8〜10歳まで7
***アリシア 9歳***
どんどん季節は過ぎてゆき、またも冬が来た年をまたげば私もとうとう10歳、ナナちゃんとの相談でギルド登録と、学園方面へ移動しつつ小旅行感覚で向かう予定なのです
そのことを村長に告げると、武器を持ってとある場所に一緒に移動した。まあ場所は日頃訓練する場所なのですが
「遅くてすまんのう、アリシアちゃん」
「……いえ、村長は老時ですから、むしろ出歩いて平気ですか?」
「いやいや、歳のせいだけでほかは問題なくてのぅ、妻達に心配ばかりかけるシワや筋力の衰えばかりはどんなに頑張っても死に向かうのを止められん」
「そう………ですね」
寿命で死ぬのは果たして幸せか…それは人それぞれではあります。他に家庭を持つことは幸せか、後遺症があっても事故で生きてることは幸せか、それらはその時になって自分で決めることしかできません
「村長は………今までの人生、幸せですか?」
「お?」
『キッ』
後ろについてきている、グルミーさんの視線が強く刺さります
「ああ、それはもちろん幸せじゃよ、1つを除いてな」
「クマ…」
「1つを除いて?」
「そうじゃ…ワシはなアリシアちゃん。武に生きた男だったんじゃよ」
「はぁ……」
そんな事を言われても困りますが?
「じゃが子供達の誰一人、ワシの技を引き継いでくれんくてのぅ」
「ごめんクマ」
「いいんじゃよグルミー、子供の道を決めつける気はないそう言ったのはワシじゃ」
まさか…
「私が引き継ぐと?」
「そうじゃ…もし良ければじゃが、ワシの抜刀の技をせめて、形だけでも引き継いでくれんかのぅ」
師と弟子の関係、一子相伝のような技を村長から引き継ぐというのですか?
「あまり難しく考えんで良い、ただワシは子をなし血を継いだ、それでワシの生きた証は継がれゆくのじゃが。先も申した通り、ワシは武に生きた男」
「成る程、武に生きた、という証も欲しいのですね」
血だけでは半分、それで問題は無くとももし叶うならばもう1つの生きた証も…ですか
ですが私には好都合です。いずれ自身で再現してみようと思った技ですが村長あの技、教えてもらえるならばぜひご教授頂きたいです
「その通り、アリシアちゃんならあの技を完成まで持っていってくれる。そう思うのじゃ」
ん?完成まで?
「未完成だったのですか?」
「うむ、ゴリラの柔いとこしか斬れなくてのぅ…」
「首は斬り落としたクマよ?」
「首だけじゃ、ワシのあの居合は、斬れぬものはな、そこまで持っていきたかったんじゃ…」
「待つクマ!だったら何故クマ達と結婚したクマ!?もういいと言ったのはゲンクマ!」
「ワシは魔力が少ない、長生きはできんのじゃ」
「知ってるクマ、知ってて一緒にいたクマ!」
なんだか何かが始まりそうですね、私ここに居ていいのでしょうか?
「でもゲン、ザハレグス様と戦場で会って剣の頂きを見たって言ったクマ、それでもういいと、頂きを見たからもう良いと言ったのはゲンクマ!心残りがあるとは聞いてないクマ!」
『ドンッ!』と近くにあった木を叩くグルミーさん
それよりも………いつ居ましたか?
「確かに言った。ワシも武の頂きを見てワシでは、ワシの寿命では決して届かぬ頂きをな、じゃから諦めた自らその頂きを目指すのを」
悟ってしまったのらな、仕方がないことですね
「じゃから、ワシの我が儘な旅に付きおうてくれて、告げられた想いよりも優先したいことがあるというワシの我が儘を許してくれた。そんなお主達だからこそ武を諦めたワシは、預けられた想いを返そうと、お主達を愛そうと思ったんじゃ」
「…………」
「それは…嬉しかったクマ………でも」
「心残りが出来てしまうなら、出来たときに行ってほしかったわ、ゲン」
「エレトナ…来たのか」
どーでもいいことなんですけど似たような名前で困惑しそうですね、混ざって思い出しましたが領主妻にエルトナさんという方がいましたね、そして私の視界に今、村長の妻エレトナさんがいます。すごいですね『ル』と『レ』だけの違いです。一文字違いはこんがらがりそうですね
せめて第七姫のエレニカのように、二文字違いがあればいいのですが、人の名前というのは似たりよったりするのは仕方ないにしろ、まとまらないでほしいです
まあ私が会うのは村長の妻とエレニカぐらいで、領主妻であるエルトナさんに会うことはまずないと思いますがね
「じゃが頂きを見てワシが目指す気持ちは無くなった。それどころか、満足したのは嘘偽りは無いことじゃ」
「でも……ゲン……私達は……ゲンの全てが………好き……だったの」
もう1人の妻まで来ましたか……
「ルーシェイ…」
「ゲン、貴方が私達を愛してくれたことは嬉しいわよ、けれどね貴方と一緒に居られる時が短いと知っているの、それでもなお私達は貴方と共に居たいと思い貴方に心残りの無い様に生きて欲しかった」
私、帰っていいですか?
