一時休戦
「さて、治療も終わって……物騒な話が一段落ついたところで、明日、どうするかね……ねえ、先輩?」
ちゃぶ台を囲んで、大福を頬張っている十子に対し、すずめが訊く。アカリは自分を意識不明に追いやった諸悪の根源がいるにも関わらず、呑気にお茶をすすっている。
グルヴェイグはみかん箱に突っこまれ、ガムテープでぐるぐる巻きの上、外側に御札を貼りめぐらされている。みかん箱がドタバタと暴れているが、十子すら気に留めない。
「えっとねえ。ナオトくん? だっけ? 縁結び? とか、その辺を邪魔してたのは認めるよ。でも、それはもう解除したから、明日の決勝戦は実力勝負になるよ」
十子はニコニコと笑っている。なんの後ろめたさも感じていない様子が清々しい。
「そう……なら、いいけど。どうも、ナオトにとっては三年間背負ってきた勝負らしいんだよね。ボクら異能の外野は絶対に手出ししたくないんだ」
「オッケーオッケー! 少なくとも明日の件についてはもう邪魔しないよ!」
「なにその、明日限定の言い方」
「だって、まだ私、すずめくんに完敗したつもりないもん。油断しただけだし、地力は私のほうがずっと上だからね」
すずめはうんざりした。十子はまだすずめに対してのこだわりを捨てていない。
とりあえず、明日の試合に手出しはしないとのことなので、今は放置する。
「そう言えば、イナリの姿が見えないけどどこ行ったんだろう」
すずめがぼやく。
「ああ、イナリなら、さっき、ちょっと出かけてくるから先にみんなで寝てて、的なことを言ってたよっ」
アカリの説明に、理由は想像がつかなかったが、明日、本番に間に合うようには戻ってくるだろう。




