1.目が開いたら
「おぎゃーーーっ!」
「きゅきゅっーー!」
……うるさいなぁー、あれっ?目が開かないぞ?
「きゅっー!」
……なんだ?きゅって?というか、何が起きてんだ?身体も動かん!
視界はおろか、身体は動かず聞こえてくるのは妙な声のみ。そんな状況に俺の心が不安で一杯になると、突然……
「おぎゃーぎゃー!」
またしても赤ん坊の声がする。
……おいおい。おれに子供なんていないはずなんだか…
「ぎゃー」
……あれっ?今、喉が震えたぞ。
これって俺の声じゃ………
「きゅっ!」
へっ!?俺以外に誰かいる?
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1ヶ月たってようやく目が開いた。
やった俺!!
ふと、手にはいつものふわふわした感覚が。
目が開かなかった時でも側にいつもある温もり。
いつも通り、このぬいぐるみの毛並みはさらさらで気持ちいいなぁーと、もふもふ感を感じてると……
触れていたものが、とたんに体をビクッと震わす。
…そして、俺の視界になにかが近づきながら…
「きゅきゅっ?」
「ぎゃー?」
目の前にいたのは子竜だった。もふもふはこいつだったのか……
・・・いやいやいや、ここ地球ですよね?僕、いわゆるリーマンだよ?
危なくスルーするところだったじゃないか!
…そう、いつも触ってたのが子竜であると同時に、視界に入った自分の手が小さいことに気がつく。
……あれっ?なにこれ?
自分の手を視界に入れてから冷静になるまで少し時間はかかった。
5分程たった頃だろうか。
……俺は、赤ん坊になったことに今さら気づいた。
8/4 少し加筆しました。