王道パラドックス
――それは隣国から届けられた、一通の報せから始まった。
「え……、なんですって? 王子が魔王に攫われた!?」
緊急の呼び出しを受けた少女は、驚きのあまり座ったばかりの椅子から立ち上がる。国王の謁見室にて上座に座った父王は、深く息を吐いた。その苦々しい表情は暗く、悲壮感に満ちている。目を瞠る王女に、彼はゆっくり頷いた。
ざわりとした空気が肌を撫でる。言葉に出さずとも、同席している臣下から動揺が伝わった。驚愕と不安が感染するかのように、この場にいる者から色を奪っていく。
美しく聡明な王女として名を馳せる彼女は、小さく肩を震わせる。信じがたいという風に小刻みに首を振った。かわいそうなほど顔面が蒼白だ。
どうして、何故、王子が攫われるの――? 恋い慕う相手が誘拐されたなんて、唐突すぎて受け止められない。
王女と隣国の王子は幼少の頃から交流があり、幼馴染と呼んでも過言ではない。隣国の国王陛下とは父王が若かりし頃から交友があった為、余計に親しい間柄になった。娘か息子が生まれたら、歳が近ければ結婚させるかなど冗談まじりに言い合える位気安い仲だ。
そんな大人達の小さな願いが叶い、彼等には同い年の子供が生まれた。相手は王子、こちらは王女。思惑通りというのか、彼等の仲は傍から見ても仲睦まじい。互いに18歳になる翌年には婚姻を結ぶことになっていた。政略的な意味もなくはないが、これは王女側の強い希望だった。彼は彼女の初恋相手なのだ。幼い頃から時折会える相手を、彼女は一途に恋い慕う。
また王子も彼女の好意を受け止めた。二人はどこから見ても、相思相愛と評されただろう。
両国は比較的平和な国だが、ひとつだけ不安要素があった。それは隣同士の王女の国と王子の国の更に北に位置する、魔族の国。
国交はなくお互い不干渉。戦をするわけではなく、国境も越えない。二国と一国は、つかず離れずの微妙な均衡を保っている。
というのも先々代の魔族の長……魔王との間に、三カ国間で協定が結ばれていたらしい。我々は魔族を討たない、また魔族も我々を脅かすべからずと。魔王などと呼ばれるが、比較的温厚な魔族は争いごとは好まないらしい。すんなりその協定は結ばれた。
完全には彼らの発言は信用出来ないが、およそ百年あまり何事もなく平和な日常を送れている。いや、送れていたはずだった。――今日までは。
どうやらその平和もこの日が最後らしい。わなわなと王女の唇が震える。
「嘘でしょ……。私の王子が、好色で男色と悪名高い魔王に連れ去られたですって……!?」
血の気が引いた顔で彼女は呟いた。握りしめた拳は、力を込め過ぎて白い。可憐な年頃の少女が絶望から背筋を振るわせる姿は酷く哀れで、また庇護欲を誘う。慰めの言葉の一つでもかけたいところだが、父親である王は焦った顔で王女を宥めた。
「待て、待つのだ姫、」
が、彼の制止の声は一足遅い。父王の声が届く前に、姫は座っていた椅子に手をかけた。
「んなの、許せないわっ!」
バキ! バリン……ッ!
