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掌編

Early Winter

作者: 高石すず音

店先から始まる、冬のはじめの心温まるショートストーリーです。

今日も僕らは、店先で寒い夜を過ごすのだろう。


そんなことを考えながら、閉店時間を待っていた。

すると、眼鏡の女性がやって来た。


十一月にはまだ早い、ロング丈のダッフルコート。

ぐるぐる巻きのマフラー。


ショルダーバッグのストラップに、長い髪が絡まっている。

「あいたたた」と呟く仕草が、ちょっと垢抜けない感じ。


ふわっとお酒の匂いがする。

まだ九時にもなっていないのに。

仕事の後に軽く一杯……のつもりが、結構進んだのかな。


彼女のが「きれい」と言っている。

視線の先には、僕らよりもひとまわり大きな花束。


でも、少し考えてーー彼女が手にとったのは、僕らのほう。

小さなキッチンには、僕らがちょうどいいみたい。


「いっしょにうちに帰ろう」


ぐるぐる巻きのマフラー越しに、弾む声が聴こえた気がした。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ひとつひとつの言葉から、女性の多くのことが謎を解くようにわかってきます。  いいですね、こんな書き方。 「僕ら」は何という名の花なのでしょうね?  知りたくもありますが、本編では花の名前…
[良い点] お花の連作とはッ! だけど、すごく……良いッ! 尊死してしまうところでした。 読者が「ぼくら」目線、つまり連れて帰って貰えるお花目線だと気づいたら、とてつもなくキュンとするようなお話です…
2020/12/08 06:51 退会済み
管理
[良い点] 遅ればせながら、拝読しました。 掌編の中にぎゅっと濃密な僕らの物語が詰め込まれていますね。私も普段は眼鏡をかけていますので、とても親近感です。(o^^o) 花屋さんですね。花屋との言葉を…
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