53 シェルもやっぱり・・・・
今から課題演習の授業。
パーティーが確定したので今日から課題が出される。
この学校における宿題のようなもので一つの課題に与えられる期間は基本1週間だ。
「では課題を与えます。課題はそれぞれのパーティーに古代語で書かれた本を1冊づつ渡します。今回の課題はそれを翻訳して下さい。この本には10日後に行われる森での実習演習で使える情報が載っていますので頑張って翻訳してください。」
コレキタ楽勝だわ。
神の力で俺はこの世界の文字なら基本なんでも読めるので古代語もスラスラ読める。
本の厚さはだいたい200ページくらいなので4時間もあれば読み切れるだろう。
「ふむ、古代語でヒントが書かれているのか、すべて翻訳するのは大変そうだな。重要そうな部分を重点的に訳していきたいところだな。」
「あたしは無理ですよ・・・・?あたしに古代語を訳させたら怪奇文章が出来上がりますからね?」
「・・・・・・ミナ君は私達が訳したものを纏めてくれ。」
「ラジャー!」
「あ、俺が全部訳しますよ。4時間あれば全部読めます。」
「レン君、それは無理だろう。これだけの量を4時間でなど不可能だ。」
「あー、え~と、あれです。神のなんたらのおかげってやつでできますんで。」
「っ!?ホントに出来るのか?」
「この世界の文字ならほぼ全て読めると思います。」
「マジで!?レンってやっぱ天才なんだね?」
「さすが・・・・・としかもう・・・・・・」
「流石はダーリンですわ。その素晴らしい知識の籠った頭脳の中に私のあんなことやこんなことも記憶しませんか?」
「シェルさん・・・・・・最近そっち系のことでアタックし過ぎじゃない?」
「ともかく、レン君が翻訳してくれるなら非常に楽になる。私達はレン君が訳したことを纏めてノートに書き写そう。」
「それではさっそくカフェにでも行って始めましょうか。」
「んじゃレン、なんか奢って~。」
「なんでだよ!そこは俺に奢るところだろ?課題ではミナは戦力外なんだから。」
「う、うっさいわー!」
こうして俺達は課題に取り組み始めたのであった。
8時間後。
「ようやく完成したな。」
「ふ~・・・・・・思ったよりずっと大変だったな。」
シェル達がノートに纏めたり、文字が読めてもこの世界の大雑把過ぎる地図の読み方が分からなかったので教えてもらったりしてたら結構時間がかかってしまった。
「あ~疲れた。」
「ミナよ、お前はなんもやってなかったじゃないか?」
「ちゃんと書き写したり纏めたりしてたわよ!」
「ダーリン、お疲れ様です。ダーリンのおかげで今日中に終わらせることができましたね。流石は私のダーリンですわ。このお礼はこの後部屋でゆっくりと。」
「いや、お礼とかやらなくていいからね?」
「もー、ダーリンのいけず!」
「お疲れ、レン君。しかし本当に良く読めるものだな。もはや共通語を読んでいるのと変わらないのではないか?」
まー変わらないね。
俺にとっては全部異世界語だし。
課題の本には森の地図に書き込まれたヒントの意味や場所ごとの細かい情報、出現する魔物や分布図など色々載っていた。
「これだけの情報があれば森での演習で何かと対策がとれそうだな。」
「・・・・・・そういや結局演習って何やるんですか?」
「君は・・・・・・聞いていなかったのかい?王学に入る前に説明があっただろうに。」
ん?そんなのあったっけ?
「えーと・・・・聞いてませんね。」
「ダーリン、演習ではパーティーで森に入り3日間の間、サバイバルをして暮らすというものですわ。」
「マジでっ!?そんなハードなのっ!?」
「それホントなのっ!?」
「・・・・・・ミナも知らなかったんだね。」
「だってそんなの聞いてないし。」
「入学手続きの時に説明を受けただろう・・・・・・」
「・・・・・・覚えてないや。」
「俺も知らんな。シェル、そんなこと手続きの時に説明されてたっけ?」
「ええ、説明してらしたわ。でもダーリンが知らないのも無理はありませんわね。だってあの時は私と初めて会った日なのですから。ダーリンはきっとあの時は私に気が向いてしまい教員の説明など耳に入らなかったのでしょう。」
「なんて自分に都合の良い解釈なんだよ・・・・。てかシェル・・・・それ普通にウザいわ。」
「そんなハズがありませんわ!だって私はあの時ダーリンのことが気になって頭の中ではそれはもう他言にできない想像に夢中でしたというのに!あまりに興奮してしまい家に帰った後、自分を慰めるのに苦労しましたわ。」
「もうお前ホント何なんだよっ!頭の中が残念過ぎて泣けてくるわ!」
「あら?泣きたいのですか?ならば是非私の胸に蹲って泣いてくださいな。私はそのままダーリンをお持ち帰りしますので。」
「もうお前喋んな!」
「シェル様って・・・・・・。レンのせいでこんなにも残念に変えられてしまったんだね。」
「ちょっと待て!なんで俺のせいなんだよ!」
「お嬢様が試験を受けた日から妙にニヤけ出したり、幸せ・・・・と言うより恍惚とした表情をするようになったのはレン君のせいだったのか・・・・・・。」
「ちょっ!ユミナスさんまで!だから俺のせいじゃないでしょこれは!」
「レン君、ここは責任を取ってお嬢様を貰ってやってくれ。これは男の責任というやつだろう。」
「なんでそーなるんだよ!」
「ダーリン、愛していますわ。」
「いきなりなんだ!突飛過ぎるわ!」
「結婚したらどこに住みましょうか?」
「一人で勝手に妄想していてください!」
「お嬢様もこう言ってるし、やはりここは男としての義務を果たすべきだと思うのだよ。」
「ユミナスさん、シェルになんか言われていません?完全に買収されてるじゃないですか・・・・・・」
「買収などとは失礼なっ!私は元からお嬢様の家臣だ。」
「元から売却済みだったっ!」
「ぶぁっははっははっはは。」
「ミナも笑ってんじゃねーよ!」
くっ、どうしてこんな話になった?
確か演習の内容の話だったはず・・・・・・
それがどうしてこうなった・・・・・・
「そういえばユミナス、式の準備は?」
「お館様にバレぬように着々と進めているよ。」
「流石ユミナスですわ。」
「ちょーーーと待ったっ!式って何だ!?俺の知らないところで何が進められているんだよ!」
「どうしましたか?私とダーリンは結ばれる運命にあるのですから準備を進めておくことは当然ではありませんか。」
「・・・・・・やっぱシェルもヤンデレだわ。・・・・・・もうヤダ。マジ怖いわ、色んな意味で。」
「うふふ、今から楽しみですわね。盛大な結婚式にしましょうね♪」
「・・・・・・さぁ!演習でのことを話し合おうじゃないかっ!」
俺は現実逃避するのが精いっぱいだった。