流石に、夫婦だけの会話を見せられても、とても困るのですが…
「そうじゃが、ワシらの子に道を決めて強制する気なんぞおきぬわい」
「でもゲン!せめて1人ぐらいー」
「ワシは!己の道を己で決めた!」
「ーは……クマァ」
「ゆえに、そんな己の道を好き勝手生きたワシが、己の子といえ、強制なぞ出来るものかっ!」
……長くなりそうですかね?気配を消して………少し離れましょう。背景とでもなりますかね
「皆ワシとお主達の可愛い子じゃ、好きな道を行かせてやりとぅなる。『学の道へ行きたい』ああ好きにせい怠けるなよ?『魔導の道へ行く』うむ、十分励むが良いどんな道でもワシとお主達の可愛い子の決めた道、阻むなんぞあって良い訳がない」
「そう………ね」
「ゲン………」
「クマ……」
「……………」
「確かに、ワシの子にワシのすべてを教えるという。そんな人生があったやもしれぬが、無いものは無い、それでいいんじゃ、その時間は無くともお主達との時間があったであろう?」
「そうね…」
「う……ん」
「クマ!」
「……………………………」
「それだけでいいんじゃ、同じぐらいの時を歩めなくとも、共にあった時間を大切にはできた。それでワシはよかった。ただワシのこの命が尽きるときお主達が側に居てくれるだけで良いのじゃ」
寿命に関してはまだ謎が多いです。なぜ魔力が少なければ若時も短いのか、魔力が多ければ多いほど寿命が長くなるのか、不明な点が多いままです
覚悟ができているとはいえ、いざその時、好きな人が亡くなる事を受け入れることが出来るでしょうか?
納得していたとはいえ、若時が続く自分に対して、愛する人に老時が来たら悲しまずには居られるだろうか?
ゲンドル村長の妻達は、先に逝く事を理解しつつも愛すると決めた。出会ったときは
自分が年上だったかもしれないのに
自分が年下だったかもしれないのに
自分と同じ歳だったかもしれないのに
この世界では、魔力が少なければ先に逝く
こんな現場に居合わせてることになりましたが、学ばせて頂きました。私とナナちゃんもそこも考えなければいけませんね。
まあ、好きになったら仕方がないことなんでしょうけど、少しぐらいは考慮する価値が絶対にあるはずです。
先に行くのも残すのもどちらも嫌ですから…
「じゃが、たまたま東刀に興味を持ち、扱えるものがおった。それがアリシアちゃんじゃ」
みんなの視線が私に向か…………わなかった、少し探されました。ごめんなさい、わざとじゃないんですよ?
なんか私が聞いていいものか、気になったものでね
「コホン、すまんのぅアリシアちゃん」
「いえ、夫婦の貴重な話を聞いてしまい申し訳ありませんでした。ですが参考になりました」
「そうかぁ…」
奥様方が私によって来て、まさかの順番に私にお願いに来ました
「アリシアちゃん。ゲンの技をお願いね」
私の肩一度だけ叩き離れるエレトナさん
「お願い………します」
ルーシェイさんは私を抱きしめ離れて
「絶対絶対お願いな………いや、お願いクマ」
私の肩を少し痛いほど掴むグルミーさんはそのまま話し続ける。痛いです、少しだけでも力抜いてくれません?
