5 街だ!ギルドだ!筋肉だ!
しばらく休んだ後、再び歩き出していくと町が見えた。
結構大きい。
町全体を12メートルくらいの防壁が囲んでる。
門には馬車や荷馬車が町に入っていくのを兵士が見張っている。
「よーやく着いたな」
まずは宿を探してゆっくり観光でもするか。
この町の名前はリアリスと言っての外見はザ・ヨーロピアンといった感じで見ごたえありそうな町だった。
町の出入りは基本自由らしく問題なく入ることができた。
町に入ると
「いらっしゃい~、リアリス名物のラビットバーガーだよー」
「そこのお嬢さん!今ならこちらのアクセサリーを銀貨5枚で売っちゃうよ~」
「剣に防具なら俺の店を見ていきな!」
「さーさー、こちらの商品いまなら銅貨3枚だよー」
とても活気があった。
町というより街だ。
レンガ作りの2階立ての建物が並んでところ狭しと人が溢れかえっている様子は見ていて壮観だった。
(これこそ異世界に来たって感じだなー)
大通りを歩いて宿を探す。
大通りをそれなりに進んだところに3階立ての{銀馬車亭}という宿を見つけたのでそこに入る。
銀馬車亭は一泊、朝と夜飯付きで銅貨1枚と鉄貨3枚の中堅宿だった。
ここの宿主に10日分の銀貨1枚銅貨3枚を渡して部屋のベットにダイブした。
部屋にはベットと机と椅子、タンスがあり、壁には木の板に
ロウソク1夜分鉄貨2枚
お湯(貸しタライ付き)鉄貨4枚
ランプ(1夜分の油付き)銅貨3枚鉄貨5枚
ランプ油(3夜分)銅貨1枚
と書かれてあった。
シャワーはないようだ。
下に降りて夕飯を食べ、戻り際に宿主ににお湯にランプとランプ油を一応60夜分買った。
銅貨4枚鉄貨9枚のお支払。
俺はお湯で身体を洗って今日はもう寝た。
さすがに今日はいろいろありすぎて疲れてしまった。
翌日、宿で朝食を食べて町を歩いてみた。
道具屋、武器屋、防具屋、服屋、鍛冶屋などいろいろなお店があった。
大通りを歩いていくと一際大きい建物があった。
冒険者ギルドだ。
異世界って感じがするロマン溢れる場所だ。
さっそく入ってみる。
ギルドの中は受付のカウンターに美人の受付嬢が並んでいた。
右には依頼が壁一面に張り出された。
ここで依頼をとって受付で受けるんだろう。
左は酒場になっており、武装した筋肉の塊たちが酒を飲んでいた・・・・
その中に混じって女性冒険者やローブを羽織った魔法使いみたいな人たちもいる。
さて、十分見たしギルドを出ようか!
え?冒険者ギルドに登録しないのかだって?
ハハハハハ
登録するわけないじゃないですかメンドクサイ。
だって酔っぱらいの筋肉たちがこっち見てきて何か企んでそうな顔してるんですもの。
俺は出口に向かって早足で歩き出した。
しかし出口にたどり着く前に絡まわれてしまった・・・・
「おいガキ!こんなところになんか用かよ?」
「ここはテメーみたいな青臭いガキが来るところじゃないぜ~」
「なんか用なら俺らが案内してやるよ。金貨10枚でな!ガハハ」
テンプレ再来
さてどうしようか?
カマキリさんに頼る?
