか、玩具にされていたりしないでしょうかね。
きっと他の共婚者が止めていると思います。あ、そうだ子供たちはザハレグスの髪と目どちらの色を引き継いでくれたのかも気になりますね。うーん、それは聞くべきか聞かないー
「アリちゃん着れる?」
ー…………もう、ナナちゃん。私、少しだけ現実逃避していたのですよ、現実に引き戻さないで下さいよ
まあ、着れるか着れないかと言われれば……
「着れません。ですが他に何もないので着るしか選択肢がないんですよ」
流石に前世男性といえど今は女性、下着姿でウロウロと出来ません。戦闘中ならば全裸でも気にもしませんが、普通の時に元妻と共婚約者のナナちゃんの前でこれから食事と会話するというのに、1人だけ下着姿というのはいたたまれなくなると思います
「では!」
………………
………
…
わ〜、なんて肌触りの良いシルクと言うやつでしょうか、とても軽いのも高得点ですね♪
「アリちゃーん、おーーーーーーい」
ふふふ、いいですね、いいデザインですね♪
「えっとライラック様!」
「ザレと共婚者なのだろう?ボクをライラックと呼び捨てにしていいぞ?」
素敵ですね、締め付けがないのはストレスフリーで好感が持てます。これからの寝間着として採用して自分で選んで買うのもいいでしょう♪
「いや、今そこじゃなくてね?その元旦那がおかしくなっているのはいいの?」
「…………………実はボクも困っているんだ」
「は?」
「前のザレならこうはならなかった、だからどうしたらいいかしらん。しかし……今のザレは報告にあった通り心が出来たんだな…………よかったな」
「………いや、ライラック様!嬉しそうに見つめるんじゃなくて、普通の寝間着を用意して下さいよ!」
あはははははは、可愛いネグリジェ、うふふふふ♪
「は……早くなんとかしないと(汗)」
「そっ………そうだなすぐに用意しようその前にこれメニューだ、何を食べる?」
「え、あーー、牛のステーキで」
「焼き加減はどうする」
「ガッツリ焼いて!私はカムカムするのが好きだから」
「ザレは………」
「何でも食べるから、ライラック様と同じものでいいんじゃない?」
「はい、なんでもいいですよぉ」
「だ、そうです」
「………………そうか、ではヴァネリアシェフに伝えてくれ、私は着替えを持ってくる」
「はっ!」
………………
「大変、ご迷惑をおかけしました」
ナナちゃんに抱きしめられて、マジアリになってと言われて自分を変えて冷静になった私は新たな普通の寝間着に着替えて椅子に座りアリシアに戻って即座に謝罪した。
「いや、むしろ私が悪かった」
「アリちゃん、女の子すぎる服はダメなの?」
「……………いえ、そんな事はないです………………ね」
服でダメだったら下着の段階でダメです。なので……
「あれだけいろんな服を着ていたのにか?」
「?」
「どうでしょうか?」
うーーーん、全く分かりませんね。違いは心の有る無しなので…それしか原因が浮かびません
『ガチャ』
「失礼いたします。お食事をお持ちしました」
メイド服のヴァネリアが扉を開きワゴンを他のメイドが押して入ってきて、テーブルに食事の準備をして出ていく
「全員、黒羽根のブローチでしたね」
「当然だ、ザレと接触させる上に、この部屋の出入りはいかなるものであろうとも、下っ端を使うわけ無いだろう?」
…………え?
「アリちゃん黒羽根のブローチって?」
「鷹と苗木のノーラでかなり優秀な部下に与えるブローチです…」
「私の場合は、アクアマリンのブローチだ」
「ほえーー」
ノーラの部下の場合本当に優秀じゃないと与えないんですよね
過去、敵に捕まりいかなる方法でも機密を話さずに息絶えた者に与えるのは当然のことですが、ノーラ本人含め何人かは救出して与えられた者もいます。
ヴァネリアもその1人で、拷問や薬を使われても機密を守り続けた信頼すべき人物たちに、食事の用意をさせるなんて
「見たかザレ?あの者たちお前を見てとても嬉しそうだったぞ?」
そうでしたか?
「まあ何にせよ、冷める前に食べましょう」
「ああ……命の糧を」
「今日1日の終わりも美味しく!」
「「「いただきます」」」
あ……私のはパンとミネストローネなんですね
ナナ「あの、ライラック様『前のザレならこんな』ってどんな格好させたんですか?」
ライラック「あ?そりゃ私達妻が喜ぶような変態的格好だが、ザレは要望すればどんなド変態な格好もしてくれてその上、演技して私達妻を喜ばせてくれたものだ」
アリ「あははうふふふ」
ライラック「それが今はこんな現実逃避するとはな」
ナナ「アリちゃん……コホン、因みにどんな格好を?」
ライラック「私のは教えれないが、ヴェルーナは同族の格好をさせたぞすっごく盛り上がっていたなぁ」
ナナ「『カッ!』それは付け耳と付け尻尾……しっぽ?」
ライラック「幼い君はいずれ……な、今は知らなくていいと思うぞ」
……………… ………………… …………………
でわでわ、また来週投稿してみせます