「ああああ! 誰だ国宝級の椅子なんぞを用意しやった奴はー!!」
一瞬で、王女が座っていた椅子は木と布クズに変わる。軽く力を込めた彼女の握力で、椅子は瞬く間にヒビが入り崩れ落ちたのだ。
ぼそりと壁際に佇んでいた財務大臣が帳簿に何やら書き込みながら、「金貨三十枚」と呟いた。先ほど王子が攫われたのを報告した時よりも悲壮感たっぷりの声で嘆く父王に、彼女は毅然と背筋を伸ばし声高く告げる。
「助けに行くわ。私の王子を攫った魔王城に乗り込んでやる!」
「ならぬっ」
ぴしゃりと、国王らしく一蹴した。
「今隣国と協議中だ。兵を派遣するのを大人しく待て」
「何悠長な事言ってるのよ、お父様。わ た し の、王子が! 男好きの魔王(♂)に連れ去られたのよ!? ただでさえ人タラシで誰からも好かれる彼が万が一同性愛に目覚めたら、それこそ取り返しがつかないじゃないの!」
むうう、と娘の気迫に押された国王は黙った。先ほどまでの今にも倒れそうな儚さはどこへやら。王女はもはや闘志に燃えている。怒りから頬が薄らと紅色に色づいていた。
「彼は私と結婚するのよ。既に婚約している間柄。それを横から掻っ攫おうだなんて、ふざけんじゃないわよ。それにそうこうしている内に私の天使が魔王に穢されでもしたら……。いやあああ! 私だってまだ手も握っていないのにー!!」
「落ち着け、姫。というか手すら握っていないだと? 手ぐらいさっさと繋いでおかんか!」
両手で顔を覆っていた王女はぴたりと動きを止める。主の心の機微に敏い専属の侍女が、恐れながら申し上げますと声を上げた。
「姫様はご自分の怪力で王子に怪我を負わせる可能性を、危惧されておりました。幼少の頃から手を繋ぎたくて仕方がなく、その姿がいじらしいほど愛らしかったのは陛下もご覧になった事があるかと」
「む、そういえばそうだったな……。だが接吻の一つもしていないとは、若いのに何をやってるんだあやつの倅は。姫の年頃にもなれば、既成事実の一つや二つその気になれば作れるものを」
「姫様は転んだフリをして介抱を企むも咄嗟に肩を抱かれた事で失神し、また酔ったフリをして王子に抱き着くも相手のフェロモンにあてられ気絶しておられます」
「大胆なのか純情なのか、どっちなのだ」
呆れたため息を吐かれ、王女は真っ赤になりながら憤慨した。
「あれは作戦が甘かっただけよ! 今度は失敗なんてしないんだから! ちゃんと王子を押し倒すシミュレーションは何度も脳内再生しているんだからバッチリよ」
「その意気でございます、姫様」
無表情に頭を下げる年の近い侍女と暴走寸前の王女に、国王は再度待てをかける。
「手も繋いでおらんのに押し倒す気か!」
「勿論ですわ、お父様。さっさと自分の物にしないと、あの天性の人タラシは無意識に老若男女誑し込むんだから!
でもそれなら本当に早く動かないと。魔王の手籠めにされてバイから真正のゲイになりでもしたら……」
「ちょ、待った! 王子は両方いける口か!?」
「有名な話でございます、陛下」
恭しく頭を下げた侍女に、頬を引きつらせる国王。その間に王女は近くにいる兵を呼び、宝剣を持ってくるよう告げた。ざわりと再び室内がどよめく。
「この国の宝である宝剣を使うだと?」
「ええ、お借りします。たとえ誰も行きたがらなくても、私は一人ででも魔王城に乗り込みます。先に協定を破ったのはあっちだもの。私ごときが乗り込んだところで、向こうに文句は言わせないわ」
数名の兵士が息を切らせながら剣を運ぶ。情けないわねと目で語った王女は、さっと片手で剣を持った。
平均的な人間一人の体重とほぼ同じ重さの剣は、女の細腕で持ち上げるのは到底無理だ。鍛えている大の男でも、片手では少々無理がある。が、王女は軽々と持ち上げ、勢いよくブンッ! と振った。窓が閉じられている部屋に、突風が吹く。王の側近のかつらがずれた。
「必ず私が連れ戻して、真実の愛が何なのか教えて差し上げます。待ってて、愛しの王子様ー!!」
「いってらっしゃいませ、姫様」
「誰も止めないのか!?」
だって、ねえ? あれを止めるのなんて無理無理。
顔を見合わせる重鎮たちに兵士と侍女は、風の如く走り去った王女の背中を見つめる。開け放たれた扉に視線が注がれた。
一人重いため息を吐いた国王は、両手に額を乗せて項垂れる。
どう考えても、トラブルが余計増えた気しかしなかった。
◆ ◇ ◆
宝剣とは、王家に代々受け継がれる剣である。剣自らが使い手を選ぶと言われ、使いこなすにはコツも修業も必要だ。歴代の使い手たちは、剣の物質的な重さを感じない者もいれば、己の一部と同じように軽々と使いこなす者もいた。王女はほとんど重さを感じない者に入る。彼女の特異体質である怪力が、剣の重量を無視していた。
華奢な腕で大剣を振り回せるなど、嘘のような本当である。
王家に伝わる国宝は、見た目の美しさから来ているわけではない。真っ白な刃にキラキラとした宝石が嵌められた剣は美術品としても見事だが、その斬れ味が特別だった。
目には見えない物すら斬れる剣。風や水、火、そして呪詛。魔術を放たれたとしても、その剣一本で防ぐ事が出来る。まさに万能。
だが、一般的には斬れない物でも斬れる剣だが、その逆は出来ない。誰かを殺める機能はない為、おかしな事に抜身の刃を持ちつつも、人の肌に傷はつけられないのだ。
よって、たとえ王女が暴漢に襲われたとしても、剣で相手を絶命させる事は出来ない。傷も負わせられない。使い道は一つ。打撃攻撃のみ。
「どぉおおりゃあああ!」
ガキン!