こんなところで出したら絶対ヤバい。
悩んでいたら隣から別の筋肉たちに声をかけられた。
「おいガキ。案内なら俺たちがやってやるよ!金貨9枚でな!ワハハ」
「そいつらより丁寧に案内してやるよ。俺ら流の丁寧だがな!」
つまりかなり乱暴なのですね。わかります。
俺の周りは筋肉で囲まれた。
しかしこいつらは頭は悪そうだし、押し付けあえばなんとかなりそうだ。
「それじゃあそっちの強そうな人たちに頼もうかな。」
俺はどちらの筋肉パーティーとは指定せずに目線もパーティーどうしの間を見て言った。
「おう、いい目してるぜ。丁寧に案内してやるよ、ワハハ」
「おい!このガキはテメーらじゃなくて俺らを選んだんだよ」
「何言ってんだ!そんな弱そうなナリしてどの口が言う」
「なんだとテメー!」
「やんのか?あぁっ?」
ちょろ過ぎる・・・・
頭の中まで筋肉でしたか・・・・
まーその間に俺はその場を去ろうとした。
しかしまた別の筋肉に話しかけられた。
しかも今度の筋肉はデカい。
スキンヘッドで浅黒い肌をしており顔は無精髭の生えた厳つい顔の20代後半から30代前半の190センチくらいの大男だ。
「おい坊主」
「・・・・なんでしょうか?」
「ついてこい」
そういって受付カウンターまで歩いていった。
無視したいところだが向こうで殴り合いまでに発展したバカな筋肉塊の集団共と違ってウザったい雰囲気を感じなかったため、大人しくついていくことにした。
「嬢ちゃん。この坊主の登録を頼む」
え?ちょっとなに勝手に登録させようとしてるの?この大筋肉
「あの~・・・別に俺は登録しに来たわけでは・・・・」
「登録しないってこたないだろ。剣まで下げて冒険者ギルドに来たんだから」
俺のこと登録したいけど仕方がわからない初心者に見えていたのか・・・・
たしかに服も新品だし、汚れ一つない剣をぶら下げていればそう見えるか・・・・
「登録はタダだから金の心配はいらねーぞ」
この大筋肉にお節介を焼かれてしまった。
しかし登録しといて損にもならないし、大筋肉の好意を無駄にするのも悪いだろう。
「わかりました。登録をお願いします。」
「かしこまりました。では簡単な説明をします。冒険者ギルドでは依頼を受けていただき、その依頼が達成されれば報酬が支払われます。依頼には薬草を取ってきたりモンスターを討伐したりするものがあります。冒険者には依頼達成の功績でランクというものが上がります。ランクはG、F、E、D、C、B、A、Sの順で上がっていきます。はじめはGからとなり、ランクが上がっていけばより高度な依頼を受注できるようになります。ではこちらの紙に必要事項を記入してください。字は書けますか?」
「大丈夫です」
俺は名前と職業を記入した。
名前は{レン}と記入した。
地球の異世界物小説で苗字がある=貴族というのをみたことあるので名前だけ書く。
職業は剣士や魔法使いといった自分の戦闘での役回りを書くらしい。
俺はとりあえず召喚士と書いた。
この世界では魔法使いはそれなりにいるが、召喚士は非常に少ないらしい。
代わりにテイマーという魔物をペットみたいに連れ歩いて戦わせる人がそれなりにいる。
「坊主、召喚士だったのか!?」
「まだなり立てですけどね」
「それじゃーモンスターギルドには入ったのか?」
「モンスターギルド?」
冒険者ギルド以外にもギルドがあるのか?
「なんだ、知らねーみたいだな。モンスターギルドってのは召喚士やテイマーが登録するギルドでモンスターを買ったり売ったりできるし、捕獲依頼を受けたりできる。あとはギルド内にモンスターを戦い合わせれるコロシアムがある。召喚士なら登録しといた方がなにかと便利だろーよ」
(モンスターギルドか・・・・入っといて損はないな)
「登録しときたいですね。どこにあるんですか?」
「こっから西門の方向だ」
ちなみに俺が入ってきたのは北門だ。西門って言ってもどこにあるのやら
「その様子じゃリアリスに来てまだ日が浅いか。しゃーねー、俺が案内してやるよ」
「ありがたいです。おねがいします。」
てなわけで受付嬢から冒険者カードというのをもらい面倒見の良い大筋肉とモンスターギルドに向かった。
冒険者カードは証明書のようなもので依頼の受注と報酬をもらうときに見せるらしい。
そんなわけでワタクシ、レンはロマンたっぷりの冒険者になったのであった。