2.目が開いたら2
「きゅきゅっ!」
ふと、声がした目の前にいるご機嫌な子竜へ視線をむける。
目はサファイヤのように青く、身体は少し暗めの緑色で、背中には見事な未トリミングの毛がもっふもっふしている。頭には赤くて長い縦髪をふさふささせながらキューキュー鳴いてくる。
サイズは俺よりちょっと大きいくらいだろうか。竜のなかでもまだ子供だということは認識できた。青と緑と赤だなんて「お前は光の三原色かっ!?」と突っ込みたいところだが。
……派手な竜だな~。と、ボーっとしながらゆれる縦髪をどうしても触りたくなって右手を挙げる。すると子竜は「きゅ?」っと鳴きながら首をコテッと傾ける。
俺が「ぎゃーぎゃー」鳴いてみると子竜は意味がわかったのかわからないのか「きゅっ!」と鳴きながら頬ずりしてくるので、触ってみた。
…自分の声に地味に傷つきながら。
きましたよ!もふもふきたーーーー!!
と心で叫びつつ、もふもふ感を堪能していると、いきなりドアが開いた。
「グラン?そんな声を出してどうしたの?」
と母親らしき人が突然入ってきた。
・・・いや母親なのだろう。
……怪獣声じゃないよ!?もうすぐ濁点はとれるはずだよ!
どうでもいい自分へのフォローをしながら、女性へと視線を向ける。
……そういやこの1か月、目が見えてなかったせいか世話をする女性の声だけは聞こえてたものの、自分を育てる人の香りしかわからなかったんだよなぁー。
「…グラン?」
と母親が覗き込んだので、いつも通り俺が「ぎゃーぎゃー」叫んでると、俺の隣にいた竜が「きゅーきゅー」母親に説明?していた。
「まあっ!グラン、目が見えるようになったのね!」
・・・・・・へっ?『ぶっ!』
おもわず、屁がでちまったじゃねーか!
あっ、竜が説明したわけですね?ってそんなことあるかーーーーーっ!?
……今更ですが、俺の名前ってグランなんですね。と思っていたところに、
「おかあさん。どうしたの?グランはおきたー?」
はい、お次は誰ですかねー。
この展開はお兄ちゃんですよねーー。
「ジョン。グランが目を開いたってこの子が教えてくれたの。」
「へぇー。じゃあはやくこの子のなまえをかんがえてもらわなくちゃ!」
と言いながら、お兄ちゃんは子竜の頭をもふもふ。
ぬあぁぁーー!俺のもふもふをっ!?
いやそこじゃなくて、俺が名前つけるの???
と子竜へ視線を向けると、わかってるのかわかっていないのか「きゅっ?」と鳴きながら首を傾ける。
…っんじゃあ、良い名前でも考えますかね。
意味は良くわからなかったが、なんか俺が名付け親にならなきゃいかんらしい。まぁ、悪い気分ではないので、早速名前を考えてみよう!
と、気持ちは乗ってきたものの、小さい身体の体力を甘く見るなかれ。徐々に睡魔が襲ってきた俺は、考える前にそのまま眠ってしまうのであった。
8/4 加筆しました。