やっぱり紙書籍が欲しいのだ&スマート本レガシーの作り方
ネット小説大賞便乗、コバンザメ企画の提案
スマート本レガシーの一ページのレイアウト見本添付
【第1感】電気小説家としては、やっぱりリアルな紙書籍が欲しいのだ。
どれかの作品でも書いたが、我輩は電子書籍黎明期に(スマート本)形式の電子書籍を某出版社から出してもらった。アマゾンにもアップされたが売れたのはたった12冊だった。そのうち知り合いの義理買いが6冊だから、実質買いは6人だけという悲惨な結果になった。で、名誉ばん回とばかりに新作を編集部に送ったが、我輩の担当はすでに異動してしまっていて、代わりの編集者に「前二作の売れ行きが悪いので見送りとさせていただきます」とボツを食らった。
ということになったので、我輩は発行してすでに三年近くになっていた前二作の出版契約を初回三年だけで止めますとメールを送った。以後、何の回答もないのだが、多分了承されているのだろう。
惨めな話はこれくらいにして、電子書籍を出した時に感じた思いを書く。
嬉しいから、電子書籍を出したと周りの人間に言い回った。けれど、我輩の周りの人間ってのはほとんどがシニアで、アマゾンなんぞを覗いたことがない世代ばかりである。「電子書籍と言われてもねえ……本物の本を見せて貰わないと実感湧かないわ」とつれない反応。それでデータをプリントアウトしてコピーし本を手作り見せた。無様な出来具合。惨めだった。で、思った、やっぱり紙書籍、リアル本が欲しいと。
我輩は自費出版本としてすでに5冊、商業流通させている。ほとんどが売れなかったので、委託契約が終わって返本されてきた本が一部屋にダンボール箱ごと山と積まれている。去年、文学フリマに参戦したのも返本分を捌くためである。
だったら自前で紙書籍として出せばいいじゃないかと言われるのは分かっている。だが、一冊、商業流通させようとすると百万前後の金(当時はだが)が必要になる。さすがにもうお金をドブに捨てたくはない。
幸い、小説家になろうのサイトに巡り合えたので、作品を公開する場所はある。
それに運がよければ書籍化の話もある……あくまで運がよければだ。
なのでお金も大してかけず、七千分の一の確率よりももっと高い確率で紙書籍を手にする方法はないか我輩は考えてみた。そうして一案捻り出した。
【第2感】パトロルネッさんじゅうズ企画
我輩はネット小説大賞に便乗する「パトロンルネッさんじゅうズ」と命名したコバンザメ企画を思いついた。
概要は、なろうネット小説大賞に、「パトルネ企画参加短編」という共通タグを追加してパトルネ仕様フォーマットで短編作品を各自応募。奇特な出版社に一冊分の短編を選んでもらって、アンソロジーとして紙書化してもらおうという、虫のいい、けれどなろうの読者に賛同を得られそうな自己中企画である。
だが、我輩はシニア。さすがにそんな奇特な出版社など出てこないことは分かっている。ただでさえ単行本返本率4割五割どころか、七割八割当たり前の状況、出てくるわけがない。しかしこうしたらどうだろう……返本率を始めから六割と割り切って、短編応募者が企画協賛者になり、その分を買い取ってしまえば返本率は一気に下がる。となれば、奇特な出版社も出てくるのではないだろうか。
すでになろうサイトでアップしている自費出版本「カレコレハローワーク」の実例で企画成立の可能性を探ってみる。
カレコレハローワークは某児童出版社の自費出版部門から商業流通させた。なのでアマゾンにも載っている。四六判216ページ、挿絵が多いので、裏写りしないようちょっと分厚い紙を使ったので束の厚さは十五ミリである。
イラストレーターによる完全データ入稿だったので、製作費は75万。編集費25万。千冊。半年間の委託配本で商業流通という契約だった。※発行元は某出版社名は使用せず。2008年発行時の契約なので今はどうなっているか分からないが、これをもとにする。
自費出版としては当時千冊が最低ロットだった。
大型書店での商業流通を前提にすると最低でも五千冊は必要だが、それで製作費が五倍になるわけではない。すでに製版してあとは印刷するだけなので四千冊分は実質紙代と製本代の追加だけで済む。当時の編集者は同時印刷なら千冊十万追加でいけますなんて言ってたので……原価は半分として25万、つまり百万あれば五千冊は刷れそうである。
その六割、3000冊の製作費75万をパトロンが負担するのである。
タイトル的にパトロンは三十人でなければならないので各自2万5千円を出費して百冊買い取りということになる。※売価千円だから、パトロン本人が文学フリマなどで売価のまま完売できれば7万5千円の儲けになる!