また一人、大の男が昏倒した。
脇腹を抉るように、両手で剣を握りしめ大きくスウィングさせた。襲いかかってきた魔族の男の山を横目で見やり、ふんと鼻を鳴らす。この位で怯えるようなか弱さは、とっくに捨ててきた。
魔族の国に侵入してから早二週間。国を発ってから既に一ヶ月半。最短距離で進み、道中意気投合した仲間を何人か連れて歩きながら魔王城へと目指した。
目的地はすぐ目の前だ。強力な魔力を持つ魔王に対抗する為に、こちらも魔法使いを仲間に加えている。優秀な魔法使いによる結界に身を守られている為、危険な旅路でも奇跡的にほぼ無傷。王女の柔肌は、美しい乙女のままだった。
が、内面はかなり攻撃的になったと言える。またか弱く繊細な乙女とはかけ離れた逞しさを身に着け、彼女は仲間の援護のもと、一人魔王の居住区を一直線に目指した。
「どこ、どこにいるの。私の王子っ……!」
彼女の背丈の半分はある大剣を背負いながら駆ける。ゴシック調の城内は、ムカつく事になかなか趣味がいい。人骨や家畜の骨に剥製が飾られているわけでもない。掃除も行き届いているのか、塵一つ見当たらなかった。
天鵞絨のカーペットを軽やかに駆け抜け、たどり着いたのはわかりやすいほどわかりやすい、大きく重厚な両開きの扉。間違いない、ここは魔王がいる部屋だ。中から尊大で傲慢な威圧感を感じる。
すう、と深く息を吸い込み、下腹に力を込めた。動きやすい旅装姿の彼女は、全身に警戒心を纏わせながら取っ手に手をかける。
「助けに来たわ、王子様……!」
バーン!
