SIDE2 出会ってしまった2人のDestiny
~シェル視点~
by 保健室的な場所でレンが2度寝した後のこと
ダーリンがまた寝てしまった。
まだ疲れていたのでしょうか?
私の膝の上で寝息を立てて眠る。
なんと愛らしい寝顔なのでしょうか。
ああ神よ、神の使者の手助けをしろとの神託、この身に受けれたことを深く感謝しますわ。
「そこを退きなさい!バカキツネ!」
だというのになんなのでしょうか、この汚らわしい獣は?
ダーリンとの時間を邪魔しないでいただきたいですわね。
「バナナは食堂に行けば食べられますわよ?」
「いきなり何言ってるのよ!」
「あら?お腹が減ったからキーキー喚いてるのではなくて?」
「猿じゃないわよっ!いいから退きなさいよ!」
「嫌に決まってるではありませんか。そんな分かり切ったことを聞くなんて随分と頭が弱いのですね?可哀想ですわ」
ニコニコと笑いながら私は言います。
お父様に常に笑っていなさいと昔からよく言われていましたしね。
「なんですってっ!そもそもあなたはレンの何なのよ!」
「私はダーリンの夫ですわ。」
「私がレンの夫よ!」
ダーリンの夫?この猿は何を言っているのでしょうか?
「猿と人では種族が違いますわよ?せいぜいペットとして愛される程度でしょうか。」
「あなたこそゴミのような存在のくせにレンと一緒の空間にいないで欲しいわね。レンに病原菌が移ったら大変でしょ?」
「あらあら、先ほどから随分と流暢に喋る駄猿ですわね。人語は見世物用に調育されたのですか?」
「この部屋は埃っぽくて臭いわね。誰のせいかしら?ねぇ?ゴミキツネ。」
「ホントそうですわね。でもこの臭いは獣臭ではありませんこと?それも猿の臭いのような。」
「ともかく!さっさとそこ退きなさいよ!私とレンはもう一晩一緒に過ごしているの!誓いのキスだってもうしたわ!」
「そんなバカげた嘘を信じると思いますか?部屋が一緒なくらいで調子に乗らないでいただきたいですね。ダーリンも駄猿のことなど口煩いペット程度にしか思っていませんわ。」
「ふふっ。そう思いたいのなら思えばいいわ。でも事実は変わらない。」
「・・・・何時・・・・キスをしたというのですか?」
「昨日よ。」
「ダーリンは望んで駄猿である貴女とキスをしたのですか?」
「勿論よ!」
「本当ですか?」
「ええ、本当よ!」
「嘘はいけませんよ?本当のことを仰いなさい。」
「ホントだって言ってるでしょ!なんで信じないのよ!」
「この世界で事実上、神の次に偉いダーリンが下等生物と接吻するはずがありませんわ!」
「したって言ってるでしょ!昨日レンが寝てる時にたっぷりと!」
「寝てる時?」
「あっ・・・・」
「寝てる時とはどういう事ですか?まさかダーリンが寝ている時に起きないのをいいことに好きなようにしたということですか?」
「そ、そうよ!もう!何が悪いの!レンは私の夫になるんだから別にいいのよっ!」
「良いわけないじゃないですか!なんという事をしているのですか!この淫乱駄猿が!しかしすでに私の愛の色に塗り替えているあたり、さすがダーリンの妻である私ですわね。」
「ちょっとそれどういうことよ!」
「先程ダーリンの看病のためにそれはもうダーリンが寝ている間の8割の時間を掛けて口から直接愛情を注ぎこんでおきましたわ。唇が少々ふやけてしまいましたがダーリンは気づかなかったようですね。鈍いところがまた可愛いですわ!」
「あなたもやってんじゃないのっ!この下衆バカキツネが!・・・・って何私のレンに雑菌塗れの口で汚物注入してるのよ!」
「私の愛情が汚物だというのですかっ!」
「汚物でしょうが!この存在自体がこの世の穢れの単細胞生物がっ!この世のためにを早く死になさい!」
「なんですって!私は崇高で偉大なダーリンの妻ですよ!その私に向かって何を言うのですか!この脳が腐り始めたアンデット手前の愚鈍で愚図な下駄履き以下の存在がっ!神の元に早く成仏しなさい!」
なんなのですかこのメス猿は!