「私達の子供、全15人誰1人ゲンと同じ東刀を好みその道へ行こうという子は居なかったかクマ、例えアリシアが途中で武器を変えようとも、ゲンの技は生きている限り忘れないでほしいクマ」
私は頷いた。グルミーさんが離れると私は、村長の前で片膝を付き告げた
「ゲンドル師匠の技はキチンと受け継ぎより高みへ持っていく努力は怠らないと誓います」
「………ハハ……アッハハハハハハ………あい分かった。弟子アリシアよ、そなたにワシの自慢の抜刀の技をいくつかお主に教え、お主に託す」
「師よ感謝いたします」
私は基礎の抜刀を教えてもらい、何度も刀を抜き差しし修正をしてゆく
残念なことに、私は自分で修正出来てしてしまい、残念ながら最初の一回教えてもらったら師である村長に叱責され教えていただくという体験は出来ませんでした。
その日の夕方に、村長の全力の居合いの太刀を見せてもらい、奥様方から回復魔法をかけてもらい別の技を見せてもらうという本当に命懸け技の継承をしてくださいました。
その心意気に私は感化されて、ザハレグス化を使い、本気で技を今の私に合うように全力で修成した。
なんとか日が完全に落ちる前に納得の出来がいったので、魔力が無いながらも再現したら大笑いをして喜んでくださった
「合格じゃ、アリシアちゃん。そなたなら儀式後、確実に高みへ行けるじゃろう」
村長に生き生きした瞳で言われました
「1日でゲンが習得を認めるなんて天才なのね、おめでとうアリシアちゃん」
「継ぐ……お願い………」
「すげぇことはわかったクマよ、ありがとうクマ、アリシア」
「アリシアちゃん、ワシはそなたが引き継いだ事の喜びに浸りたい先に帰っておくれ」
「……はい、それでは」
「1日師匠、楽しかったぞ」
「っ!……………はい」
心が寂しさを訴えるも村長の言葉は別れの言葉、習得し1日師匠と言った以上、これ以上は課題さえも出してくれないのだろうと少しだけ泣きたくなる気持ちを抱え私は帰った。
***ゲンドル ホンド村の村長***
「良かったクマ?」
「なにがじゃ?」
「それは……卒業………課題とか?」
「いいんじゃよ、あれで魔力なし状態の完成は見えた。そして、アリシアちゃん………いやザハレグス様なら間違いなくワシの技は完成させて下さるじゃろうて、説明はした後は、儀式後に鞘に刀身に魔力を込めるだけじゃ、込める量なんぞはあの方がわからないことはあるまいて」
「ちょっと待つクマ、今聞き逃してはいけないことを聞いたクマよ?」
「ええ、アリシアちゃんがザハレグス様というのは、どういうことなの?」
「生まれ……変わり?」
妻達には分からなかったようじゃな
「ああ、間違いなくアリシアちゃんは、ザハレグス様じゃろうて。ワシの………いや、俺の武の目と魂が2度目でようやく確信がいった」
1度目はゴブリンの時、剣の振りがただの天才と言うにはあまりにも卓越し過ぎじゃ、それに幼いにも関わらず敵と対峙しても落ち着いていすぎでのう
自慢じゃないが、ホンド村の住人が魔物に遭遇というのは、ソードウルフが何十年ぶりかというほど久しぶりでこちらから狩に行かない限り遭遇は無かったのじゃ
そして2度目は、先程の雰囲気の変わりようと武器のというより方や技の取得速度にもある。こちらは噂で聞いた話じゃが、ザハレグス様は武器を選ばないと聞いたことがある。どんな武器でも3度使えば素人から熟練者並みになり、4度使えば歴戦の猛者となり、5度使えば頂へ等と噂されておったが………
あれは、あながち間違いじゃないのぅ
それを妻たちに話したところ
「確かに、クマから見ても異常だったということはわかったクマ」
「そうねぇ……」
「生まれ………変わり………ね」
「じゃから大丈夫じゃ、そして本人がいわぬこと、内密にな?」
「分かったわ」
「う………ん」
「当然クマ!」
ワシは誤魔化した。都合のよいという訳じゃ無いが、誤魔化しの言い訳として使ってしまったことは申し訳ないが、完成させてくれると思ったことは事実
何を誤魔化したかというと……『ワシがその完成を目で見ることが、できないかもしれない』という言葉を口にしそうになたからとっさにの
言えばまた悲しい顔をさせてしまうしのぅ
出来れば口にはしたくはない、妻には常に笑顔でいてほしいものじゃ
老時が来た以上は、確かに覚悟はしておる。じゃから心残りを無くしていった。もう、愛する者を残して逝く以外に1つだけある。それは、村への帰還
せめて、せめて願うは最大の思い出であるホンド村への帰還、それまでは生きていたい
妻達と1から創り上げた村、帰りたいたくさんの思い出が詰まった村に家に……
「エレトナ、ルーシェイ、グルミー、帰ろうかのぅ」
「はい!」
「ん!」
「クマ!」
少しでも愛する彼女達と共にありたいのぅ
メモ書きだったものが尽きました
明日からようやく本編の10歳編が始まります
でわでわ、また明日投稿しますね