両扉を一気に開いた。勢いがよすぎて、扉の片方は後方へ吹っ飛んだ。もう片方の取っ手は床に落ちた。しかしそんな些細な事はどうでもいい。王女の視線の先は、自分の城の貴賓室でも見られないほど立派な天蓋付きのベッドに注がれる。
真紅の滑らかなカーテンが、天蓋からさらりと床まで流れている。その中央のやたら大きなベッドが、もぞりと動いた。
白いシーツの隙間から顔をのぞかせたのは、淡い金髪が目にまぶしい絶世の美女……もとい、美青年だ。中性的な顔立ちは、性別がわかりにくい。白く滑らかな肌は肌理が細かく、絹糸のように柔らかな髪は緩く波打つ。最後に会った時より髪は伸びたらしい。だがその無造作に伸びた髪がまたどこか色っぽい。
寝起きらしい彼は、数回瞳を瞬かせた。宝石のように美しい紫紺色の瞳が、王女を捉える。さらりと白いシーツが肩から落ち、彼の上半身が露わになった。その瞬間、王女の脳裏に浮かぶ二文字。
……済み。
思考が停止する。王子が彼女に気付き、首を傾げながらも微笑みかけるが、頭が真っ白な彼女は動けない。手近にあったローブを羽織る王子は、美しさの中にも精悍さが育ちつつあり、より一層魅力が増していた。幼い頃から恋い慕ってきた日々が、走馬灯のように駆け巡る。
「姫、こんな遠くでまさか会えるなんて嬉しいよ。あれ、一人で来たの? でもどうしてここに?」
少女の手より骨ばった手は、彼がはっきり異性だとわかる証拠だ。その手も肌も、見える所に怪我を負っている様子は窺えない。てっきり監禁されたまま変態魔王にいろいろと身の回りの世話など焼かされているのかと思っていたが、肌艶も良く健康的な姿を見て安堵と同時に涙が出る。
ああ、肌艶がいいのは、裏があるように思えてならない。
くっ、と彼女は口を手で覆った。いつから自分はこんな穢れた妄想をするようになってしまったのだ。目の前に王子は純真無垢なあの頃のままと同じ目で、自分を見つめてくる。まだまだ美少年と言っても十分通るであろう外見は、いくら眺めても飽きる事がない。柔らかいテノールの声が、耳に届く。
「こんなにボロボロになって……。姫、怪我はしていない? 君に何か起こったら、僕は心配でたまらなくなるよ」
「っ……王子!」
感動的な再会。ようやく会えた愛しい人。感極まった王女は嗚咽をこらえ、目の前にやってきた極上のご褒美に飛びつこうとし……スカッと両腕が空中で空ぶった。
「え」
いつの間にか現れた人物が、どうやら王子の腕を横から引っ張ったらしい。自然と腰に手を回し、警戒心を忘れるなと小言を言う。何言ってるんだと笑い返す王子は、その男と親しげだ。冷やかに彼女を見つめる男の目には、敵意しか感じられないが。
誰だ、この黒髪金眼の男は。腰まで伸びた艶やかな髪は上質な織物のように真っ直ぐだが、恐らく男の性格はねじ曲がっているだろう。
王子より身長は頭半分以上高く、体格も一回り大きい。鋭く見つめる眼光は、獣のようでいて高貴さが漂う。
唐突に頭が動く。この男こそが、王女の宿敵である魔王だ。
「お前が魔王ね……!」
中性的な顔立ちで線が細い天使と、野性的な色香をばらまき人を堕落させる、魔性を秘めたフェロモン過多の魔王。金と黒が並ぶ姿は筆舌しがたいほど魅惑的で、見る者の心を奪う。あまりの美しさに、放心状態になり人を破滅させる危険性を孕んでいた。
ああ、何て危ない男。愛しの王子がこの男の毒牙に……! そう思うと、魔族の最強の王だろうが何だろうが、どうでもいい。目的は一つ。斬る。絶対に斬る。肉は斬れなくても、王子への執着愛はぶっつり斬れるだろう。
そうだ、この男は王子を破滅への道へ進ませる、有害物質。人だけならず動物も魔族も魅了する王子の魔性も問題なのだが、それは彼女の頭にはない。悪いのは誘った方だ。乗った方は被害者なのだ。
「おのれ……魔王。私の王子を穢した罪、償ってもらうわっ!」
びゅん! 背中に背負っていた剣をおもいっきり振り下ろした。勿論魔王のみを狙って。
突然の攻撃に焦る素振りも見せず、魔王はくつりと喉奥で笑う。余裕の笑みを浮かべては、蠱惑的な低い声で「残念だったな」と呟いた。
「こいつはとっくに俺のものだ。返すつもりも、お前にやるつもりもねぇよ」