ただ、いきなりパトロンに分配しては書店流通に支障が出るので、書店流通半年後に分配ということになる。半年あれば確実に六割以上の返本があるはずだから。ま、八割返本があったとしても、出版社側の実質返本率は二割。出版社側としては御の字であろう。これなら酔狂な出版社が名乗りをあげるかもしれない。
【第3感】短編のページ数について
パトロン一人あたり6ページを想定している。
なので180ページということになる。
我輩は共通フォーマットとして一ページの文字数を37字詰×15行と想定しているので、ページ555字、6ページで3330字。つまり原稿用紙8枚程度の短編ということになる。
【第四感】パトロンネット短編小賞を設立
でも、これだけでは単なる自費出版同人誌の延長で面白くない。
そこでパトロンネットルネさんじゅうズで、パトロン以外、純粋の応募者の作品も掲載することにするのである。仮に十人とすれば60ページの追加で、本の総べージ数は240ページになるが、小説本としては妥当なページ数である。
その十人をパトロン三十人がピックアップして掲載するようにするのだ。
出版社サイドが選んだパトロン三十人が、今度は選者となって十人を選出するのである。選ばれる側が選ぶ側になるのだ。二万五千円で選ぶ側に参戦できるのなら安い出費と言えるだろう。
ルネッサンス時代、イタリアの貴族は芸術家の卵のパトロンとなって大勢の芸術家を輩出させた。レベルは違うが、まさに出資者はパトロンになるのである。
どんな小さな賞であっても、選ばれたことで無名作家がその才能を一気に開花させることはよくある。仮に選んだ無名作家がのちに芥川賞なんか取ったりしたら、パトロン冥利に尽きるのではないだろうか。
【第五感】著作権・出版権・印税について。
パトロンについては自費出版扱い。純粋な応募者に対しては、掲載本十冊でもって、出版権と印税の対価とする。でいいのではないだろうか。
【第五感】実現化の可能性
ま、所詮外部の人間の妄想である。出版本でもって賞金の代わりとするなんて酔狂をやる出版社がネット小説大賞に参画しているはずがない……いや、待てよ……。
では天派。
【追記1】(スマート本)のコンセプト
(スマート本)の基本コンセプトは
(1)スマホPC画面でのレイアウトと紙書籍のレイアウトを違えること。
(2)スマホPC紙書籍、一ページ、もしくは一画面に必ず挿絵があること。
この二点である。我輩が現在使っている二種類のフォーマットはイラストレーターというドロー系ソフトを使わないと出来ないのだが、カレコレハローワークや職業介護、但し無給などの横長挿絵がメインのスマート本レガシーフォーマットでは、なろうのみてみんの挿絵挿入システムを使えば、自動的に紙書籍とスマホPC画面のレイアウトが変わるので、イラストレーターというソフトを使う必要はない。
【追記2】レガシータイプのスマート本の作り方(1)
(1)パソコンなどで一ページの文字列を37字詰め×15行、文字12ポイント、行間19ポイントに設定して、挿絵を入れる部分を空けて入力してからプリントアウト。プリントアウトされた文字列の空白部分に挿絵を描き込むか、貼り付ける。
(2)それの一ページ丸ごと(600dpi)でスキャン。それをスキャンに付属のフォトショップ系のソフトで、左右360ピクセルにリサイズしてから、みてみん指定のフォーマットで保存して、それをみてみんに登録すればいいのである。
(3)みてみんで取得した画像コードを小説家になろうの本文枠に描き込めば、あら不思議、文章挿絵一括画像化式の(スマート本)フォーマットの作品が画面に出現する。但し、小説家になろうの本文枠は200文字以上ないと受け付けないので、10ページ分以上画像コードを入れる必要がある。最悪、足らずは適当な駄文を入れて誤魔化すとよい。
【追記3】レガシータイプのスマート本の作り方(2)
ただ(1)の作り方だと、どうしても画面上の文字が小さくなる。リサイズの縮小率を押さえて倍の720ピクセルで保存すれば、画像は大きくなるが、今度はスマホやパソコン画面から画像がはみだすので、読みにくくなる。なので、
(1)入力した文字列はそのままテキストファイルで小説家になろうの本文枠内にアップ。
(2)挿絵部分だけ(600dpi)でスキャンして、それを横360ピクセルにリサイズしてみてみんに登録。
(3)小説家になろうの本文枠に表示された文字列の適正な部分にみてみんで取得した画像コードを挿入する。
※このやりかたにすると、スマホでもパソコンでも自動的に文字の行変えをしてくれるし、画像もおそらくスマホでも左右切れずに収まるので読みやすくなる。
【追記4】画像枠サイズについて。
一文字、左右6・7ミリ。天地4・2ミリとして割り出せばよい。
横15行縦10字の場合は左右100ミリ天地42ミリが挿絵枠となる。文字列と挿絵とのバランスを考えると天地十文字以下の確定的横長挿絵の方が、バランスがいいような気がする。
(スマート本)の制作に興味がある作家はまずこのスマート本レガシータイプから始めるといいと思う。では天派。
最後にスマート本レガシー一ページの文字列のデータを挿絵で添付しておく。
妄想モードで書いたものです。パトロンネットルネッさんじゅうズなんて冗談企画が通るような時代に戻ってくれればなと思っています。※高度成長期にはそれ、ありました。