こんなのをダーリンに近づけたら絶対にいけませんわね。
処刑してしまいましょうか?
公爵貴族である私が平民以下の下等生物を理由もなく処刑しても誰も責めませんしね。
ギロチンにしましょうか?串刺しもいいですね。
それとも火刑で灰にした方が良いでしょうか?
おや、見廻りの教師が来ましたね。もうそんな時間でしたか。
「まだ誰かいるのですか?」
「先生。お疲れ様ですわ。」
「まだ残っていたのですか。寝ている子は大丈夫なのですか?・・・・というより何故あなたは膝枕をしているのですか?」
「ええ、ダーリンはもう大丈夫ですわ。膝枕をしている理由は夫婦だからですわ。」
「何嘘ついてるのよ!先生、違いますから信じないでくださいね!レンの妻は私です!」
「はぁ・・・・そうですか・・・・その、仲良く、ね・・・・。今日はもう遅いので寮に戻りなさい。戸締りはしっかりして帰ってくださいね。」
「ええ、わかっておりますわ。」
外を見るともう真っ暗でした。
ダーリンを起こして寮に帰った方が良さそうですね。
「駄猿、貴女とのお話はまた今度にしましょう。次は身の程というのを教えて差し上げますわ。」
「ふん、勝手にほざいてなさい。レンは私の物よ。」
「さて、ダーリン。起きてください。」
「レン、起きなさい。」
なんということでしょうか!?
ダーリンがあの駄猿と一緒の部屋で今日も寝るなどあってはならないことですわ!
至急手を打たねばっ!
私はお父様より渡された遠距離でも会話できる手に収まるくらいの長方形の形をした魔法具{テレフォン}を取り出しお父様とお話します。
『お父様?』
『おお、愛しのシェルかっ?どうしたんだい?』
『至急アイテムボックスの魔法具である{マジックバック}を借りたいのですが。それと高速移動の魔法具の{スピドル}も。』
『そんなもの一体何に使うんだい?』
『お父様、今は時間がありませんの。今は急いでその2つを転送玉で私のテレフォンを目印にこちらへ送ってください。』
『そうかい?わかったよ。理由は後でちゃんと話すんだよ。』
『わかっておりますわ。』
『うん、いい子だ。他に何か必要なものはあるかい?』
『そうですね・・・・。ベット、大きなベットが必要です。私の実家の部屋に予備の特注ベットがあったはずです。それをマジックバックに入れて送ってください。』
『またそんな物をどうして?まぁー、とりあえず送るよ。5分程で用意しよう。』
『ありがとうございます、お父様。』
『気にすることないよ、私の可愛いシェルよ。』
『それでは失礼します。魔法具は頼みましたわ。』
『ああ、任せてくれ。よくわからないが頑張るんだよ。』
『勿論ですわ。』
5分後、テレフォンの魔力を伝わって転送玉でお父様に頼んだ魔法具が届きました。
まずスピドルを使って高速移動で私の部屋に戻り荷物を手当り次第マジックバックに放り込みます。
その後はまたスピドルを使ってダーリンの部屋へ先回りをします。
途中寮主が何か言ってきましたが私が公爵令嬢と理解すると態度を急変し、逆にダーリンの部屋まで案内してくれてスペアの鍵までいただけましたわ。
部屋に先回りしたら荷物をマジックボックス内で整理して部屋に出し、備え付けのベット2つをマジックバックに放り込み、キングベットを代わりに置きました。
そこでダーリン(と駄猿)が帰ってきましたわ。
「ダーリン、お帰りなさいませ。」
「・・・・あのさー、シェルさん・・・・なんで部屋にいるの?」
私はダーリンのいる場所ならどこへでも♪