「王子は私の婚約者だ! どちらが相応しいかなど一目瞭然。貴様にはもう指一本触れさせはしない!」
魔王の手から放たれた氷の礫は、宝剣によって散らされる。術は全て無効化され、すぐに魔王は物理的攻撃に切り替えた。すなわち、彼も剣を手に取ったのだ。王女が持つ剣とは正反対の、全てが黒に染まった長剣を。
金属が鳴る音が室内に響く。
「その細腕のどこにそんな力があるんだか……面白い」
「それはどうも、ありがと、う!」
軸足に力を込めバランスを取り、回し蹴りを一発。さらりとかわされ、舌打ちした。度重なる実践によって、元々運動神経も良ければ剣の筋も良かった彼女は、技に磨きをかけていった。体術も、同行者に教えてもらいそれなりに使えるようにはなっている。ますます王女らしさからかけ離れているのだが、これも王子を救う為。身体がムキムキの筋肉質にならない限り、彼女は自分の身体能力が上がる事を歓迎する。
「とんだお転婆な小娘が……」
ギラリと魔王の目が光る。眩しい光が放たれ、直視した王女は咄嗟に目を瞑った。間合いを詰められしまったと思ったその時。先ほどから時折呼びかけられていた声が、大きく響く。
「もうやめるんだ! 僕の為に争わないで!」
王女を庇い無謀にも間に入り込んだ王子は、沈痛な面持ちでハラハラと涙を流す。ぐさりと、魔王と王女の心に、その涙は落ちた。咄嗟に剣を下ろす。
「悪かった」
意外にも先に謝ったのは魔王だった。そして慰めようとするのも魔王。はっと我に返った王女は、今まで怪力があるからと躊躇っていたが、思い切って王子を抱きしめる。優しく、柔らかく、包み込むように。
「ごめんなさい。あなたの気持ちを考えずに暴走して。私、あなたが好き。好きなの。陛下に止められても、一人で乗り込んで来るくらい。王子がもう魔王と契りを交わしててもいい。ほんの少し、私を想う気持ちがまだ残っていたら、あなたの傍にいたい」
「姫……」
抱きしめていたはずが、気づけば抱きしめ返されて。王女の身体は硬直する。耳元で囁かれる美声と、服越しに伝わってくる体温に、初心な彼女はみるみるうちに真っ赤になった。
「ありがとう、姫。そこまで想っててくれて嬉しいよ」
キラキラとした天使スマイル。眩しすぎて再び目を閉じてしまいそうだ。
だがそれはむしろいいアイディアじゃないか。至近距離で見つめあう男女が共に目を閉じ、する事と言えば一つだろう。父親から、接吻の一つもしてないのかと呆れられていたじゃないか。
眩しさから目を瞑りキスを強請るなど、我ながらあざといな……なんて考えていたら。額に柔らかな感触を感じた。続いてチュッ、とリップ音が奏でられる。
「っ……!」
くらり、と眩暈。とっさに王子は彼女の身体を抱き留めた。
勇ましく乗り込む姿に惚れ惚れするが、こういう反応は年頃の少女らしい。真っ赤に熟れさせた顔が何とも愛らしく映った。
不機嫌な魔王がそろそろ目で離れろと訴えてくる。王子はそんな二人を交互に見つめ、ふわりと微笑む。
「ねえ、三人で暮らさない?」
「はあ?」
「え?」
沈黙は数秒。即答で魔王と王女は拒否ると、王子は寂しげに呟いた。
「僕は二人が大好きだから、一緒にいられる道があるならそうしたい」
その愛らしさに身悶えた魔王は、表面上は納得する。王女も表面上は納得した。
だが王子が知らない所でお互いを排除するため寝首を掻きに行ったり、本気の殺し合いが度々開催されていたり。一緒に魔王城に乗り込んだ仲間に応援されつつ、城に留まりながらも不意打ちで相手を殺そうとする不毛な戦いが続けられていた。
が、それも暫く続いたある日。一体何の間違いか、そんな魔王と王女の間に恋心が芽生え、魔族の国では重婚を認める法の改正が行われ、王子をまじえた三人が共に暮らす事になったりならなかったり……。
王女が魔王城に乗りこんだ事で、男色疑惑が濃厚だった魔王が実は女性もいけると知り、臣下が一番安堵した事は誰も知らない。
連載する気力と体力がなかった為に短編に。
王道なはずなのにどこかおかしい話が好きです。めちゃくちゃな設定ですみません。一番性質が悪いのは、王子だと思います←
魔王と王女がどうして恋心が芽生えたかなど、その後は皆様の想像力にお任せしたいかと。
お読みいただきましてありがとうございました。
月城うさぎ